冬の車中泊で盲点となる「大荷物」「長い夜」の対策について解説。冬と夏の車中泊の違いや、車内で快適に過ごすためのテクニック、冬の車中泊におすすめの場所、車中泊グッズを紹介。

冬と夏の車中泊は、根本的にここが違う!

画像: 冬と夏の車中泊は、根本的にここが違う!

冬の車中泊というと、「寒さ」ばかりに目がいきがちですが、実は見落としやすい“盲点”があるのです。

まずは「寒さがもたらす副産物」。寒さから逃れるために、「アレが必要」「コレも持っていこう」と考えるのが人の子。けれど実際にそれでは、車内は物だらけになってしまい、車中泊もままならない状態に。

さらに見落としがちなのが、冬と夏との「時間」の違い。これをうっかり忘れてしまうと、冬の車中泊が成り立たないことも……。

こちらの記事では、冬の車中泊で見落としがちな2つの「盲点」について解説します!

寒さがもたらす副産物。それは「大荷物」

画像: 暖かさを求めれば荷物が増えて狭くなり、利便性を求めれば宿泊地や使える電化製品が制約されます。冬の車中泊は、このふたつの矛盾とどう折り合いをつけるかの「せめぎあい」。

暖かさを求めれば荷物が増えて狭くなり、利便性を求めれば宿泊地や使える電化製品が制約されます。冬の車中泊は、このふたつの矛盾とどう折り合いをつけるかの「せめぎあい」。

まず夏と冬では、衣類のボリュームが大きく異なります。その最も顕著な例がアウターですが、それだけでなく、Tシャツと短パンはフリース上下に変わり、行き先によってはキャップや手袋、ネックウォーマーなどの防寒アイテムも必要になってきます。

また夏はカーテンで済んだ目隠しも、冬はウインドウシェードが必要だったり、タオルケットは厚手の毛布か、4シーズンのダウン製寝袋に入れ替わってきます。

そうなると、荷物が増量するぶん、何かを減らすか小型化させる、もしくは収納方法を大きく変えないかぎり、車内の居住空間は狭くなるいっぽうに……。

でも言い換えれば、自分の車にマッチする冬の収納方法が確立できれば、それ以外のシーズンは、これまで以上に広々と車中泊ができるということ。つまり「冬を制する者はすべてを制す」というワケです。この時期は、本格的な車中泊仕様を知る、絶好の機会と受けとめましょう。

冬の大荷物問題 対策① 物を減量、または小型化する

画像: かさばる洋服類は、トートバッグなどに収納してデッドスペースに。

かさばる洋服類は、トートバッグなどに収納してデッドスペースに。

そのコツは「転用」にあり! 例えば、ウエアは大きなボストンバックではなく、複数の巾着袋やトートバックに分割して持参すれば、デッドスペースに分けて置けるだけでなく、クッションや枕の代わりにも使えます。

また調理用品も、鍋をやめて深めのフライパンだけにすれば、「焼く・炒める」から「煮る・茹でる」料理まで、ひとつで対応で着るようになりますよ!

冬の大荷物問題 対策② 収納性を高める

画像: スキーやスノーボードの分厚いウエアも、バックドア付近にポールで吊るせば、かさばらないだけでなく着替えも楽になります。車内に雪が降り込むのを防ぐ効果も。

スキーやスノーボードの分厚いウエアも、バックドア付近にポールで吊るせば、かさばらないだけでなく着替えも楽になります。車内に雪が降り込むのを防ぐ効果も。

簡単で効果が高い方法は、“ハンギング”です。バーの取り付け方は使用している車によって変わってきますが、冬物のジャケット類をハンガーで吊るすだけで、車内は見違えるように片づきます。

また小型のリュックサックをキャップや手袋、ネックウォーマーなどの防寒アイテムの収納に使えば、散策時にそれらを出し入れする手間もなくなります。

冬車中泊の最大の盲点は「長い夜」

画像: 1月の18時過ぎ。夏ならまだ外で仕事をしている時間帯。けれど冬は早々に車内にこもってデスクワーク。

1月の18時過ぎ。夏ならまだ外で仕事をしている時間帯。けれど冬は早々に車内にこもってデスクワーク。

荷物が少し増えても、運転席や助手席、さらにはその足元まで使えば、なんとか車中泊の旅はできるかもしれません。けれど冬は、日暮れが早くて夜明けが遅い……。車内で過ごす時間が長くなります。

ということは、狭い車内で起きている時間が増えるということ。車内でくつろげるスペースが不十分だと退屈したり、空腹感にさいなまれることも十分に考えられます。

では冬と夏では、具体的にどのくらいの時間の差があるのでしょうか。長野県を例に数字で比べてみましょう。

2019年1月31日
日の出時刻 6時50分
日の入り時刻 17時11分

2019年7月31日
日の出時刻 4時52分
日の入り時刻 18時55分

単純比較しても、1月は7月より3時間42分も夜が長いことに。さらに夜明け後も、道路の凍結が緩むまで安易には動けませんから、それを加味すると、実質的には5時間以上は長くなる見込みです。

そうなると、まず心配になるのが「電力」です。サブバッテリーを搭載していない車でも、照明や娯楽には多少なりとも電気を要します。キャンピングカーの場合はなおさら。それに加えて、頼りのソーラーの発電時間も短くなるから厄介なのです。

冬の長い夜対策① 夜の居場所がある車中泊スポットを利用する

画像: 大分県の道の駅ゆふいんは、道路情報案内所を24時間開放しています。

大分県の道の駅ゆふいんは、道路情報案内所を24時間開放しています。

車中泊だから必ず「車内で過ごす」という必要はありません。公認された休憩施設のある場所で、のんびり時間を過ごしたっていいのです。

おすすめは、日帰り温泉が併設orすぐ近くにあるの道の駅、またはフードコートが24時間営業し
ているサービスエリアなど。車内以外のスポットを上手に活用しましょう。

冬の長い夜対策② 電源が利用できる車中泊スポットで宿泊

画像: 山口県の道の駅阿武町の駐車場の一画に設けられた、電源付きのRVパーク。

山口県の道の駅阿武町の駐車場の一画に設けられた、電源付きのRVパーク。

電源が利用できる車中泊スポットといえば、オートキャンプ場の電源付きサイトを連想する人が多いかもしれません。けれど夜間に水道管が凍結するような寒冷地では、冬季休業の施設も少なくありません。

そう考えると、年々その数を増やしている「RVパーク」のほうが、料金も安くて確実。RVパークの業態は、ホテルの駐車場から、個人店舗の駐車場まで多種多様。最近は道の駅や日帰り温泉の敷地内に設けられているところもあるのでチェックしてみましょう。

冬の長い夜対策③ 乾電池、バッテリー内蔵の電化製品やポータブル電源を活用!

画像: 冬の長い夜対策③ 乾電池、バッテリー内蔵の電化製品やポータブル電源を活用!

都合よく外部電源が使えない場合に備え、車中泊時に使用する家電を省エネ製品に替えておくのもひとつの手。「節電効果」は年間を通じて得られますが、特に冬季は重宝すること間違いなし。

また最近は大容量のポータブル電源も増えてきています。電気容量が多ければ、そこまでで電気の残量にシビアにならずに電化製品が使えるので、車中泊のくつろぎタイムが快適になりますよ!

写真・文:稲垣朝則、カーネル編集部
出典:冬に車中泊を楽しむ本(2016年発行)

 

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