2016年4月に発生した熊本地方の大地震。その後、相次いで報道された被災地での「車中泊が原因とされるエコノミークラス症候群」は、なぜ起こったのでしょうか? けっして車中泊に適しているとは限らない一般のクルマですが、「正しい寝方」を知れば、エコノミークラス症候群を発症する確率は、グッと下げられます。ここでは、そんな「ならない」ための方法を解説しましょう!
原因
狭い椅子などに座ったまま、長時間、足を下にして同じ体勢で過ごすと足の血液の流れが悪くなり、血管の中に血栓ができることから発症します。
症状
呼吸困難が主な症状。初期段階はでは、下肢の赤み、腫れ、むくみ、だるさなど。
予防3原則
①できるだけ足を上げて心臓と同じ高さにして寝る。体勢も適宜変更!
狭い車内で同じ体勢で長時間にわたって滞在することが多くなると、体内の血流が悪くなります。特によくない姿勢は、足を下にして長時間寝ることです。足は心臓から最も遠い部位ですが、そこを下にしていると、血液が足に滞ってしまいます。可能であれば、足を心臓と同じ高さくらいにして過ごすことや同じ向きで寝ないこと、など体勢を変えることをおすすめします。また、足の血液を心臓に循環させるために、とても重要な働きをする筋肉がふくらはぎで、ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれています。長時間同じ体勢で、足から心臓への循環がうまくいかなくなった際は、ふくらはぎの働きを助ける「サポートソックス」を着用することもおすすめです。
②適度な運動や、足をマッサージ、曲げ伸ばしすることは有効
血液の循環が悪くなることが、エコノミークラス症候群の大きな原因です。血液の循環をよくするためには、日中に適度の運動を行うことも大事です。また、マッサージを行うことも効果的です。狭い車内でもできる方法としては、靴を脱いで、足首の曲げ伸ばしを行ったり、足の指でじゃんけんを行ったりしましょう。固まった筋肉をほぐすことで、血流は改善します。
③適度な水分補給が大切。夜間もできれば車内に水分を保管したい
車中泊が多くなると、トイレの問題などがあり、水分摂取が足りなくなります。水分摂取が不足してくると、血液の中が脱水状態となり、血液が凝固しやすくなります。これもエコノミークラス症候群の原因です。夜間も車内で水分補給ができるように、保管しておくことが大切です。
監修/安藤真由子 ㈱ミウラ・ドルフィンズ/㈱スマートコーチング所属。登山者のトレーニングプログラムの開発・提供などを行うほか、三浦雄一郎氏の体力測定なども担当