
何もびっくりするような見た目のカスタムを施していることが、「達人」の条件ではない。「いい車を大切に、長く乗っている」ことも、重要なのではないだろうか。
上の写真に写っているのは、そんなふたりの達人。片や、なんと走行距離45万kmを超えるバンコンを所有。埼玉の人気キャンピングカー・ビルダーである「ティピーアウトドアデザイン」の代表・神木勇さんだ(写真左)。
片や同社で腕を振るう菅野勝明さん(写真右)。こちらは21年落ちのキャブコンで、日々、家族キャンプを楽しんでいるという。
誤解なきようにいっておくと、元々は旧式のユーズドカーだったとはいえ、現在はともに整備は万全。さらに、自分流のアレンジをそれぞれ施しており、そのディテールは、さすがといえるものばかり。
さらに大きなポイントは、ともに「車中泊」だけにこだわらず、フィールドで「車外」の楽しみも積極的に加えている点だろう。つまり、彼らは「車中泊キャンプ」の達人ともいえるのだ。
今回はそんな達人のひとりである神木さんの車中泊スタイルを紹介する。
40万kmオーバーのハイエースをレストア&リメイク

オーナー 神木 勇さん
人気キャンピングカー・ビルダーであるティピーアウトドアデザインの代表。サーフィンは18歳からとのことで、車中泊も最初は「サーフィン車中泊」だったとか。なので、車中泊歴は38年! 最近では「車中泊キャンプ」を楽しんでいる。愛車はトヨタ・ハイエース スーパーロング バンDX(平成21年型)。
「サーフィンやスノボに行く際に車中泊していました。登山やマラソンもやりますよ」とは神木さん。3年前、42万㎞だったハイエースを購入し、足まわりをフルレストア。さらにノーマルだった内装をキャンピングカー仕様にリメイクした。
「家族は喜びましたね(笑)。それまで個人仕様だったのが、家族で楽しめるクルマになったから。『みんな座れる!』と言われて」
それまでは、マークⅡワゴンやランクル60&80、そしてハイエース100系、200系を乗り継いできた。意外にもキャンピングカーは今回のモデルが初めて。

購入時、トランポ仕様だった同車。いまや当時の趣きは見る影もないほど、美しくリメイクされている。
ベースとなっている装備は、ティピーの「トラボイハイエースカスタムコンプリートカーLBD200SL」と同様のもの。ウッドマテリアルなど、自然に寄り添うスローライフを演出するナチュラルデザインが施され、車内の快適性をハイレベルで実現。
さらに外観と走りにもこだわり、ハンドルやタイヤ、マフラーなどもカスタムが施されているのだ。
それではさっそく、愛車の注目ポイントを拝見!
インテリアは旅先でも落ち着けるナチュラルデザイン

あたたかなぬくもりを感じる木製マテリアルを多く採用したリビングルーム。ソファは肌触りのいいファブリックで構成されており、旅先でも落ちつける室内となっている。

さらに神木さんは、リラックスして寝られるように、ゆったりした布団と電気毛布を持ち込み、寒い夜に備えていた。

キャンピングカー仕様への架装時、サブバッテリーもふたつ搭載しているので、電気毛布なども躊躇なく使用できる。
多くのアウトドアアイテムを収納可能

撮影時はソロだったため、まだ出していないキャンプアイテムがギッシリ詰まったラゲッジスペース。上段のベッドの床板は分割式で、ラゲッジのレイアウトが変更できる。


天井のサーフボード固定フックや、ウエットスーツなどを掛けられるリアゲートのバーは後付けの装備。

メッシュのリアゲートネットは夏のキャンプで活躍。
野外リビングはカーサイドで


オーニングの3方に装着されたサイドパネルと薪ストーブで、風の強い日や気温の低い日も暖かいカーサイドリビングに。


分離式のシングルストーブやフライパン、テーブルなど、ハイセンスなデザインのキャンプアイテムが並ぶ。
外観と走りにもこだわり

深いレッドカラーが目を引くホイールはギブソン・カミュラ16インチ。そしてタイヤはBFグッドリッチ・オールテレーンT/A。

ステンレス製プッシュバーを装着したフロントマスク。

HKSとティピーが共同開発したというトラヴォイ製マフラーも。3年前のレストア時に交換している。
運転席はレーシーな装い


ステアリングはナルディ製で脱着可能。ドライバーズシートは、運転時のフィット感が抜群で長時間ドライブも疲れづらい。

記念すべき取材時のキロ数は45万7449km!
写真:松木雄一
出典:カーネル vol.43 2019秋号