多くの人にとって「もっとも身近でポピュラーなキャンピングカー」といえば、バンやワゴンをベースにした「バンコン」だろう。
バンコンは、国産キャンピングカーの新車販売台数の約5割を占める、日本で一番人気のカテゴリーだ。
とはいえ、まったくのキャンピングカー初心者に「バンコン」と言っても「何ソレ?」とピンとこないかもしれない。
そこで今回は、日本で最もポピュラーなキャンピングカー「バンコン」の特徴やメリット・デメリットについて解説する。
バンコンの特徴は?
バンコンは、バン・ワゴン・ミニバンなどの内装をキャンピングカー仕様に架装したキャンピングカーのこと。
バンをベースにコンバージョン(改造・改変)していることから、「バン・コンバージョン(=バンコン)」と呼称されている。
ベース車両としてもっともポピュラーなのは、ハイエースやキャラバンといったワンボックス型のバン・ワゴン。
それ以外にも普通乗用車のミニバンをベースにしたモデルや、タウンエース、NV200などの小型商用バンをベースにしたモデルもあり、同じバンコンでもさまざまなバリエーションが各社からラインアップされている。
バンコンの最大のポイントは、ファーストカーとして乗り回せることだ。
大きなキャンピングカーを所有する場合、普段使い用のセカンドカーが必要となるが、バンコンなら普段使いからレジャーまでマルチに使用可能。
平日は足グルマとして乗り回し、休日はキャンピングカーとしてキャンプやクルマ旅、趣味などを楽しめる。1台で幅広い用途に対応できるのが、バンコンの最大の魅力だ。
バンコンのメリットは?
バンコンのメリットは、大きく分けて3つ。
1つ目のメリットは、「見た目が普通車風でスタイリッシュ」なこと!
バンコンの架装は内装がメインで、ボディ自体は自動車メーカーから販売されている状態がそのまま残っている。
エクステリアは、外から見ただけではキャンピングカーとはわからないほどスマート。
外装に大がかりな架装を施したキャンピングカーと違って、どんな場所でも悪目立ちすることがなく、通勤、買い物、子供の送迎など周囲の目が気になるシチュエーションでもスマートに乗りこなせる。
2つ目のメリットは、「機動性に優れている」こと!
ボディサイズが比較的コンパクトなので、狭い路地や林道などもスイスイ走れて、駐車スペースに困ることもない。
ハイルーフ以外のモデルなら都市部に多い全高制限付きの駐車場にも入庫でき、普通車と同じ感覚で気軽に乗り回せる。
普段使いからレジャーまでストレスなくこなせる抜群の機動性が、バンコンの大きなアドバンテージだ。
3つ目のメリットは、「走行性能が高い」こと!
車両重量が比較的軽いので動力性能に不満を感じることは少なく、ボディ形状が純正のままで重心が低いため、走行安定性やコーナリング性能もキャンピングカーとしては必要十分。
キャンピングカーだからと構えることなく、普通車感覚で快適にドライブできる。
バンコンのデメリット
サイズがコンパクトで機動性に優れている半面、キャブコンなどに比べて室内空間が狭いのがバンコンのデメリット。
ハイルーフ車やルーフを架装したモデルは室内高が十分確保されているが、それ以外のモデルは天井が低く、車内で立つことができない。
また、限られた空間を活かすためシートとベッドが兼用になっているケースが多く、就寝時にいちいちベッド展開しなくてはならないのも面倒だ。
マルチパーパスなキャンピングカー、それがバンコン!
普通車とキャンピングカー、2つの要素を併せ持ったバンコンは、「キャンピングカーで普段使いもこなしたい」「目立たずスマートに旅がしたい」「スタイルのカッコよさにもこだわりたい」「走行時の快適性も重視したい」というニーズにピッタリはまる、マルチパーパスなキャンピングカー。
キャンピングカーをファーストカーとして使いたい人は、バンコンを選んでおけば間違いなしだ!
執筆:岩田一成
キャンピングカーライフ研究家/ライター。新車のキャンピングカーを3台乗り継ぎ、家族と一緒に1000泊以上のキャンプ・クルマ旅を経験。雑誌、書籍、新聞、WEB、イベント、テレビ、ラジオなど、様々な形でキャンピングカーの魅力を発信している。著書「人生を10倍豊かにする至福のキャンピングカー入門」(グラフィス刊)。
文:岩田一成
写真:中里慎一郎、稲垣朝則