【概要】車中泊雑誌『カーネル』USAブランチによる「CES 2024」レポート④。ホンダ、メルセデス・ベンツ、キア、アフィーラ、セグウェイのEVモデルや展示車両などを紹介。

HONDA

EV専用チャンネルを発表したホンダ発のニューストリーム

セダンという位置付けのSLOON。

日本の自動車メーカーのなかで、最も鮮明にEVシフトを発表しているホンダ。そんな同社がCES 2024で新しいEVラインアップとブランドを発表した。

リアがキックアップしたウエッジの効いたサイドシェイプやヘッドライトの収まり具合など、カウンタックに酷似した印象を受けたのは自分だけではないだろう。

HONDA ZEROと名付けられたEVモデルシリーズで、セダンという位置付けのSALOONと、ミニバン的なデザインのSPACE-HUBの2台に注目したい。

ほかの自動車ブランドがEVモデルにはより重厚感のあるスタイルを取り入れるのに対し、ホンダが出した方向性はエアロダイナミクス。

SPACE-HUBもこのままのデザインで登場してくれれば、新しいモビリティの存在感を打ち出していくことができるだろう。

日本のメーカーとしてはかなり先進的なデザインでデビューさせたが、SALOONを2026年には市販化するとも発表していて、ホンダの本気度が垣間見える。

現実的には世界的にEVシフトが減速傾向のなか、どのような展開を見せるのか見守りたい。

Mercedes-Benz

ソフト、ハードの両面で進化するスリーポインテッドスター

前後のライトにMBロゴをあしらったデザインのCLAを新しいコネクテッドテクノロジーのモデルカーとして発表。

新コンセプトカーCLAをベースに、CESでの発表にふさわしい自社開発の新OSを搭載したコネクテッド・カー技術を発表。

フル電動のGクラスワゴンは、ありそうでなかった存在。EVプラットフォームの良さを活かせば、エンジンモデルよりも登坂能力などは高くなると想像できる。

また人気のGクラスにフルEVバージョンを初お披露目するなど、架装技術だけではなく、すぐに手に入る市販車情報を発表したメルセデス・ベンツのブース。

常に人だかりができていたことからも、ビジターが新しい技術や新型車両に興味を持っていることがうかがい知れる。

KIA

売れるクルマの条件とは? 洗練されたデザインで市場をリード

コンセプトカーのデザインから大きくスポイルすることなく実車をリリースしてくるキア。新しいEVシリーズはヒットすることだろう。

ヒョンデグループの傘下に入り、米国でも飛躍的な販売実績の伸びを見せるキア。基本的にはすべての車種をヒョンデとのプラットフォーム共通化で効率よく製造しているが、注目すべきはその巧みなデザイニング。

“自動車のヒットの鍵はデザイン”というコンセプトを思い出させるほど、現在のキアのクルマのデザインは洗練されているといっていいだろう。

たしかにこの2ブランドのクルマは性能的にもデザイン的にも他社のコピーで低価格がウリであったが、それはもう10年以上も昔の話だ。

すべての車種に乗った事はないのでコメントできないが、消費者に訴えかける上手なデザイン手法は、現在の日本車をはるかにしのぐと個人的には感じている。今回発表された新しいEVシリーズのデザインも品よくまとめられていた。

AFEELA

市販化に向け煮詰められ期待が膨らむコラボ・ブランド

昨年、同ショーで見たプロトタイプと比較し、細部がかなり市販化に近づいたシェイプになった印象を受けた。

鳴り物入りで誕生したソニーとホンダの提携による同ブランド。早くからその存在が発表されていたアフィーラは、昨年展示されたプロトタイプより、市販化の準備が進んでように見えた。

ルーフ先端にはカメラユニットを搭載し、本格的な自動運転を目指した仕様となってきたようだ。

コネクテッド・カー技術やAIテクノロジーを活用し、ホンダの誇るEV技術と組み合わせることで、さまざまなモビリティサービスを提供するクルマになるとのこと。

Segway

テクノロジーで話題を独占したあのブランドのいま

約20年前に左右二輪で自立走行ができるスクーターを発表し、一世を風靡したセグウェイ。その最新情報はというと、2015年にナインボット社に買収され、さらに一般的な製品ラインナップを強化中。

自己バランス型のスクーターにとどまらず、E-bikeやホバーボード、配膳ロボットなど世の需要に合わせた商品展開に切り替えているが、いずれもAI技術やセンサーテクノロジーを活用したハイテク製品を中心にリリースする。

写真、文:Yusuke Makino, June(カーネルUSAブランチ) 
初出:カーネル2024年3月号vol.65