【概要】本州から北海道へクルマで車中泊旅をするための、本州~北海道のフェリー航路、選び方、安く渡るための航路、船旅の魅力などについて、キャンピングカーライフ研究家の岩田一成氏が解説。

北海道と本州は陸続きではないため、自分のクルマで北海道を旅するには必ずクルマと一緒にフェリーに乗船する必要がある。

これが、北海道クルマ旅の“スペシャル感”を演出する大きな要素のひとつ。

「愛車と一緒に船で海を渡る」という非日常的な体験は、一生忘れられない旅の思い出になってくれるだろう。

ただし、クルマと一緒にフェリーに乗船するということは、そのぶん交通費がかかるということを意味する。

毎年北海道でキャンピングカー旅を楽しんでいる筆者の場合も、北海道までの往復交通費が「旅行費用の1/3以上」を占めるのがデフォルトだ。

航路やフェリー会社によって料金が変わるため、「どのフェリーを選ぶか」は旅の費用を大きく左右する重要な要素!

今回は北海道クルマ旅初心者のために、北海道フェリーの選び方や船旅の魅力について解説する。

本州~北海道のフェリー航路

本州と北海道をつなぐフェリー航路は、大きく分けて下記の9パターンが存在する。

・大間~函館(津軽海峡フェリー)
・青森~函館(津軽海峡フェリー)
・青森~函館(青函フェリー)
・八戸~苫小牧(シルバーフェリー)
・大洗~苫小牧(商船三井フェリー)
・名古屋~仙台~苫小牧(太平洋フェリー)
・敦賀~新潟~秋田~苫小牧東(新日本海フェリー)
・新潟~小樽(新日本海フェリー)
・舞鶴~小樽(新日本海フェリー)

本州のフェリーターミナルは青森・大間・八戸(青森県)、秋田(秋田県)、仙台(宮城県)、大洗(茨城県)、名古屋(愛知県)、新潟(新潟県)、敦賀(福井県)、舞鶴(京都府)の10カ所。

航路が多く、「どのフェリーに乗ればいいのかわからない」と悩んでしまう人もいるかもしれないが、フェリーターミナルまでのアクセスを基準にすれば、航路の選択は比較的シンプルだ。

首都圏から出発するなら大洗港、東北から出発するなら仙台・秋田・八戸・青森・大間港、北陸や西日本から出発するなら新潟・敦賀・舞鶴・名古屋港と、できるだけフェリーターミナルまでの自走距離が少ない航路を選択すればOK。

フェリー料金は、「車両運賃(車両+運転手1名分のスタンダード運賃)」+「追加人数分の旅客運賃」の合計金額となり、シーズンや客室の等級によって料金は変化する。

できるだけ安く、愛車とフェリーで北海道に渡るには?

航路をチョイスするうえでもっとも重要なのは、フェリーの運賃だけではなく、自宅からフェリーターミナルまでの高速料金と燃料代を含めた合計金額で比較することだ。

例えば関東から北海道に渡る場合、青森~函館便はフェリー運賃が安く上がるが、ターミナルまでの自走距離が長いぶん高速代・燃料代が高額になる。

大洗~苫小牧便はフェリー運賃が高い半面、ターミナルまでの自走距離が短いぶんクルマの移動にかかる交通費は安くすむ。

フェリー料金だけでは正確な比較ができないので、ターミナルまでの自走にかかる交通費も考慮した上で、どのフェリーに乗るかを検討しよう!

「できるだけ安く北海道に渡りたい」なら、青森~函館もしくは大間~函館航路のフェリーがおすすめだ。

フェリー料金は、航路が長距離・長時間になるほど高額になる。青森・大間港の発着便は航海距離が短いため運賃が安く、フェリーターミナルまでの高速料金と燃料代をプラスしても、もっとも安く北海道に渡れる。

時間に余裕があるなら、青森・大間までのんびりと下道を走れば、さらに交通費を節約することも可能だ。

大間~函館便は90分と乗船時間が短いので、船が苦手な人やペット連れのユーザーにもおすすめ!

フェリーの乗船に合わせて、本州最北端・大間で名物のマグロを味わったり、下北半島の観光を組み入れれば、旅はより充実したものになるだろう。

フェリー旅の魅力とは

冒頭でも書いたとおり、「愛車と一緒に船で海を渡る」という非日常感が、フェリー旅の最大の魅力だ。

客室も、豪華な個室からプライバシーを確保できる2段ベッドルーム、リーズナブルな大部屋まで様々なタイプが用意されており、ニーズに合わせてチョイスできる。

船内設備が充実しているのも、北海道フェリーの魅力のひとつ。Wi-Fiやシャワールーム、売店、展望デッキのほか、大浴場や露天風呂、カラオケルーム、シアタールーム、ビュッフェスタイルのレストランなどを完備した船もある。

海の上を移動しながら、船内でゆったりと流れる時間を過ごすのも北海道クルマ旅の醍醐味。

オンシーズンに、ビンゴ大会やミュージックショーなどを開催するフェリーもあるので、「移動時間も旅の楽しみ」と考えて優雅な船旅を思いっきり満喫しよう!

写真、文:岩田一成

岩田一成プロフィール

キャンピングカーライフ研究家/ライター。新車のキャンピングカーを3台乗り継ぎ、家族と一緒に1000泊以上のキャンプ・クルマ旅を経験。雑誌、書籍、新聞、WEB、イベント、テレビ、ラジオなど、様々な形でキャンピングカーの魅力を発信している。著書「人生を10倍豊かにする至福のキャンピングカー入門」(グラフィス刊)

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