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【概要】北海道の道央エリア・増毛、余市、積丹の車中泊旅ガイド。名所やグルメ、車中泊スポット、北海道旅の注意点などを、北海道在住の車中泊女子・まるななが紹介。

“よくばり旅”でめぐるスポット

今回、道央地区を中心に紹介するスポットは、中央の富良野・美瑛方面と、日本海側の増毛・積丹方面と大きくふたつに分かれる。

小樽港着か苫小牧港着のどちらのフェリーで来ても回りやすい。富良野→増毛は、芦別を経由すると半分は高速の無料区間のため、さほど大変ではないはず。日数が少ない場合は、一方だけでも見ごたえは十分。

前回紹介した上富良野、美瑛・十勝岳編に続き、今回は増毛、余市、積丹のスポットをピックアップ!

増毛

海の幸と地酒の饗宴

ちょっと変わった地名だが「増毛(ましけ)」と読む。アイヌ語で「かもめの多いところ」というのが、地名の由来だ。

ニシン漁が最盛期の明治には、貨物輸送拠点として栄えた増毛駅周辺の旅館、国稀酒蔵、旧本間家住宅(旧商家丸一本間家)が、現在も残っており、当時の繁栄ぶりがうかがえる。

また、高倉健さん主演映画『駅 STATION』のロケ地としても有名で、映画に登場した「風待食堂」の看板はそのままに、観光案内所として使われている。

そして増毛といえば、新鮮な海産物。特に甘エビとタコは絶品! リンゴや洋ナシなどの果物の名産地で、ご当地コンビニ「セイコーマート」の、増毛産の洋ナシを使ったデザートも人気だ。

日本最北の酒蔵 国稀酒造

増毛町の国稀酒造は、明治15年創業。日本最北端の老舗酒造。その原料となっている暑寒別岳(しょかんべつ)の伏流水と良質な米で造られた日本酒は、フルーティで甘みがあり、飲みやすいのが特徴。

酒蔵ギャラリーには、お酒、お土産、和風小物を販売し、無料で見学できる資料館の奥には、16種類すべてが無料で試飲できる利き酒コーナーがある。

北海道増毛郡増毛町稲葉町1丁目17

絶品の甘エビに出会える

増毛の名産「甘エビ」を中心にホタテなどの海鮮がお買い得価格で購入できるのが、遠藤水産の「港町市場」だ。

鮮やかな朱色に輝き、透き通っているのが新鮮な甘エビの証拠。一度味わうと忘れられない逸品だ。

遠藤水産港町市場・増毛直売店/北海道増毛郡増毛町港町4-26

新鮮こだわりの海の幸! 寿司のまつくら

名産の甘エビ、ウニ、アワビ、マグロ、カニ、ホタテが惜しみなくのった「特上生ちらし」がおすすめ。新鮮な海の幸がリーズナブルなお値段で食べられる。

北海道増毛郡増毛町弁天町1丁目22

+α情報 陸の孤島と呼ばれた雄冬(おふゆ)地区

増毛町と石狩市の間の断崖絶壁に囲まれた雄冬地区に、国道が開通したのは1986年。通年通行可能になったのは1992年。それまでは、船でしかアクセスできず「陸の孤島」と呼ばれていた。北海道最後の電話自動化完了の地の記念碑もある。

雄冬岬・白銀の滝/北海道石狩市浜益区雄冬

増毛で車中泊

無料の「暑寒海浜キャンプ場」や有料の「増毛リバーサイドパークオートキャンプ場」ではゴミ回収可。

暑寒海浜キャンプ場/北海道増毛郡増毛町暑寒海岸町72-1

増毛リバーサイドパーク/北海道増毛郡増毛町別苅459番地ほか

余市

ニシン漁で栄えた町をめぐる

小樽市の西側に位置する余市(よいち)は、江戸時代末期から大正時代にかけてニシン漁によって栄えた町。

「ヤン衆」と呼ばれる出稼ぎ漁師たちが、ニシン漁の季節になると各地から集合。作業中に、歌われた「ソーラン節」は、余市が発祥である。

漁師の居住場所である「番屋」は、いまも北海道各地に残っている。

また“日本のウイスキーの父”と呼ばれる竹鶴政孝が、スコットランドと気候が似ている余市にウイスキー工場を建設。それが現在の「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」である。

重要文化財で歴史を振り返る

福原家が明治時代経営していた漁場で、現在倉庫は資料館となっている。

旧余市福原漁場/北海道余市郡余市町浜中町150

現存する唯一の運上家。運上家は、松前藩がアイヌ民族との交易を請け負った商人の建物。

旧下ヨイチ運上家/北海道余市郡余市町入舟町10

朝ドラの舞台 ニッカウヰスキー余市蒸溜所

余市蒸溜所内の施設の見学ができる、ガイドツアーに無料で参加できる(公式HPから要予約)。ツアーのラストには1人3杯まで試飲付き。ウイスキー好きにはたまらない!

ニッカウヰスキー余市蒸留所/北海道余市郡余市町黒川町7-6

新鮮な海鮮が格安

新鮮な海鮮やお酒など、BBQの食材を購入するにはもってこい。タイミングが合えばカキ・活ホタテ・毛ガニが格安で手に入るかも。また2階の食堂のウニ丼が超人気!

柿崎商店/北海道余市郡余市町黒川町7-25

平日限定! お得なデカ盛り海鮮ランチ

平日限定ランチ「まんぷくちらし」は、桶にぎっしりと盛られたご飯に、大ぶりのネタがたっぷりのった海鮮丼990円とお得!

普通サイズのご飯を希望なら「ご飯少なめ」の注文がおすすめ(写真はご飯少なめ)。あら汁もおいしい。

ファミリーすしガーデンハウス/北海道余市郡余市町黒川町12-65

穴場! 余市漁港親水公園

BBQコンロやテーブルが設置されている公園。

北海道余市郡余市町入舟町3-1

+α情報 お湯も景色も最高! ふるびら温泉

余市の隣、古平の小高い丘に建つ日帰り温泉は、褐色で塩分が強くよく温まるのが特徴。露天風呂からは、海が見下ろせる。電話予約すると、家族風呂が格安で利用可能。家族やひとりでゆったりしたい。

ふるびら温泉しおかぜ/北海道古平郡古平町新地町90-1

余市で車中泊

余市の車中泊は道の駅が定番だが、駐車台数が少なく混雑する。2023年4月に隣の仁木町にRVパークがオープン。きれいで充実した設備でおすすめ。

道の駅スペース・アップルよいち/北海道余市郡余市町黒川町6-4-1

農村公園フルーツパークにきRVパーク/北海道余市郡仁木町東町16-121

積丹

必見! 透き通る青さ 積丹ブルーを堪能

積丹(しゃこたん)は、積丹半島の先端部に位置し、日本海に面した漁港の町。

6月には積丹のウニ漁が解禁となる。積丹の昆布を食べて育ったウニは、雑味がなく優しい味が特徴。ウニが苦手という人も積丹を訪れたなら、ぜひ北海道ならではの本物のウニを味わってみてほしい。

さらに、なんといっても積丹は絶景の宝庫! 積丹ブルーと呼ばれる海の青さは、息のむほどの美しさだ。

かつては、女人禁制だった「神威岬」、日本の渚百選に選ばれた「島武意(しまむい)海岸」は、一度は訪れてほしい絶景スポットだ。

海からそびえ立つ荒々しい岩肌の断崖絶壁、青い海と鮮やかな緑のコントラストは、富良野や美瑛とはまた違った、北海道の絶景のひとつなのだ。

神威岬

積丹半島の先端「神威岬(かむい)」。女人禁制の門からチャレンカの小道を約20分進むと、神威岬の先端に到着。海にそびえ立つ、ろうそく岩と透明度の高い積丹ブルーの海、後ろを振り返るとダイナミックな地形に驚くはず。

北海道積丹郡積丹町神岬町

日本の渚百選 島武意海岸

島武意海岸の駐車場からは、海がまったく見えない。ただ「島武意海岸トンネル入口」と書かれた、暗く小さなトンネルを抜けると、突然、眼下に広がる渚に驚くのだ。

さらに、急勾配な階段を下ると、島武意海岸へ降りることができ、間近で海の青さを目にすることができる。帰りは元来た道を戻らないといけないので、体力のある人のみにおすすめしたい。

北海道積丹郡積丹町入舸町

夏が旬! 絶品のウニ丼に舌鼓

積丹のウニ漁の解禁は、6〜8月末までの3カ月のみ。この時期はウニを求めて観光客が押し寄せる。

積丹に向かう道路は特に休日、混雑が予想されるため、早めに現地に着いておくのがおすすめ。

ウニ丼が来たら、まずはひと口、醤油をかけずに食べてほしい。ほんのり感じる海の塩気と、ウニの甘みが口いっぱいに広がり「北海道に来てよかった♪」という幸せに浸れる……かもしれない。

残念ながら、積丹のウニは不漁で値上がりが続いている。今回紹介するウニ丼の価格も参考程度としてほしい。

食堂うしお

神威岬の近くで比較的リーズナブルな値段で生ウニ丼(3500円〜)が食べられる人気店。
北海道積丹郡積丹町神岬町9-1

鱗晃荘

家族経営の小さな宿。その食堂の夏のメニューは、生ウニ丼のみ(3740円)。
北海道積丹郡積丹町入舸町沢57-1

+α 情報 海を見下ろす温泉 岬の湯しゃこたん

小高い丘にある温泉で、広い露天風呂には、柵など遮るものもなく、開放感がある。お湯はぬるめで、無色透明でつるつる。日の入りには、海に沈む夕日を眺めながら入浴ができる。

北海道積丹郡積丹町野塚町212-1

積丹で車中泊

積丹には道の駅やRVパークはなく、積丹方面で車中泊をするなら、「道営・野塚野営場」がおすすめ。炊事場と水洗トイレのみで設備は簡素だが、予約不要で無料で利用できる。

岬の湯しゃこたんからも近く、海に沈む夕日がきれいなキャンプ場。買い物スポットまで遠いので、必要なものを買い込んでから行くのが吉。

海水浴ができるため、ハイシーズンは混み合うが、普段は静かで旅人やバイカーに人気のキャンプ場だ。

道営・野塚野営場/北海道積丹郡積丹町野塚町

夏でも寒さ対策を忘れずに!

夏の北海道旅で忘れてはいけないのが、「寒さ対策」。日中は暑いが、日が落ちると途端に寒くなる。先日、最高気温30℃、最低気温0℃の一日で真夏日と冬日を記録した日もあった。

半袖短パンだけで来るのは危険。上着はフリースかウルトラライトダウン、長ズボン、薄手の毛布を1枚用意したほうがよい。

まるなな プロフィール

2017年に中古で購入した軽キャンピングカー「テントむし」で北海道をキャンプ、登山、車中泊で楽しむ「軽キャン女子」。その様子をYouTube『まるななちゃんネル』とブログ『まるななブログ』にて配信中。

文、写真:まるなな 
写真提供:なかふらの観光協会、美瑛町観光協会 
初出:カーネル2023年7月号vol.61