肉から出た脂を再利用する新発想の「グリルプレートぽたり」
栃木で50年以上もの間、鋳物に取り組んでいる大森鋳造所のブランド「ビッグフォレスト」より、一風変わった焼き肉用プレートセット「グリルプレートぽたり」が登場した。
「ビッグフォレスト」と言えば、波形プレートでつる型ハンドルが付いた小型プレート「黒舟」やクマよけ鈴「熊に金棒」など、硬派だけれどシャレの効いた製品をラインアップしているが、「グリルプレートぽたり」は名前だけでなく機能もユニークに仕上げている。
「グリルプレートぽたり」はプレートとキャンドル用受け皿、芯立てのセット。
プレートで肉を焼いたときに出る脂を使い、食後に脂を用いたキャンドルに火を灯してやすらぎの時間をすごそうという新しい発想のセットなのだ。収納袋も付いている(現行製品は麻袋に変更)。
プレートはアルミ鋳造で20×17×H2.5cm、重量850g。真ちゅうハンドルをたたんでコンパクトに持ち運べる。
一番厚いところで2cmほど、一番薄いところで約0.5cmの厚みになっていて、手にするとアルミ製とは思えないほどずっしり重厚感がある。
ひっくり返すとコーティングのない生のアルミらしいざらりとした感触。中央には「ビッグフォレスト」のロゴが刻まれ、放射状に溝もあるためゴトクに載せても滑り落ちにくくなっている。
プレートの焼き面を見てみると、フラットではない。斜め半分に山折りにした小さな正方形の折り紙を4つ並べたようになっていて、どこからでも中央に向かって脂が流れやすいデザインになっている。それに、よく見るとハンドル側が高くなっていて外に向かうほど低くなっている。
プレート表面はフッ素樹脂コーティングが施されていること、そして4つの山と傾斜により、肉からにじみ出た脂はプレートの上をすべるように流れていく。その先に待ち受けるのは小さな穴。この穴は一方向からのみ脂が落ちるよう、穴の片側に小さな壁がある。よく計算されているなと感心する仕様だ。
プレートの穴の下に、付属のアルミ製受け皿を置いて脂を受け止める。このあたりはシンプルで古典的だが、これこそがほかの小型鉄板にはない「グリルプレートぽたり」らしさ。
プレートはぐるりと壁があるが、両サイドは中央付近が少しへこんでいる。ハンドルを持ってプレートをサイドに傾ければ、野菜炒めなど細かな食材を皿に移しやすい。
それに、サイドのへこみは溝の位置とほぼ同じ。今回は脂の多い豚バラ肉を厚めに切って焼いたので穴からたっぷりの脂が出たが、赤身など脂が少ない肉はプレート横から脂を取り出してもいいかも。
脂を受け止めながらキャンドルに火を灯すことはできないので、脂がたまったらプレートの下から移動して、芯立てをセットして着火する。
1ラウンド終わってもまだまだ肉を焼くときは、使い捨てのアルミ皿やシェラカップで代用して2ラウンド目にうつろう。
なお、脂の融点はおおよそ30℃以上なので、受け皿の端っこからだんだん固まってくるが、キャンドルと同じで火がついているとその熱で脂を吸い上げる。寒い時期は固まり防止に少し食用油を混ぜてもいいかもしれない。
プレートはフッ素加工済みなので強火ではなく弱火でジワジワ焼くほうがいい。アルミ製だが厚みがあるので蓄熱性はまずまず。プレートは傾斜しているし中央と端っこでは厚みが異なるので焼きムラが不安だったが、弱火でジワジワ焼く分にはほぼムラなく均一に焼けた。
使い終わったあとはサッとペーパーで拭くだけで大まかな汚れは落ちる。後はプレートに触れてもやけどをしないくらいまで冷めれば、柔らかなスポンジで洗うだけ。焦げ付きを落とす手間がかからないのはありがたい。
「グリルプレートぽたり」はサムギョプサル用の鉄板が似ているが、小さくてソロキャンプやデュオキャンプにちょうどいい大きさ。
食べ終わったら、フュアハンドなどのオイルランタンに似た柔らかな光を灯すこともできる。焼き肉の後は鉄板に残った大量の脂の処理に頭が悩まされるが、やっかいものの脂をむだなく使えるのが、ユニークで実用的だ。
グリルプレートぽたり
価格:6380円(税込)
サイズ:プレートサイズ約200×170×25mm、取っ手使用時約345×170×25mm、キャンドル部約68×68×25mm
重量:本体約850g、キャンドル部約80g
【問】スター商事
写真、文:大森弘惠