軽トラキャンピングカーで「四国八十八カ所のお遍路」の巡礼地を車中泊でめぐった旅の記録。四国に点在する八十八カ所の霊場巡拝のほか、道の駅スタンプラリー制覇も目指して挑戦。彼の地を車中泊でめぐろうと思っている人へ、少しでも参考になれば幸いだ。旅人/新井芳夫

第8回 まだ愛媛だよ! 44番札所・岩屋寺~53番札所・圓明寺

2017年3月20日から5月8日までの50日間、全行程6817㎞。四国八十八カ所お遍路ひとり車中泊旅の連載8回目は、伊予の国・愛媛県で、地元の名湯を存分に楽しんだ!

道の駅のスタンプラリーに集中した26日目

画像: 天守閣が素晴らしい大洲城は四層四階で、2004年に復元。ほかに台所櫓や高欄櫓などは国指定の重要文化財にも指定されている。

天守閣が素晴らしい大洲城は四層四階で、2004年に復元。ほかに台所櫓や高欄櫓などは国指定の重要文化財にも指定されている。

内陸の国道197号沿いの「道の駅 清流の里ひじかわ」で26日目の朝を迎えました。今日も天気はいい感じ。4月も中旬になり、天気も安定してきた模様。今日は道の駅スタンプラリーに集中します。

愛媛県大州市にある大洲城は、大州市内を流れる肱川(ひじかわ)沿いの高台にそびえる美しいお城。2004年に地元の人たちの寄付により復元された、四層四階の複連結式天守閣のお城です。城内も細部にわたり正確に復元されており、見学の価値のあるお城でした。

次は八幡浜市の港にある「道の駅 八幡浜みなっと」に立ち寄ります。ここは九州へ運航する九四オレンジフェリーの港に併設されています。駅内には、海産物のお店やレストラン、讃岐うどん店にコンビニなど、たくさんのお店が展開されている道の駅です。

海洋公園の道の駅ふたみで心地よい海風を堪能する

次は伊方原発のある佐田岬半島へ。半島の中間に位置する「道の駅 瀬戸農業公園」「道の駅 伊方きらら館」のふたつのスタンプを得るために、再び197号を目指します。

この国道は半島の尾根に作られた道路で、坂道とトンネルが続く一本道。ここで目指す道の駅は、両方とも観光客用の休憩施設で、地元の人たちは見かけなかった印象です。

両方とも無事にスタンプを得ることができ、折り返して海岸線の国道378号を走行。次は松山方面に向かいます。

途中で、この日4カ所目の「道の駅ふたみ」に立ち寄りました。ここは国道沿いの海洋公園で、昼食後に海風に浸りながら少し昼寝を楽しみました。「海なし県」から来た私としては至福の時間。それから伊予の町に入り、駅前の路地裏にある、いよ温泉に入りました。

ここは地元の人たちが利用する公衆浴場。私の疲れた体に温泉が染み渡ります。入浴後、松山自動車道で内子五十崎まで戻り、次の道の駅へ。道中、道の駅のスタンプをふたつ押して、今日の目的地「道の駅みかわ」に18時過ぎにたどり着きました。この日の道の駅スタンプラリーは、7駅を制覇できました。

画像: 道の駅みかわ(愛媛⑰) 仮眠環境 ◎ 道路沿いの施設なので早めの到着が吉。トイレはきれいに清掃されていました。写真/Puchi-masashi

道の駅みかわ(愛媛⑰) 仮眠環境 ◎
道路沿いの施設なので早めの到着が吉。トイレはきれいに清掃されていました。写真/Puchi-masashi

<26日目のお遍路データ>
走行距離 194km(累計3761km)
札所巡り 0打(累計43打)
道の駅スタンプ 5駅(累計120駅)
道の駅めぐりルート
ひじかわ発→1 愛媛㉕(道の駅八幡浜みなっと)→2 愛媛①(道の駅瀬戸農業公園)→3 愛媛⑦(道の駅伊方きらら館)→4 愛媛⑤(道の駅ふたみ)→5 愛媛⑥(道の駅内子フレッシュパークからり)→6 愛媛㉒(道の駅小田の郷せせらぎ)→7 愛媛⑰(道の駅みかわ)
〇道の駅の丸囲みの数字はスタンプラリーの番号です

27日目「ドゥユーノー、Sakamotoya?」

ここ4日間ほど晴れた日が続き、やっと初夏の気持ちのいい季節が近づいてきたと感じます。朝8時過ぎに27日目のスタートを切りました。

「道の駅みかわ」から次の岩屋寺までは、県道12号で山道を8kmくらい移動します。細い集落の中を通る山道を登っていくと、突き当たりに岩屋寺の駐車場が3カ所ほどに分かれて出現。どこも数台の駐車スペースしかなく、大型バスなどは駐車できない狭さです。

道中は、私の小さい愛車でも道を塞ぐような狭さの車道で、人家の軒先を交わしながらやっと駐車場にたどり着くような状況でした……。キャブコンでは、その大きさゆえ一番上の駐車場にたどり着くのは難しいかもしれません。

お遍路の札所のなかでもっとも長い距離を歩く岩屋寺

画像: 45番札所 岩屋寺。

45番札所 岩屋寺。

岩屋寺の集落の道端には、お店が数軒建ち並び、お遍路参りのお土産や特産の柑橘類がたくさん売られています。

岩屋寺までは、細い山道を歩いて20分ほど登らないとたどり着けません。バスやクルマを利用しても、“境内までもっとも長い距離を歩かなくてはならない遍路寺”といわれています。

参道脇には、歴史の深さを感じさせる苔に覆われた石仏群が立ち並び、お遍路さんたちを出迎えてくれます。そして大きく覆いかぶさるような岩山に、修行僧が座禅などに利用したと伝わる窟いわやがいくつも見えてきます。

岩山を背にして本堂、大師堂があり、その奥には大師の修行場跡といわれる「逼割禅譲」(せりわりぜんじょう)があります。これは、岩山の大きな窪みにあります。

岩屋寺はいろいろ下調べをして行くと、見どころと得るものが多い遍路寺のひとつだと思います。皆さんも機会があるときは、ぜひ時間をかけて参拝してください。

画像: 44番札所 大寶寺。お遍路もこの札所でちょうど折り返し。1番札所からの距離を数えるとおよそ850㎞になるという。

44番札所 大寶寺。お遍路もこの札所でちょうど折り返し。1番札所からの距離を数えるとおよそ850㎞になるという。

この日は寺間の距離が短く、県道12号を通り、次の44番札所・大寶寺で参拝を済ませます。その後、国道33号に出ると、道はずいぶん走りやすくなります。三坂峠を下り、支線を右折して46番札所・浄瑠璃寺、47番札所・八坂寺、48番札所・西林寺と移動する流れです。

15時過ぎに47番札所・八坂寺に到着。ここはこじんまりとしたお寺でしたが、境内はきれいに整備されていて気持ちがいいです。松山に入り巡礼の旅も半分を過ぎ、参拝もだいぶ慣れてきました。

ひとり旅の外国人女性に道を尋ねられてビックリ!

画像: 47番札所 八坂寺。

47番札所 八坂寺。

八坂寺の参拝も無事終わり、山門に近づいた時、20代に見える海外の女性に話しかけられました。赤色の帽子をかぶり、ピンクの半袖ポロシャツに短パン姿というサイクリングスタイルです。

何かを探している様子でガイドブックらしき本を持ちながら「Sakamotoya」と、指さしています。海外から来たお遍路さんはたびたび見かけますが、この女性は「Sakamotoya」なる宿を探している様子でした。

よく聞いてみると、ひとりでお遍路の自転車旅をしているとのこと。私もカーナビを頼りにした、のんきなひとり旅。ここは助け合いと思い、彼女が探している宿をタブレットで検索。すると土佐街道の三坂峠の麓にあるお遍路さんの接待所であることがわかりました。

彼女にスマホの地図で場所を教えると、そこに向かうとのことでした。話を聞くと、広島の大学に留学しているオーストラリア人だと言っていました。

思わぬ出会いにビックリしましたが、言葉の慣れない海外旅行。しかも若い女性の自転車旅ひとり旅です。「若いな~」と思いつつ、「気をつけて」と手を振りながら彼女とは別れました。

画像: 48番札所  西林寺。

48番札所  西林寺。

四国お遍路の旅は、海外の人にも本当に人気なんだな~と実感。その後、久万高原から山を松山市方向に下って、48番札所・西林寺でこの日の参拝は終了。松山市方面には道の駅がないので、379号を戻るように山道を走り「道の駅ひろた」を目指しました。この日も17時前には無事、目的地「道の駅ひろた」に到着しました。

画像: 道の駅ひろた(愛媛④) 仮眠環境 ◎ 峠道にある施設で、夜はクルマも少なく静か。駐車場も広くてゆったりと利用できた。トイレも大変きれいだった。写真/osami

道の駅ひろた(愛媛④) 仮眠環境 ◎

峠道にある施設で、夜はクルマも少なく静か。駐車場も広くてゆったりと利用できた。トイレも大変きれいだった。写真/osami

<27日目のお遍路データ>  
走行距離 88km(累計3849km)
札所巡り 5打(累計48打)
道の駅スタンプ 1駅(累計121駅)
札所めぐりのルート
みかわ発→1 45 番札所 岩屋寺→2 44 番札 所大宝寺→3 46 番札所 浄瑠璃寺→4 47番 札所 八坂寺→5 48番札所 西林寺→6 愛媛④ (道の駅ひろた)
※文中の丸囲みの数字はスタンプラリーの番号です

28日目は移動も少なく、心と体(洋服も!)を洗濯

画像: 日本を代表する歌人・正岡子規は愛媛県松山市出身。本人が登場する小説では松山地方の方言『ぞなもし』が頻繁に使われていた。

日本を代表する歌人・正岡子規は愛媛県松山市出身。本人が登場する小説では松山地方の方言『ぞなもし』が頻繁に使われていた。

「道の駅ひろた」は国道379号の峠道にある道の駅で、交通量も少なく静かな朝を迎えることができました。朝の日課としている散歩のあと、ゆっくりと今日の参拝ルートをナビにセットして8時過ぎに出発。松山市内へ。

今日の参拝順路は49~53番までを予定。松山市内の近距離にあるお遍路寺参拝のため、移動も楽です。道後温泉や松山城も市内にあるため、市内観光とお遍路参拝がいっぺんに達成できます。

49番札所・浄土寺へ向かう前に、市内で見つけたコインランドリーに立ち寄り、一週間分の溜まった洗濯物を洗います。近ごろは街中で見かけるコインランドリーも多くなり、ひとり旅の私には大いに助かります。一時間ほどで洗濯も終わり、再び札所巡りに出発します。

画像: 49番札所 浄土寺。ここでは石像の引法大師が出迎えてくれる。

49番札所 浄土寺。ここでは石像の引法大師が出迎えてくれる。

浄土寺から51番札所・石手寺まで参拝して、道後温泉に向かう予定。脇道にそれながら、10時前には浄土寺に到着。仁王門をくぐり本堂、大師堂へと、朝の燈明、読経のお参りを行います。

こちらのお寺には、念仏踊りの開祖と伝えられる「空也上人」立像が秘仏として納められているそうです。「空也上人」とは諸国を遍歴し、民衆のために井戸を堀り、橋を架け、道を補修して人々を助け導いた上人。その上人と伝えられる写真入りの案内板が本堂前にあります。

楽しみにしていた道後温泉! だが、渋滞の激しさに辟易……

画像: 50番札所 繁多寺。

50番札所 繁多寺。

次の50番札所・繁多寺は駐車場が山門のすぐ前にあり、アクセスが大変便利でした。山門をくぐり、一段上がった場所に鐘楼、本堂、大師堂、歓喜天堂が並んでいました。厄除けや夫婦和合、そして商売繫盛のご利益があるといわれています。

ちなみに本堂奥には大きな森が広がっています。松山市内の騒音から隔離された静けさがあり、高台からは松山市内の眺望もあって、お遍路では人気の休憩所です。

画像: 51番札所 石手寺。本堂や鐘楼などは、鎌倉時代に再建されたもの。寺宝を展示する宝物館も含め、境内全体に歴史的な文化財が多数ある。

51番札所 石手寺。本堂や鐘楼などは、鎌倉時代に再建されたもの。寺宝を展示する宝物館も含め、境内全体に歴史的な文化財が多数ある。

そして次の石手寺の御本尊は薬師如来です。道後温泉に近く、鎌倉時代につくられた国宝の仁王門をはじめ、重要文化財の本堂、三重塔、鐘楼など、広い境内に文化財が並んでいます。お遍路さんも観光客も多く訪れる有名なお寺です。

ところで、この寺の加藤住職は松山のラジオパーソナリティも務められる有名人です。「楽ではない人生をどう生きるか、苦しみ、痛みを共感していく場が、お遍路の意味」を深く心に刻んでほしい……という加藤住職の言葉があります。機会があれば住職の説法を聞いてみたいものです。

画像: 愛媛といえば道後温泉! 日本に古くからあるとされる三大温泉のひとつ。写真は道後温泉本館だが、近隣に共同湯が数カ所あり、そちらも地元の人たちで大いに賑わっているという。

愛媛といえば道後温泉! 日本に古くからあるとされる三大温泉のひとつ。写真は道後温泉本館だが、近隣に共同湯が数カ所あり、そちらも地元の人たちで大いに賑わっているという。

次は楽しみにしていた道後温泉に向かいます。しかし、行楽シーズンの日曜のため、駐車場がどこもいっぱいで止められず、道後温泉本館の周りをウロウロする羽目に。クルマでのお遍路さん、歩きでのお遍路さん、さらにタクシーも入り交じり、道後温泉本館の周囲は大混雑!

駐車場の「空」がなく、仕方なく松山城へ向かいます。道後温泉からは近い距離にあり、勝山山頂に位置する山城。132mの高さがあり、ロープウェイも整備されていて、楽に見学ができます。

天然温泉に浸かり、地元の人たちと談笑

画像: 52番札所 太山寺。

52番札所 太山寺。

今回は運よくロープウェイの近くのコインパーキングに駐車でき、天守閣に上がることができました。お城からは松山市内が一望でき、桜が咲き乱れる絶景の旅空でした。

その後しばらく松山市内の観光へ。名物の讃岐うどんを食べてお腹を満たしたあと、52番札所・太山寺を目指しました。

太山寺までは10kmという近い距離。しかし松山市内は交通量も多く、30分くらい時間がかかってしまいました。市内を抜けると交通量も少なくなり、52番札所・太山寺、53番札所・圓明寺と予定していた参拝も無事終了。松山北条バイパスで「道の駅 風早の郷風和里」へ移動します。

画像: 53番札所 圓明寺。

53番札所 圓明寺。

途中、海の近くにある潮の天然温泉「シーパマコト」に立ち寄り。天然温泉に浸かる地元の人たちといろいろ話しながら入浴を楽しみました。そして18時過ぎに目的地に到着。

この日は移動も短く、時間に余裕をもって巡礼を終えることができました。さらに松山市内のシンボル・松山城も見学。道後温泉付近の市内観光も少しだけ楽しみ、洗濯も終えて、イベント満載の一日でした。

画像: 道の駅 風早の郷風和里(愛媛⑳) 仮眠環境 ◎ 駐車場も広く海に面した最高なロケーション。レストランも併設され、夕食も食べられる。写真/アラツク

道の駅 風早の郷風和里(愛媛⑳) 仮眠環境 ◎
駐車場も広く海に面した最高なロケーション。レストランも併設され、夕食も食べられる。写真/アラツク

<28日目のお遍路データ>
走行距離 72km(累計3921km)
札所巡り 5打(累計53打)
道の駅スタンプ 1駅(累計122駅)
札所めぐりのルート
ひろた発→1 49番札所 浄土寺→2 50番札所 繁多寺 →3 51番札所 石手寺→4 道後温泉→5 松山城→6  52番札所 太山寺→7 53番札所 圓明寺→8 愛媛⑳(道 の駅 風早の郷風和里)
※文中の丸囲みの数字はスタンプラリーの番号です

旅人プロフィール 新井芳夫

画像: 旅人プロフィール 新井芳夫

●埼玉県在住
●車中泊歴40年以上
●主な車中泊スポット:全国各地(道の駅が中心)

愛車のスバル・サンバート ラックで四国お遍路旅を楽しむ旅人。実は40年以上も前から国産ワンボックスカーにDIYを施して楽しんできた、車中泊のベテランでもある。

写真・文/新井芳夫
構成/野里卓也
出典/カーネルvol.46 夏号

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