【概要】「キャンピングトレーラー」の魅力を紹介。基礎知識、メリット・デメリットなど。

キャンピングカーの種類は、「自走式」と「牽引式(けんいんしき)」に大きく分けられる。

キャブコンタイプのキャンピングカー。

「自走式キャンピングカー」は、自動車に居住部分を架装した車両のこと。居住部分ごと自走できるのが特徴で、軽キャンパー、バンコン、キャブコン、バスコン、フルコンなど、ほとんどのキャンピングカーがこれにあたる。

キャンピングトレーラーと呼ばれるけん引式キャンピングカー。

「キャンピングトレーラー」「トラベルトレーラー」と呼ばれる「牽引式キャンピングカー」は、動力装置(エンジン・ミッション)や操舵装置を持たず、他車で牽引することを前提とした車両のこと。

日本では少数派だが、キャンピングカー先進国の欧米では非常に人気の高いカテゴリーだ。

キャンピングトレーラーは「クルマで引っ張る家」

キャンピングトレーラーは、フレームと車軸で構成された牽引用シャーシに居住用のキャビンを一体化した構造となっている。

自走式キャンピングカーが「車内で生活できるクルマ」なら、キャンピングトレーラーは「クルマで引っ張る家」の感覚。

ヘッド車と連結した迫力のスタイルを見て「特殊な免許が必要なのでは?」と考える人も多いかもしれないが、総重量750kg以下のトレーラーであれば普通免許で牽引することが可能だ。

キャンピングトレーラーのメリット

キャンピングトレーラーの最大のメリットは、コクピットやエンジン・ミッションがないため、すべての空間を居住スペースとして使えること。

同じサイズの自走式キャンピングカーと比べると、室内空間の広さは圧倒的! 普通免許で牽引できる小型トレーラーでも、家族でゆったり過ごせる広々とした生活スペースを確保できる。

さらに、牽引式ならではの大きなメリットが、ヘッド車とトレーラーを切り離せることだ。

普段はヘッド車をファーストカーとして通勤や買い物などで乗り回し、休日にはヘッド車とトレーラーを連結してアウトドアレジャーや旅を楽しむことができる。

オートキャンプ場やRVパークにトレーラーを置いて、ヘッド車単体で観光や買い出し、日帰り温泉などに出かけられるのも非常に便利。

クルマと居住部分が分かれているため、ヘッド車が古くなったり故障したりしても、トレーラーはそのままでヘッド車のみ交換すればOKだ。

自走式キャンピングカーと比べて、コスト面のアドバンテージも大きい。動力装置を持たないシンプルな構造のため車両価格が安く、自動車税や重量税、車検などの維持費もリーズナブル。

すでに所有しているクルマをヘッド車として使用すれば、トレーラーのみ買い足せばいいので購入価格が安く上がる。

実はデメリットも多い、キャンピングトレーラー

いいことずくめのように思えるキャンピングトレーラーだが、「牽引式」という特殊な車両だけに実はデメリットも多い。

最大のデメリットは、フットワークの悪さ。ヘッド車とトレーラーを連結すると全長が10mをゆうに超えるため、トレーラーを牽引してあちこち移動しながら旅をするスタイルには不向き。

観光や買い物の際に止める場所に困ってしまったり、狭い道を走るのにストレスを感じてしまう可能性がある。

ふたつ目のデメリットは、高速料金が高いこと。トレーラー牽引時の高速料金は、ヘッド車のワンランク上の料金が適用される。

普通車区分のヘッド車なら中型車料金、1ナンバーのクロカン4WD車などがヘッド車の場合は大型車料金になり、8ナンバーの自走式キャンピングカーと比べて高速料金が高額になる。

3つ目のデメリットは、ヘッド車以外にトレーラーの保管場所も必要になること。

自宅の敷地に駐車できれば問題ないが、月極駐車場を利用している場合は最低でも2台分を確保する必要がある。

大きなキャンピングトレーラーの場合は、月極駐車場のスペースに止められず、遠方のモータープールを利用するしかないことも……。

圧倒的な居住性! 滞在型の車中泊旅におすすめ

大きさゆえのデメリットもあるが、自走式キャンピングカーとは一線を画すコストパフォーマンスと圧倒的な居住性が、キャンピングトレーラーの大きな魅力。

保管場所が確保でき、「キャンプ場やRVパークを利用した滞在型の旅」が多いユーザーにとっては、かなり魅力的な選択肢と言えるだろう。

文:岩田一成 
写真:中里慎一郎ほか

岩田一成プロフィール

キャンピングカーライフ研究家/ライター。新車のキャンピングカーを3台乗り継ぎ、家族と一緒に1000泊以上のキャンプ・クルマ旅を経験。雑誌、書籍、新聞、WEB、イベント、テレビ、ラジオなど、様々な形でキャンピングカーの魅力を発信している。著書「人生を10倍豊かにする至福のキャンピングカー入門」(グラフィス刊)