【概要】2泊2日で行く湯めぐり車中泊の旅・山梨編③。甲斐、甲府、峡東エリアの温泉スポットなどを全国を車中泊旅するruiさんが紹介。

甲斐・甲府・峡東エリア

町のあちこちに温泉がある甲府盆地。おすすめのスポットを紹介。

竜王ラドン温泉

湯治に大人気、元祖「吸う温泉」

100%源泉かけ流しの密閉された浴室に、ラドン発生装置で生成したラドンガスを送り、吸入または温浴中に肌よりラドンを吸収するという、一風変わった温泉。

サウナ以上に発汗作用が強く、短時間で体が温まり、1980年の開設以来、湯治湯として根強い人気がある。

館内全体にレトロな雰囲気があり、湯治用に宿泊施設やランドリーなども完備。

湯村温泉郷

武将や文豪に愛された温泉郷

毎分1トンもの湧出量がある湯村温泉は、およそ1200年前に弘法大師によって開湯したといわれ、武田信玄が湯治に訪れたことから「信玄の元湯」ともいわれている。

太宰治や井伏鱒二、松本清張などの文豪が執筆のために滞在したことで知られる。大通りを一筋曲がると現れる、甲府の街並みに溶け込んだ温泉郷。

石和温泉郷

県内最大規模の温泉宿数

高度経済成長期、川に流出した温泉を利用し即席で作られた「青空温泉」がメディアに取り上げられ一躍有名になり、最盛期には「熱海に次ぐ」とまで言われた石和温泉郷。

都心からのアクセスのよさから、現在でも50もの温泉宿が軒を連ねる山梨県最大規模の温泉郷である。

大菩薩の湯

最高レベルの高アルカリ温泉

甲州市にある「甲州市交流保養センター 大菩薩の湯」は、大菩薩嶺の麓に湧く、水素イオン濃度がpH10.5と湯触りの柔らかい日本有数の高アルカリ性温泉。

サウナ、ジャグジー、寝湯も充実しているが、南アルプスの雄大な景色を眺めることができる露天風呂が魅力。

岩下温泉旅館 旧館

甲州最古1300年の歴史をもつ冷泉

山梨市の静かな住宅街にある岩下温泉は岩下温泉旅館の一軒のみ。その旧館は1875年に建てられ、現在は国の登録有形文化財になっている。

浴室には高温と低温のふたつの浴槽があり、体を温めた後はタオルだけを巻いて廊下を渡り、半地下の源泉へ。源泉は無色透明の冷泉で、泉温は28℃と低く、交互浴を何回か繰り返す。

明治・大正時代の温泉宿ではこういった半地下になっている浴場が多く見られた。100年の歴史を肌で感じられる名湯だが、入浴料はたったの500円。

ほったらかし温泉

年間45万人が訪れる大人気温泉

山梨で最も有名な温泉といっても過言ではない「ほったらかし温泉」。「あっちの湯」は日の出の1時間前から営業を開始し、富士山から昇る朝日が露天風呂から見られる。

併設のキャンプ場は「日本一予約の取れないキャンプ場」としても有名。

やまなしフルーツ温泉 ぷくぷく

ほったらかし温泉に負けず劣らず

ほったらかし温泉の少し下にある「やまなしフルーツ温泉 ぷくぷく」にも甲府盆地と富士山を一望できる露天風呂があり、四季折々の果物が浮かんでいる。

設備の整った館内には食事処や休憩所、絶景テラスもあり、営業時間がほったらかし温泉より1時間遅い23時までなのも魅力のひとつ。

天然温泉が楽しめる、穴場レトロ銭湯

新遊亀温泉

住宅街にたたずむ源泉かけ流しの温泉銭湯。温度の異なる3つの浴槽からなり、いずれも黄褐色がかった透明のモール泉が贅沢にかけ流されている。

喜久乃湯温泉

1926年創業、新婚時代の太宰治も通ったという歴史ある銭湯。源泉かけ流しで、カランもシャワーもすべて源泉の湯を使用している。

石和温泉

石和温泉街から少し離れたところにある公衆浴場。入口を入ると居酒屋風の食事処があり、「石和で二番目に旨い正油ラーメン」が名物。

ふじ温泉

黄味がかった単純温泉で、源泉そのままの水風呂、ぬる湯、あつ湯、電気風呂の4つの浴槽に分かれている。泉質は柔らかい肌触りの美肌の湯。

一度は食べておきたい山梨の郷土料理「ほうとう」

山梨の郷土料理「ほうとう」のチェーン店として県内でよく見かける「小作」。9店舗あるうち、巨大な水車が目印の竜王玉川店は、もともと剣術指南所の道場だった古民家を改装してあり、雰囲気も抜群。

囲炉裏のある畳敷の大広間で食べるほうとうはおいしさも倍増。かなりボリューミーなので、空腹時に行くのがおすすめ。

写真、文:rui 
写真協力:竜王ラドン温泉、韮崎市観光協会、甲斐駒ヶ岳温泉 尾白の湯、ふじやま温泉、富士眺望の湯 ゆらり 
初出:カーネル2024年3月号vol.65