【概要】ワイルドシングス×ニューテックジャパンのロッジ型タープ/テント「BASE CAMP」シリーズをアウトドアライターがレビュー。機能、特徴、使用感など。

厳しい自然環境では、軽くタフでなければいけない。

ジョン・ボーチャードとマリー・ミューニエールという登山家夫婦によって設立された、アメリカのアウトドアブランド・ワイルドシングス(WILD THINGS)が、1981年の設立当初から掲げていたコンセプトだ。

おしゃれで機能的なウエアやバッグで知られるブランドだが、この夏、ついにロッジ型「BASE CAMP」シリーズが登場。

製造は「鎌倉天幕」や「カンタンタープ」でおなじみのニューテックジャパンが担当。

ニューテックジャパンらしくフレーム、幕、インナーが別売となっており、それぞれを組み合わせることで自立式タープやロッジ型シェルター、2ルームテントといった具合に好きなスタイルを作れるユニークなシステムだ。

基本の作りは同じなので、そのなかからキャンプ、車中泊、フリマとマルチに使えそうな組み合わせをチョイス。

幕:BASE CAMP T-2(以下、T-2)12万1550円
フレーム:BASECAMP FM-3045(以下、FM-3045)3万1900円
インナーテント:BASE CAMP T-0 INNER(以下、T-0)4万4550円

上記3アイテムを試してきた。

伝統ロッジよりもずいぶん軽い! 

上がフレームのFM-3045、下左がインナーテントのT-0、下右が幕のT-2。

重量はそれぞれ「FM-3045」16kg(収納サイズ25×25×115cm)、「T-2」10.5kg(ペグ、張り綱込み。23×23×68cm)、「T-0」3.9kg(収納サイズ21×18×61cm)。

どれもずっしり重いが同等サイズのロッジ型は幕とフレームだけ・付属品なしで25kg以上、インナーも優に5kgを超える。

ロッジ型テントに触れたことがあるなら「軽い」と驚くはずだ。

左から四隅の脚、中央の脚2本、屋根の両側、屋根の中央部分。右2列は脚パーツを接続するためのパーツだ。

特段目印があるわけではなく、色も同じなので、袋から出しただけではどれがどの部分かわからない。

まずは開いて枝分かれが何本か確認し、同じ形のフレームをまとめることからスタート。

フレーム自体は軽く、直線的。木々に囲まれたサイトでも場所をとらず、楽に組み立てられる。

屋根部分は穴に差し込み、横方向のフレーム接続は差し込んだあとレバーでロック&解除するので軽い力で確実に操作できる。

脚を伸ばしたり縮めたりするのは、写真の丸いパーツを引っ張ってから。小さなポッチを指先で押す、あの痛さから解放されるのは最高だ。

脚を伸ばしきる前に幕をかけて面ファスナーで固定。ベンチレーターもしっかり開き、インナーテントを装着する場合は先に吊してから、脚を伸ばす。

高さ240cmとかなり背が高いテントだが、小柄な人でも無理なく設営できる。これもロッジ型の利点。

ドームテントのようにフレームをしならせながら立ち上げるわけではないし、そもそも幕もフレームも軽いので驚くほど簡単だ。

完成。

設営サイズは450×300×H240cmとゆったりしており、手前のリビングにはコットとチェア2脚、テーブルやラックを置く余裕がある。

日本の四季を考えた心配りが随所にみられる

インナーテントのサイズは280×200×H225cmで家族4〜5人で横になれる。

前後の出入り口はもちろん、両側にも大きな半円メッシュ窓が装備されており、蒸し暑さを低減する設計だ。

外から見れば一目瞭然。寝室側の通気性は抜群だ。

一方、裾にはスカートがぐるりと付いているので、冬キャンプの寒さにも配慮している。

すべてのパネルを張り上げた状態でフルメッシュにすれば、日差しと虫を防ぎつつ風が抜ける心地よい空間になる。

雨の日はパネルを下向きにして張り綱で伸ばして。プライベートを確保するので朝夕のくつろぎタイムにもいい感じ。

フレームは三角形を基本としたトラス構造で軽くても強度は十分。

フレームにタオルやLEDランタン、シェラカップなどを吊しておけるのも、なにげに便利だ。

正直、決して安価な製品ではない。

けれどもインナーテントをフレームに結びつけるのはちゃちな紐ではなく、バックル付きだったり、巻いたパネルを留めるウェビングも保水しにくい素材だったり、細部へのこだわりがわかれば、その価格設定に納得するだろう。

それにフレームと幕、インナーテントをバラバラで購入できるので、例えば車中泊キャンプならインナーテントなしにすればコストを抑えられるし、ファニチャーがコンパクトならワンルーム仕様の幕「BASE CAMP T-5](9万7900円)+フレーム「BASE CAMP FM-2630」(2万5300円)で事足りる。

ちなみに「BASE CAMP」シリーズは、パネルの裾がやや広がっているので、跳ね上げたときにクルマをギリギリまで近づけられるのがいい。

もっとも幕の色に合わせた張り綱はサイトがスッキリして見えるのだが、昼間でも気づきにくく腕や足が引っかかることが多かった。

吸盤付きフックを使ってクルマと接続して、簡易カーサイドテントとするほうが安全に過ごせるだろう。

フリーマーケットなどで使われる華奢なシェードのようにも見えるが、「BASE CAMP」シリーズは似て非なるテント。

自分のスタイルに合わせて組み合わせを選べるし、自立式なのでRVパークの“キャンプ道具を広げられる舗装サイト”なんかでも重宝する。

フルクローズにすれば設営後に買い物に行くのも安心なので、テント泊だけでなく車中泊キャンプの本命にもなり得るテントだ。

【問】ニューテックジャパン 

写真、文:大森弘恵 
撮影協力:PICAさがみ湖 https://www.pica-resort.jp/sagamiko/

大森弘恵プロフィール

キャンプを中心としたアウトドアや旅の雑誌、ウェブメディアなどで活動するフリー編集者&ライター。キャンプの仕事に携わること約30年、ソロキャンプ歴は36年のおひつじ座 。