6歳の息子・アリとおかあさん(三沢真実)の日本一周車旅&キャンプ旅を紹介する連載がスタート! vol.1は今から2年前に、初めての車中泊を真冬に経験したときのお話。車中泊の装備や宿泊地選び、ごはん事情、そして寒さなど、さて初めての真冬の車中泊体験はいかに⁉

はじめに

画像: はじめに

こんにちは! “おかあさん”こと、キャンプクリエイターズユニット「CAMMOC(キャンモック)」の三沢真実です。

現在6歳の息子・アリとおかあさんは、旅する親子キャンパー。車中泊やキャンプをしながら日本一周をしています。今でこそ楽しく快適な車中泊をしている私たちですが、最初は失敗の連続でした。

そんな失敗談も、赤裸々につづっていこうと思います(笑)。そしてこれから車旅を始める方の、役に立つ情報も載せていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!

車中泊、興味アリ!

画像: 車中泊、興味アリ!

2016年12月、3歳からスノーボードを始めたアリ。結構ハマってくれたので、2年目である2017年の冬も、張り切っていこうー!とやる気満々!

が、しかし……分かってはいたけれど、やはりスノーボードはお金がかかるのだ。ギアやリフトなどの費用はもちろん、東京住まいの私は交通費や宿泊費も馬鹿にならない……。

画像: 3歳のアリ。スノーボードデビューの日。

3歳のアリ。スノーボードデビューの日。

独り身の時は、夜行バスで行くことも多かったし、前年はアリと一緒に白馬に拠点を持つ友人宅におじゃましたりしていたけど、この年はお泊まりできる場所のアテもなし。

そこで、この際「車中泊してみるか‼」と、これまで自分の車で車中泊経験ゼロだった私たち親子が、いきなり冬の車中泊に挑むことを決めた。

私は「CAMMOC(キャンモック)」というクリエーターズユニットで「キャンプのある暮らし」をテーマに、ライフスタイルの発信やキャンプコーディネートなどをしているキャンパー。そんな私の息子・アリも、私の仕事に連れられて、現在までに100泊以上のキャンプ経験を持つキッズキャンパーだ。

画像: アリのキャンプデビューは0歳1カ月。

アリのキャンプデビューは0歳1カ月。

キャンプではもちろん、「泊まるのはテント」が私たちの常識だったので、正直、これまで車中泊には興味がなかった。

仕事先で友人の大きな車に泊まらせてもらったことは度々あったのだけど、うちの車は小さいから快適に車中泊をすることなんてできないと思っていた。が……かれこれそんな理由で突如、車中泊をしてみようと思ったのである。

愛車は積載能力抜群の“エブリイさん”

画像: 購入したばかりのエブリイさん。

購入したばかりのエブリイさん。

わが家の車はスズキ・エブリイのハイルーフ。2016年に新車で購入した私たちは、この愛車を「エブリイさん」と呼んでかわいがっている。購入した当初、アリは毎朝エブリイさんに抱きついて「おはよう!」と挨拶していたほどだ。

この車に購入を決めた理由は「荷物がたくさん積めるから‼」。イベント会場装飾なども行う私は、とにかく運ぶ荷物の量が多い。

画像: イベント出店の時の積載。

イベント出店の時の積載。

だから宅急便や郵便配達にも使われているこの車の積載能力に、いつも惚れ惚れしてしまう。本当に頼もしい。

2列目シートを畳むと、荷室がフルフラットになるというところも魅力的。

でも前述の通り、車中泊に興味がなかった私は、180㎝のコンパネを丸々入れることができるという理由で、このフルフラットになる車を選んでいた(ほかにもデザイン的にも購入の決め手はあるのだけど、それはまた次の機会に!)

初めての車中泊のために用意したグッズ

画像: 以前に車中泊させてもらったお友だちの車の中。

以前に車中泊させてもらったお友だちの車の中。

さてさて、車中泊するためにはいったい何が必要なのだろうか。まず目隠しは必須だろう。いつも泊めてもらっていた友人の車には、カーテンが付いていたなぁ。うちのエブリイさんにもかわいいカーテンを付けたいな! 

と見た目から入りたくなる私は、どんな布が合うか妄想しながら、カーテンの取り付け方法を検索。けれど、ちょっと面倒くさそうだったし、カーテンレールを取り付けてしまうと、仕事のとき積荷のじゃまになるのでカーテンはあきらめた。

そして、よく車中泊している車に貼り付けてある、吸盤タイプの目隠しシェードを購入することにした。
(後々、この選択は吉と出る。冬の車中泊は窓の断熱が重要なことをまだ知らない私……)

幸運にも、スズキ・エブリイに適合する商品は、世の中にたくさん出回っているので探すのは簡単。購入したのは口コミでの評価が高かったこちら。

画像1: 初めての車中泊のために用意したグッズ

アイズ マルチシェード。
けれど、フロントとリア全部の窓分を購入すると約3万円! 

宿泊費を浮かせたいがために車中泊を始めようと思ったのに、初っ端から予想以上にお金がかかってしまう……。これは一度きりにする訳にはいかない! と、シェード分の元を取るために、まだ始めてもいない車中泊を継続する決意をした。

その他はいつもキャンプで使っているもので大丈夫かな⁉ と車中泊用に用意したものは以下の3点。

画像2: 初めての車中泊のために用意したグッズ

マット:キャプテンスタッグ EVAフォームマット

画像3: 初めての車中泊のために用意したグッズ

寝袋:ナンガ オーロラ450

画像4: 初めての車中泊のために用意したグッズ

LEDライト:ベアボーンズ・リビング ビーコンライトLED

あれ? そもそも車中泊ってどこでできるの?

画像: あれ? そもそも車中泊ってどこでできるの?

車中泊グッズの用意は万端。でもここでふと、初歩的な疑問が浮かんできた。
「車中泊、車中泊って言うけれど、どこでもしていいの?」

ネットでいろいろ検索してみると、道の駅やSAPAなどで仮眠程度の休憩は可能であること。逆に「車中泊禁止」と明示している道の駅があることなどもわかった。けれど明確に、何が正解なのかは分からない……。なので車中泊のレポートをしているブログなどで、目的地周辺の体験談を探して場所を決めることにした。

調査の結果、初の車中泊場所は今回の目的地「たんばらスキー場」近くにある、「道の駅 川場田園プラザ」に決定!

とってもいいところっぽい! 温泉もあるし♪ ご飯もここで食べたらいいな♪ と、この道の駅に行くことも楽しみのひとつとなった。ゲレンデの麓までの積雪予報はなし! 準備はこれぐらいでOKかな〜。

いよいよ初めての、真冬の車中泊旅に出発!

2017年12月20日、出発前日の夜。「明日はスノーボードへ行くよー!」「お泊まりは車でするよー!」と、超ざっくりと今からの予定をアリに話した。

いつも突然、「今からキャンプ」だと聞かされて、1週間も家に戻らないことがザラにある息子にとっては、特に驚く情報ではない(私は仕事の都合で予定が常に直前まで定まらず、アリには“楽しみにしていたことが中止になるショック”を何度も与えてきてしまったため、出かける予定は、“もうこれ以上変わらない”と確定できる前日に伝えることが多い)

「スノーボード、やったあ〜‼ え⁉ エブリィさんにお泊まりするのー♪」と大喜びのアリ。そして、その反応に喜ぶ私(笑)。アリとこれからから起こることを、一緒に楽しみ、経験できることが、何よりうれしいおかあさん。

画像: スノーボードにワックスをかけるアリ。

スノーボードにワックスをかけるアリ。

ちなみに私のアクティビティ選びのポイントは、「子どものため!」と子ども向けの遊びに付き合うのではなく、「子どもと一緒に自分も楽しめる」を重視。

手軽に子どもが喜ぶ遊び場はたくさんあるけれど、おかあさんである自分が興味のない場所で、子どもを遊ばせても楽しくない! 子どものそばで、つまらない顔をして突っ立っていることがないように、ワガママなおかあさんは一緒に遊んで、2人の時間を楽しく過ごせるモノやコトをいつも選んでいるのだ。

こうして待ちに待った2017年の初滑りに向けて、2人でスノーボードの板にワックスをかけながら「ビューンビューン! いっちゃおう♪」と盛り上がる。

車中泊地に到着したのは夜。あれれ……?

画像1: 車中泊地に到着したのは夜。あれれ……?

2017年12月21日、ついに出発! でもなんだかんだで出発が夕方になってしまい、道の駅 川場田園プラザに到着したのは19時過ぎ。

12月の19時なんて言ったら真っ暗で、あの写真で見た美しい庭もまったく見えない。しかも! お店が全部閉まってる⁉(営業時間を調べておらず、17時までだった)。

チ〜ンとなっている私に「ここでどうするの? ご飯は??」と不安そうなアリ。「よ、よし、車中泊場所の確認OK! 温泉へ行こう〜!」と気を取り直して温泉へ向かうことに。

温泉がある「ホテル田園プラザ」は、道の駅 川場田園プラザから車で約5分。とても簡単なルートだったが、方向音痴の私はナビを見ているにも関わらず、なぜか畑の畦道に入り込んでしまった。

「へええ、こんな道を通るの?」と若干不安になりながらも、辺りは真っ暗なのでほぼ何も見えない。ここを通過すれば開けた道に出ると信じて進んで行くと、雑木林のような場所の前で行止まりになってしまった! Uターンするのも難儀なその場所で立ち往生。

その恐怖は今思い出してもゾクゾクする。明らかにおかしな状況に無言のアリ。不安がらせないよう、なんとか平常心を保とうと、変なテンションで明るく振る舞いながら、畦道からの脱出に成功‼(汗)

そんなドキドキオプションも加え、やっと温泉にたどり着くと「今日はここでお泊まりするのー⁉」とアリ。「違うよ〜温泉に入りにきたんだよ〜!」とサクッと入浴。

入浴後、できればここで夕飯も食べたいなぁと食事処を見ると、その時間帯に食事できるのはホテルのレストランビュッフェのみ。フロントで周辺で食事できる場所がないか聞いてみるも、この時間で開いているお店はコンビニぐらいしかないとのこと。

(節約旅のはずが、親子2人で5000円以上もしちゃうディナービュッフェに入る気にはなれない)

「ここでご飯食べたいー!!!」「ここがいいー‼」と連呼するアリの手を引き、私はコンビニへ行くためにホテルを後にした(今となっては、高いと言っても払えない金額ではないビュッフェをなぜ選ばなかったのかと思うが……)

そして到着したコンビニで、「なんでも好きなものを選んでいいよー!」と温かいうどんを購入。駐車場に停めたエブリィさんの車内で食事をすませると、なんとなく私たちの心も落ち着いてきた。

道の駅に戻ったら飲もう♪ とビールやアリの好きなお菓子なんかも買って気分を上げつつ、次は迷うことなく、道の駅 川場田園プラザに戻った。

画像2: 車中泊地に到着したのは夜。あれれ……?

さて、ここまでかなり想定外な労力を使ったが、ここからがいよいよ初の車中泊だ‼ ひろ〜い駐車場内のどこに車を停めるのがいいか、徐行しながら見てまわり、決めた場所はトイレや自動販売機のある建物の前。その周辺は電灯があって明るいし、もうすでに窓にシェードを貼った車中泊車両が数台停まっていて、少し安心できた。

私たちもさっそく、新品のシェードをアリと2人でぎこちなく窓に取り付ける。そして、いつもキャンプで使っているマットを敷いて、寝袋を広げたら、寝床の完成! それはキャンプ慣れしている私たちにとって、違和感ないスタイルだった。

こうしてやっと落ち着いた時刻は23時頃。疲れきった私たちは、さっきコンビニで買ったお楽しみも出さずに速攻就寝!

テントより暖かいと思っていたけれど……寒すぎる!

画像: いつものテント泊はこんな感じ。薪ストーブのおかげで暖かい。

いつものテント泊はこんな感じ。薪ストーブのおかげで暖かい。

明け方、私は寒過ぎて目が覚めた。アリはまだ寝ている。なんとなくテントよりも暖かいのではないかと思い込んでいた車の中だが、甘過ぎた……半端なく寒い‼

後から知ったことだが、特に軽バンであるわが家の車は断熱材など一切入っておらず、私たちを覆ってくれているのはペラペラな鉄板ボディー1枚のみ。テント泊となんら変わりない。この時期のテント泊は寒いと知っていたはずなのに……。いつもキャンプでは、テント内に薪ストーブや石油ストーブを入れてぬくぬく快適空間を作っているのに……。その辺の思考がすっかり抜け落ちていた。

画像: この1年後、アウトドア×バンライフデザイナーユニットのCiel Bleuに、エブリイさんをカスタムしてもらった。

この1年後、アウトドア×バンライフデザイナーユニットのCiel Bleuに、エブリイさんをカスタムしてもらった。

特に今回、一番辛かったのが下からの寒気。車中泊って地面に直接マットを敷くのではなく、車高分だけ地面からの高さがあるから、底冷えはないだろうと思っていた。だが寒気に包まれている空間は、もちろん底冷えもする。

窓からの寒気は、不本意で買ったシェードで防ぐことができていたけれど、スライドドアのステップ部分からは、寒気がダイレクトに襲ってきていた。震えながらなんとか日の出を待つ。

ようやく外が明るくなり、車外に出ると「ここで楽しい車中泊を!」と夢見た、道の駅 川場田園プラザの美しい広場が目の前に広がっていた。トホホと思いながらよく眠っているアリを起こす。

寝起きの悪いアリは、家やキャンプの朝となんら変わりない様子で、私の声に一度目を開いたが、二度寝を決め込んだようなニヤケ顔でそのまま目を閉じる。寒くないかと聞いても、返事なしのタヌキ寝入り。

アリは昨日の夜、起きた様子もないし、どうやらちゃんと寝られたようだ。それだけが唯一の救いかもしれない。二度寝を楽しむアリを寝袋から引っ張り出し、トイレをすませると、私たちは早々にゲレンデへと出発し、朝から念願の初滑りを存分に楽しむことができた。

画像: テントより暖かいと思っていたけれど……寒すぎる!

アリとおかあさんの車中泊1回目は、なんとも情けない状況で、特にアリにはしんどい思いをさせてしまったけど、無事(?)に達成。

いっぱい反省しながらもきちんと準備をすれば、手軽で格安の旅ができるという実感はあった。3万円かけてシェードも買ってしまったことだし、今回の反省を活かして、また車中泊に挑戦しよう‼ とすでに次の予定を立てる気満々のおかあさんであった。

初めての車中泊。反省点と“当たり前すぎる”教訓

画像: 初めての車中泊。反省点と“当たり前すぎる”教訓

その1 余裕を持って出発するべし

初めての車中泊だからこそ、明るいうちに宿泊地に到着しておくべきだった! 日中であれば駐車場所などを選定できて安心だったけど、到着したのは日が落ちたあと。そのため自分のいる場所がどんなところなのか分からず、夜を過ごすのが不安だった。

その2 道の駅の営業時間を確認するべし

道の駅でご飯を食べたかった! 食事処の営業時間を確認しておくべきだったが、未確認だったため、到着してからすべて閉まっていることを知った(そもそも道の駅の閉店時間は早いことが多い)。営業時間を確認していて間に合わないことが分かっていたら、店舗が少なくなる前の国道などで食事することもできたはず。

その3 装備を甘くみるな

冬の車中泊はとっても寒かった! 
●車外から入り込む寒気をしっかり遮断できるアイテムを用意する。
●寝る時のウェアの見直し。ブランケットやホッカイロなど暖かいものをプラスアルファする。
●周囲で何も買えなかった時のために常備食を備えておく。

その4 無理しない選択をすることも必要

せっかく食事できる場所があったのに、利用せずにコンビニへ行ってしまったが、自分の想定したことにとらわれずに無理しないよう、柔軟な行動をしよう。

ーーーーーー
失敗しながら、学習しながら、少しずつ進化していくアリとおかあさん。次回は雪の中の車中泊挑戦レポの予定です。どうぞお楽しみに!!

画像: その4 無理しない選択をすることも必要

著者プロフィール 三沢真実

クリエーターズユニットCAMMOC(キャンモック)にて「キャンプのある暮らし」をテーマに、情報発信、キャンプコーディネート、イベント企画、などを⾏うクリエイティブデザイナー。現在6歳の息⼦と2⼈で⽇本⼀周車中泊&キャンプ旅の途中。
Instagram @mamimisawa
HP http://mamimisawa.com
CAMMOC Instagram @cammoc
HP http://cammoc.com

★連載「アリとおかあさんの車旅」記事一覧はこちら★

★カーネル最新号 vol.46 好評発売中!★

This article is a sponsored article by
''.