【概要】栃木の車中泊旅におすすめの温泉郷を紹介。②では塩原温泉郷、湯西川温泉、那須温泉郷について。車中泊スポット情報、グルメ、観光情報も。

およそ600もの源泉が湧き出る、関東随一の湯処・栃木県。全国的に有名な名湯も、知る人ぞ知る秘湯も、車中泊ならではのめぐり方で個性豊かな温泉郷を満喫しよう!

塩原温泉郷

文人墨客も愛した、日本で最初の温泉郷

箒川沿いに点在する11の温泉を総称して「塩原温泉郷」と呼び、「塩原十一湯」として1000年以上の歴史をもつ。

田山花袋が著書『温泉めぐり』で塩原十一湯を「温泉郷」と評したことが温泉郷という表現の最初の事例といわれている。

夏目漱石など多くの文人が訪れ、尾崎紅葉は『続々金色夜叉』を十一湯のひとつ・畑下温泉で執筆し、作中にも登場させた。

全長60m、日本最大級・足湯の回廊「湯っ歩の里」

十一湯のひとつ、門前温泉にある日本最大級の足湯「湯っ歩の里」は、全長60mの回廊式の足湯。

6種類の浴槽があり、温度の違いを楽しむことができる。また塩原温泉郷の情報も多く扱っており、最初に訪れると全体像の把握に役立つ。

温泉マニアが絶賛する奥塩原の秘湯「むじなの湯」

十一湯のなかでも「奥塩原」と呼ばれる新湯温泉には3つの共同浴場がある。「寺の湯」「中の湯」ともうひとつがこの「むじなの湯」だ。

足元の岩の割れ目からわき出る自然湧出の湯は高温で、加水したり湯もみしながら入る。男女別だが浴槽はつながっており、片方が加水するともう片方の温度も変わる。

湯治場の風情を残す秘湯は温泉マニアの間でも評価が高い。

塩原のご当地グルメ・スープ入り焼きそば

ソース焼きそばをどんぶりに入れ、醤油ベースのスープを注ぐ、と聞くと驚くかもしれないが、この「スープ入り焼きそば」は塩原温泉で50年以上も親しまれている。

「釜彦」(上写真)はちぢれ麺に鶏肉とキャベツとなると、「こばや食堂」(下写真)はストレート麺に豚肉とキャベツと、アレンジもさまざま。

半信半疑で食べてみるとクセになる、そんなご当地グルメだ。

塩原温泉で車中泊するなら

「道の駅湯の香しおばら」は塩原温泉郷の玄関口にあり、塩原をめぐる拠点として便利。

併設の「アグリパル塩原」には地元の農産物が並び、レストラン、ベーカリーもあり。コンビニも近く、駐車場も広い。

湯西川温泉

平家落人の隠れ里

壇ノ浦の戦いに敗れた平家の落人が、河川にわき出る温泉を見つけ傷を癒やしたという伝説が残る湯西川温泉。

源氏に見つからないよう、鯉のぼりをあげない、焚き火をしない、鶏は飼わないなど独特な風習が現代にも残る。

鬼怒川温泉は「東京の奥座敷」と呼ばれていたが、湯西川温泉はさらに「鬼怒川温泉の奥座敷」と呼ばれ、それくらいひっそりと息をひそめるようにたたずむ温泉地だ。

巨大な水車が目印「湯西川 水の郷」

日光市「湯西川 水の郷」は湯西川温泉の玄関口にあり、湯西川の観光拠点となっている。源泉掛け流しの日帰り温泉や日本で唯一の「蝶の美術館」などもある。

水の郷には大きな足湯、水陸両用バスもあり

水の郷には、日帰り温泉だけでなく湯西川の渓谷を眺めながら入ることのできる大きな足湯もある。

また、道の駅湯西川までの道のりを結ぶ水陸両用の観光バス「ダックツアー」では、バスに乗ったまま湯西川ダム湖をクルーズし、ダムの施設内も見学できる。

落人の暮らしに想いをはせる「平家の里」

湯西川に逃げ延びた平家落人の生活様式を再現するために、村内の茅葺き屋根の民家を移築した民族村。

6月には「平家大祭」が開催され、鎧兜の武者や雅びやかな姫が練り歩く平家絵巻行列が行われる。

湯西川名物 ばんだい餅入りけんちん汁

湯西川のある栗山地域に古くから伝わる郷土料理「ばんだい餅」は、もち米の代わりにうるち米を使うのが特徴。

普通の餅より粘り気が少なくなめらかな食感は新鮮で、けんちん汁にもよく合う。

湯西川温泉で車中泊するなら

湯西川温泉の10kmほど手前、湯西川温泉駅に併設の「道の駅湯西川」には、岩盤浴もある源泉掛け流し温泉「湯の郷」があり、営業時間も20時と比較的遅くまで開いている(最終受付は19時)。

那須温泉郷

自噴湧出量トップの高原リゾート

自噴湧出量全国6位、栃木県内ではトップの那須温泉郷は、那須連山の主峰・茶臼岳の山腹に散在する温泉地の総称である。

「鹿の湯」の源泉発見から1400年あまり続く歴史のある温泉郷で、『平家物語』では那須与一が「那須の温泉大明神、願わくば、あの扇の真ん中射させてたばせ給え」と祈願するほど、温泉信仰のあつい地域だった。

一般的に「那須八湯」と呼ばれる8つの源泉はそれぞれ効能や泉質が異なり、高原リゾートから徒歩でしかいけない山奥の秘湯まで、個性豊かな温泉を楽しむことができる。

那須温泉のシンボル「鹿の湯」

猟師が逃げる鹿を追って山奥に入ると、傷ついた体を温泉で癒やしているのを発見した説話が名前の由来となっている、那須温泉を象徴する名湯「鹿の湯」。

200回かぶり湯をしたあと、41〜48℃まで6種類の浴槽から好みの温度を選んで入浴する珍しい入浴法の温泉。

江戸から続く湯治場、究極レトロな「北温泉」

駐車場から徒歩で5分ほど奥深い谷を進むと現れるひっそりとした一軒宿。江戸時代に建てられた建物を中心に、明治、昭和に増築された古い木造建築はまるで映画のセットのよう。

山伏の修験場だった「天狗の湯」や巨大な「泳ぎ湯」など複数の温泉が日帰りでも利用できる。

那須の名(迷)所、ピラミッド元氣温泉

クフ王のピラミッドを正確に10分の1に再現した建物とスフィンクスのインパクトが大きすぎて一見怪しげに思えるが、温泉自体は源泉かけ流しの天然温泉。

鳥獣が近づけば命を失う「殺生石」

退治された「九尾の狐」がその姿を変え、毒を発する石になったという伝説のある「殺生石」。その正体は火山ガスが噴出する地帯にある溶岩である。

かつて松尾芭蕉も訪れ、『おくのほそ道』で「石の香や 夏草赤く 露暑し」という句を残した。

まるで異国・アジアンオールドバザール那須

バリ島やタイ、ベトナムなどのアジア料理が楽しめるレストランやアジア雑貨が豊富なショップが軒を連ねる。アジア雑貨好きの聖地のような存在として人気が高い。