【概要】一般車のなかで車中泊モデルとして人気が高かった名車を車中泊雑誌『カーネル』編集長・オオハシが紹介する連載企画。第2回はホンダ・S-MXについて。

ホンダ「クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)」第4弾!

「恋愛仕様」。このキャッチコピーを覚えている人は、きっと1990年代後半に青春時代を送った人ではないだろうか?

懐かしい車中泊モデルを紹介する連載の第2回は、ホンダ・S-MXを紹介したい。

オデッセイ、CR-V、ステップワゴンに続く、ホンダ「クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)」の第4弾として登場。

1列目、そして2列目ともにベンチシート仕様。

2列のベンチシートが、そのままフルフラットになり、車内がダブルベッド仕様になった。

まさに20代前半、青春を謳歌していた筆者。当時在籍していたクルマ雑誌の撮影でS-MXを見て、びっくりしたのを覚えている。

「ラブホ、いらないじゃん⁉」とふしだらな妄想を膨らませざるを得なかったからだ。しかもキャッチコピーは「恋愛仕様」。うーむ……攻めたなホンダ。

イメージカラーはオレンジ。おおまかに2WD(写真)と4WD、そして2WDのローダウンの3グレードがラインアップされた。

しかしいま考えると、なかなか優れた車中泊モデルなんだな、これが。

当時は、1列目と2列目シートをつないで一体化するアレンジを、便宜上すべて「フルフラット」と呼んでいた。しかし、本当にフルフラットになるクルマは少なかった。

2列目が300mmもスライド可能で、まさにフルフラットになったシートアレンジが特徴的。

だが、このS-MXのシートを見てもらえればわかるとおり、多少段差は残るものの、かなりフルフラットに近い。

さらに、1列目のベンチシートはセパレートして背もたれを動かせる。つまりソロでの使用なら、助手席をずっとベッドにしておくことも可能。

4m未満の短い全長ながら、2ℓエンジンを搭載。街中をキビキビと走る姿が記憶に残る。

現在の人気車中泊モデルであるホンダ・N-VAVに通じるシートアレンジが可能だった。車内高は1250mmあったので必要十分。

蛇足。ティッシュ箱置き場もあったような気がする!?

ホンダ・S-MX

販売期間:1996年11月~ 2002年

後席ドアが左側のみといういまでは珍しい仕様。当時は、スズキ・ワゴンRや三菱・RVRなど、ハイトワゴンに多かったスタイルだ。

文:大橋保之(カーネル編集部) 
初出:カーネル2024年1月号vol.64