【準備編】しっかりと熱中症に備えておこう
とにかく暑い夏キャンプ。熱中症対策はキャンプ場に到着してから行うだけでなく、事前の準備も重要。日ごろから体調をしっかり整えて、ウエアやグッズを用意しよう。
直射日光から頭を守って遊ぼう
脳は非常に熱に弱く、直射日光が頭に当たり温度が上昇すると熱中症になりやすい。炎天下で遊ぶときは、必ず帽子をかぶるようにしたい。帽子をかぶっているのといないのとでは、温度差は10℃近くにもなるという計測結果も。
選ぶ帽子は、後頭部を守れるツバの広いものがおすすめだ。小さな子どもには、遮光性に優れたスクリーンが後部に付いたキャップを着用させれば、強い日差しから後頭部をしっかりと守ってくれる。
体調不良は熱中症になりやすい
熱中症は、炎天下で激しい運動をするからなるというわけではなく、体調不良によっても起こりやすくなる。
睡眠不足や二日酔いなど体調がよくないときは要注意だ。「キャンプに出かけるから、前日は徹夜で仕事を終わらせた」とか「昨日は深酒をしてちょっと二日酔いだ」という人は気を付けよう。
とくに二日酔いの場合は脱水症状を起こしやすいので、十分に水分をとって、無理にアクティビティなどを行わないようにしよう。
通気性や速乾性のあるウエアで涼しく
体に熱をこもらせず、いつでも涼しい環境でいることが熱中症対策に必要なこと。そのためには通気性や速乾性があるウエアを着て、体温が上がらない工夫をすることも大切だ。
さらに、白や黄色など淡い色のウエアは、熱を吸収しにくいので体温が上がりにくい。ウエア選びでは機能性に注目するのも重要だが、どのような色のウエアを着るかも重要になるので気にかけておこう。体が小さく体温が上がりやすい子どもは、とくに注意したい。
なるべく体温を上げないように注意!
最近はさまざまな冷却グッズが市販されているので、キャンプでもぜひ活用したい。
例えば、水で濡らすだけで常に冷たさを保つ冷却タオルを首に巻いたり、冷却枕を使って木陰で昼寝をしたりするなど、できるだけ体温を上げないようにしたい。
とくに首元など太い血管が通っている部分を冷やすと、効率よく体を冷やせるので覚えておこう。さらにポータブル扇風機などを利用して、日陰で涼しく過ごすのも効果的だ。
【工夫編】キャンプ場では積極的に熱中症対策を
楽しいキャンプを過ごすために、キャンプ場では積極的に熱中症対策を行っていきたい。とくに子どもへは、大人の声掛けや見守りが重要。また暑さだけでなく、湿度の高さも要注意だ。
ノドが渇く前にきちんと水分補給する
ノドが渇いてから一気に水を飲む人がいるが、人は一度にたくさんの水を飲んでも、すべてを吸収することはできない。吸収されなかった水分は尿として排出されてしまうので、脱水症状を起こすこともある。
そこで、いつでも水分補給ができるようジャグにドリンクを用意。または保温マグや魔法瓶にドリンクを入れておけば、手軽に水分補給ができる。水分の吸収率が高いスポーツドリンクがいいが、水の場合は塩タブレットなどで塩分補給も行おう。
暑さ指数のチェックもおすすめ
「暑さ指数」とは、気温1:湿度7:輻射熱2の割合で算出される、熱中症の危険度を判断する数値。これをチェックすれば熱中症予防にもつながる。
環境省のLINEを使った熱中症アラートや、天気予報アプリの熱中症情報、熱中症警戒アプリなどを利用すれば、天気予報のように暑さ指数の予測を知ることができる。
また今いる場所の暑さ指数を知りたいなら「タニタ/黒球式熱中アラーム」などを携帯しているといい。自分の不調を伝えられない小さな子どもや愛犬などと一緒のキャンプに最適だ。
遊んでいるときは、こまめに休憩をとろう
サイクリングやハイキング、カヌーなど、暑さや強い日差しの下で遊びまわることが多くなるアウトドア。無理をすると熱中症になるので、こまめに休憩を取ることが必要だ。
とくに子どもは、楽しいことに夢中になっていると自分から休憩を取ることができない。やはり大人が時間を決めて、休憩を取るように促すことが大切だ。
もちろん子どもばかりではなく、大人も無理をすると、簡単に熱中症になってしまうので気を付けよう。
気温ばかりではなく湿度が高いときも要注意
熱中症対策は、高い気温や強い日差しに注意しておけば大丈夫だと思いがちだが、実は湿度が高いときにも熱中症になりやすい。湿度が高いと汗が蒸発しにくいので、体温を下げる機能が低下してしまうのだ
気温が25℃以下で涼しくても、湿度が80%以上あるときなどは要注意だ。雨の日は気温が低くて湿度が高くなるので、とくに気を付けたい。
またテント内で休憩する場合は、通気性を確保して湿気がこもらないようにしよう。
【熱中症になってしまったら】あわてずに対処しよう!
めまいや顔のほてり、筋肉痛や筋肉のけいれん、体のだるさや吐き気、異常に汗が出る、もしくは汗をかかないなどの症状が出たら、それは熱中症のサイン。
意識がある場合は涼しい場所に移動して服を緩め、冷却枕などで首筋や脇の下、足の付け根などを冷やす。
大量に汗をかいている場合は、スポーツドリンクや水+塩タブレットをとるようにしたい。
意識がない、自力で水分補給ができない、回復しない場合は、すぐに病院へ。
文:牛島義之
イラスト:岡本倫幸
転載元:GARVY2021年8月号