【概要】群馬の車中泊旅におすすめの温泉を紹介。車中泊スポットや観光、グルメの紹介も。夜出発の2泊2日で行く温泉大国・群馬湯めぐり車中泊旅①。

「ババンババンバンバン♪」で有名なザ・ドリフターズの名曲『いい湯だな』、この曲はじつはカバー。

原曲はデューク・エイセスの47都道府県をテーマにした『にほんのうた』シリーズの、群馬県のご当地ソングとしてリリースされたものである。

歌詞もドリフ版では全国の温泉が歌われているが、原曲は群馬の温泉だけで構成されている。それくらい、「群馬県といえば温泉」というイメージが強かったのだろう。

室町時代から有馬、下呂とともに草津が「日本三名泉」に数えられ、戦国時代には武将が傷を癒やしに、明治以降には数々の文人墨客が訪れ、多くの作品を残した。

また、群馬県安中市の磯部温泉は、古地図に日本最古の温泉マーク(♨)が記された「温泉記号発祥の地」でもあり、群馬と温泉の歴史の深さを表している。

関東圏からアクセスもよく、2~3時間の運転で趣のある温泉郷にたどり着ける。

また、数ある温泉郷のそれぞれの距離が近いので、長湯さえしなければ、1日で何カ所かを回ることができるのも魅力だ。

温泉地が多すぎて選び切れないなら、最初は車中泊旅で日帰り温泉を下見し、気に入った温泉郷を見つけたら今度は旅館やホテルを取ってゆっくり滞在する、というプランもいいだろう。

群馬は温泉郷同士が意外に近い!

群馬の温泉郷は北部に密集しており、それぞれの距離も近い。万座〜草津は約30分、草津〜伊香保は約1時間、湯宿〜湯ノ小屋も約1時間。その気になれば、朝昼夜で違う温泉郷に入ることも可能だ。

万座温泉

天空に最も近い温泉郷

総天然木造りの「長寿の湯」。とろりとした源泉掛け流しや、湧水を温泉熱で温めた、さらりとした「真湯」など4種類の湯船がある。

草津温泉からクルマで約30分ほど白根山に向かって走ると、嬬恋村の上信越高原国立公園内、標高1800mに位置する万座温泉にたどり着く。

通年営業している宿泊施設の付いた温泉としては日本最高所であり、6軒あるホテルや旅館は冬になるとスキーヤーでにぎわう。

日進舘の正面玄関。入り口近くで放し飼いになっているウサギが出迎えてくれる。駐車場は大型車も駐車可能。

なので、逆にグリーンシーズンが狙い目で、高原からの絶景を楽しめる温泉を独り占めできることもある。高原であることから夏も涼しく、避暑にももってこいだ。

硫黄濃度が日本一の温泉で、自噴する乳白色のにごり湯は古くから湯治湯として栄えた。

日進舘から徒歩で30秒ほどの離れにある露天風呂「極楽湯」。洗い場はないので先に「長寿の湯」に入っておくのがおすすめ。万座の雄大な山々が一望できる。

ほとんどのホテルで日帰り入浴が可能だが、万座高原のなかでも最も高い位置にある日進舘は、日帰り入浴料金で総天然木造りの大浴場「長寿の湯」と、少し離れた所にある露天風呂「極楽湯」のふたつが楽しめる。

万座温泉で車中泊するなら

万座温泉にはコンビニ、GS、ATMがない。近隣の「万座しぜん情報館」の駐車場にはトイレはあるが車中泊は禁止。硫黄のにおいで寝苦しいだけでなく、周辺は硫化水素ガスも発生しているので危険。

横手方面に進んだ渋峠駐車場には一応バイオトイレはあるが、こちらも周辺に何もなく、やや傾斜もあるので上級者向け。草津温泉まで下りるのがベター。

草津温泉

じつはとっても車中泊向きスポット

草津温泉のランドマークとして誰もが一度は目にしたことがある「湯畑」は、実際に訪れてみると想像以上に大きく、これを見るだけでも訪れる価値はあり。

「恋の病以外はなんでも治す」と古くから伝わる薬湯として全国的に有名な草津温泉。岐阜の下呂温泉、兵庫の有馬温泉と並び「日本三名泉」のひとつに数えられる。

前橋からクルマで約2時間、何もない山道をしばらく進むと突然大きな温泉郷が現れる。

草津温泉のシンボルとして芸術家・岡本太郎がデザインした湯畑のある広場を中心に、古き良き風情のある街並みが広がり、休日は多くの観光客でにぎわう。

この湯畑は、80℃近い高温の源泉を加水することなく温度を下げるためのものであり、湯の花を採取する目的も兼ねている。

湯畑のライトアップは日没から24時ごろまで。温泉に入った後、浴衣のまま街歩きをする観光客も多い。源流の方に四角に組まれた木の枠が沈んでいるが、これは「御汲上の湯」といい、徳川家が温泉を樽詰めにして江戸城へ運んでいた場所である。

この広大な湯畑が幻想的に浮かび上がる夜間のライトアップも人気。泉質は、1円玉を1週間で溶かしてしまうほど強い日本屈指の強酸性で、それゆえ殺菌効果も強い。

湯あたりはぬるっとしており、肌がピリピリするのが特徴的で、湯につかっているとそれだけで体力が回復しているような気にさせてくれる。

草津名物「湯もみ」は温度を下げるだけでなく、湯を柔らかくする効果もある。湯畑に隣接する「熱乃湯」では湯もみの実演が1日6公演行われており、日・月曜は湯もみ体験もできる。

この山奥の一大観光地には温泉だけでなく、多くの飲食店やコンビニなど過ごしやすい環境がそろっており、無料駐車場や車中泊公認の駐車場まである。

クルマ旅でも快適に長期滞在ができるので、近隣の温泉郷に行っても、車中泊するためだけに戻ってきたくなるほど、車中泊向きのスポットだ。

草津三湯めぐり まずはこの日帰り温泉からスタート

湯畑に隣接の「御座之湯」は、「湯畑源泉」と「万代源泉」の2種類の源泉を一度に楽しめる。ここで外出用の浴衣をレンタルして街歩きに出かけよう。

初めて草津を訪れたなら、まずは草津三湯とも呼ばれる「御座之湯」「大滝乃湯」「西の河原露天風呂」をめぐるのがおすすめ。

湯畑から徒歩10分ほどにある「大滝乃湯」は、温度の低い浴槽から高い浴槽へ順番に入っていく「合わせ湯」という独特の入浴方法が特徴。

「ちょいな三湯めぐり手形」という共通券を購入すれば、通常よりも750 円(大人)安く入場できるうえに、有効期限もないので買っておいて損はない。

またアプリ版の電子スタンプカードもあり、スタンプ5個ごとに入浴が1回無料になる。草津をリピートするなら必携のアプリだ。

圧倒的なスケールの「西の河原露天風呂」は湯畑から徒歩10分ほどの西の河原公園にある。公園自体も景勝地で無料の足湯もあり。

温度が高めの露天風呂だけに出たり入ったりを繰り返して「ととのう」ことができる。冬ならなお格別。

草津温泉で見つけたおすすめスポット

草津でもひときわ盛況な「草津温泉プリン」は、地元の榛名牛乳を使用した「湯もみプリン」や「湯畑プリン」などが大人気。

なかでも「夜の湯畑プリン」はレモンをかけるとライトアップのように色が変化する。

草津温泉を歩いていると必ず目につくのが焼き鳥店の多さ。夜になるとどこも行列ができ、串を片手に食べ歩く姿をよく見かける。週末にもなると1時間近くも並ぶ店もある。

中心から少し離れた「裏草津」とも呼ばれる地蔵地区には、全国的にも珍しい「顔湯」がある。

真下に「地蔵源泉」が流れる箱をのぞき込むと蒸気が顔に当たる仕組みになっている。

草津温泉で車中泊するなら

「湯畑観光駐車場」は宿泊料金の設定があり、車中泊が公式に認められている。15時〜翌10時まで小型800円、キャンピングカーは2000円で車中泊が可能。

1階は機械式で24時間入出庫可能、高さ制限は2.2m。車高の高いクルマは係員のいる2階へ。1階奥にトイレと可燃物のゴミ箱もあり。

ローソンが向いにあり、湯畑まで徒歩3分と立地も抜群。多少並んででも駐車する価値あり。

四万温泉

草津、伊香保と並ぶ上毛三名湯

コンビニやファストフード店はおろか、信号すらない四万温泉には都会の喧騒とかけ離れた静かな街並みが広がる。

「四万(よんまん)の病をいやす」と言われたことからその名がついた「四万(しま)温泉」は、1954年に青森の酸ヶ湯温泉、栃木の日光湯元温泉とともに「国民保養温泉地」の第1号に指定された由緒ある温泉である。

町営の共同浴場は時間帯によっては、観光客も利用できる所もある。

中之条町から四万川沿いに北上するとたどり着く、山々に囲まれた群馬の奥座敷。かつては、強酸性の草津の湯で湯治したのち、保湿、美肌効果のある四万温泉に滞在するのが定番だったことから「草津の仕上げ湯」とも呼ばれていた。

積善館 日本最古の湯宿建築

朱塗りの欄干が鮮やかな「慶雲橋」の奥にそびえる積善館本館。スタジオジブリが公式に認めたわけではないが、山形の銀山温泉や長野の渋温泉などとともに『千と千尋の神隠し』に登場する「油屋」のモデルのひとつといわれている。

四万温泉を代表する老舗旅館「積善館」は1691(元禄4)年創業。現存する日本最古の湯宿建築であり、山荘は国の登録有形文化財。

1階の洋式建築部分が大浴場「元禄の湯」で、大正ロマンの雰囲気を感じられるモダンなホール風建築となっている。湯船の底からお湯が湧き出ており、壁の小さな扉を開けると1名用の蒸し風呂が現れる。

島村 群馬名物・焼きまんじゅうの名店

四万温泉で有名な、群馬名物・焼きまんじゅうの名店「島村」。甘辛の味噌だれを塗って、炭火でていねいに焼き上げた焼きまんじゅうは、食べ慣れた群馬県民も「本物」と認める絶品。

四万温泉で車中泊するなら

四万温泉から距離はあるが、道の駅六合(「六合」と書いて「くに」と読む)には日帰り温泉「応徳温泉 くつろぎの湯」と「RVパーク応徳温泉」が併設されているので何かと便利。

山間の道沿いなので道の駅側の駐車場は傾斜があるが、奥のRVパーク側はフラット。食事処、足湯、小規模だがAコープもあり。