看護師ならでは! 夏の車中泊の暑さ対策は必見!
夏の車中泊の暑さ対策のひとつとして行いたいのは、体自体を冷やすこと。そこで、車中泊好きの現役看護師さんに監修を依頼。「効果的に体を冷やして、気持ちよく寝入るコツ」を紹介します!
教えてくれたのは……
はなのこさん
車中泊を楽しむ花の30代であり、現役の看護師。在宅医療やコロナ感染者収容施設などで活躍している。幅広い経験をもち、防災面から見る看護も得意。「持っている物を応用する発想」で、夏の車中泊を制する!
就寝時の体の冷やし方
ポイントは2点。「冷やした血液を体内にめぐらせる」ことと、「入浴後の体温調整を利用する」ことです。
冷やす個所は、首、脇、太ももの内側の3カ所。肌表面に近くて、太い血管である「動脈」を冷やすことがポイントです。
冷えた血液を体内にめぐらせることで、効率的かつ効果的に体温を下げられます。これが寝入る際に、快適な体内状態をつくり出す、という方法です。
さらに、入浴後の体温が下がるタイミングで就寝すれば、一気に寝入りやすくなります。
冷やした血液を体内にめぐらせる方法
どこを冷やせば効果的か?
首回り
頭に近い位置で「冷」を感じつつ血液を冷やします。冷えピタや氷枕などを活用。ただし、持病などの兼ね合いで体温を感じにくい場合は、凍傷予防のために冷やしすぎには注意が必要です。
脇の下
皮膚が薄い脇を冷やすことで、一気に血液温度を下げます。血液を送り出すポンプである心臓に近い場所なので、冷えた血液をめぐらせるのに効果的です。頭にも近く、効果的に「冷」を感じられます。
太ももの内側
四肢で一番太い血管があり、皮膚も薄いので効果的に冷却できます。固定は難しいので、寝る際に保冷剤を股に挟みましょう。寝ている間にズレてもOKです。
冷やしたらダメな個所ってある?
基本的に夏の車中泊で冷やしたらNGな個所はありません。熱中症対策のために冷却は必要です。
しかし暑い夏でも、就寝時の体温調整の兼ね合いで寝冷えを起こすことがあります。寝冷えは夏風邪の原因になるだけでなく、体温が下がりすぎて、逆に快眠を妨げる原因にもなり得ます。
そういった意味では、お腹を温めて、寝冷えを起こさないのが快眠のコツです。
どうやって冷やせばいい?
基本は「挟んで冷やす」のがいいと思います。ずっと同じ場所で固定して冷却すると、火傷の可能性もありますので、寝ている間に外れてしまう……くらいの感覚でOKです。
注意点としては、必ずハンカチやガーゼなど薄手の布に包み、じかに肌に触れないようにすること。これも火傷防止です。
何で冷やせばいいの?
市販の保冷剤や、水入りのペットボトルを凍らせて使用してもいいと思います。わざわざ専用のアイテムを購入しなくても十分。
ただし、感覚障害を発症しやすい病気の人は、冷えすぎた際の「痛み」を感じにくく、気付かないうちに火傷になってしまうことが多いので要注意です。
入浴後の体温調整を利用する方法
入浴後から就寝するまでの時間に、人間の生理学的な部分である「深部体温」を利用します。深部体温が上がったあとに、下がるタイミングで眠くなる特性を活かした方法です。
下記は、はなのこさんが実際に行っている入浴→就寝ルーティーンです。
①就寝の2時間前には入浴を終える
②入浴後約1時間かけて徐々にクールダウンしていく
③その後さらに1時間かけて体各個所を冷却する
すると……気付いたら寝ている!
はなのこさんの暑さ対策。保冷剤で体の大きな血管を効率的に直接冷やす。サーキュレーターは防災面も兼ねて、AC電源、USB、乾電池で使えるものを用意。
驚くことに、夏の車中泊を乗り切るアイテムはほぼ3点のみ。そのひとつがニトリのNクールシリーズというエコアイテム。
写真・文:やまがた夫婦
出典:カーネル2022年7月号vol.55、カーネルvol.50 2021年夏号