【概要】千葉県房総半島の車中泊旅ガイド。①として内房の魅力やおすすめスポットなどを、年間300日以上ホンダ・N-VANで日本全国を車中泊で旅しているruiさんが紹介。

観光客の多い名所よりも、何もない風景のなかに身を置きたい。せっかくまた訪れるなら、1回目では気づかなかった発見に心を弾ませたい。旅人の目で見た、もうひとつの房総半島。

内房 どこまでも続く海の魅力

原岡桟橋(岡本桟橋)/原岡海岸~多田良北浜海岸間にある、大正時代につくられた木製桟橋。視界のいい日には富士山も見え、夕刻には多くのカメラマンでにぎわう。最寄りの駐車場へのアプローチは狭いので大型車は注意。

「上総のそこ一里」(『こころ』夏目漱石著)。

房総半島を旅していて、土地の人に道を尋ねると「すぐそこ、あと一里だ」といわれ、一里ほど歩けど、たどり着かない。まただれかに尋ねると「すぐそこ、あと一里」と、その繰り返しでなかなか目的地に着かない。

そんな描写が漱石の『こころ』に出てくるが、それくらい房総半島は思っているよりも広く、深い。 

紀伊半島、渡島半島に次ぎ、日本で3番目に広い半島である房総半島。千葉県のほとんどを占めており、沿岸部の漁港の活気や、中央部の自然豊かな田園風景は、初めて訪れる人にとって予想よりもはるかに「東京の隣とは思えない」感がある。

都心からのアクセスが比較的容易なのに、隠れた名所や「すぐ行ける非日常」が数多く潜んでおり、一回訪れただけでは到底まわりきれないだろう。

また、房総は無霜地帯が多く、花の栽培に適していることから、一年を通してさまざまな花模様を楽しむこともできる。

一般的に「内房」と呼ばれる東京湾側の名所では富士山が見え、夕日スポットとして有名な場所も多い。

木更津から南下していくにつれ、のどかな漁港風景になっていくが、意外な穴場スポットはこの辺り。また道の駅の数も増えていき、それぞれの土地に、予想よりも長い時間滞在してしまいがちだ。 

南の端・館山市まで行くと再び街がにぎやかになっていき、雰囲気はすっかり南国の様相を呈してくる。釣りやサーフィンを楽しむために移住してきた人も多く、おしゃれなスポットも充実している。

【CHECK!】東京・神奈川から便利なアクセス 東京アクアライン&海ほたるPA

房総半島の玄関口・木更津へは東京湾アクアラインを利用するのが便利。途中の海ほたるPAにはコンビニはもちろん、レストランや休憩施設も多数あってここだけでも楽しめる。

映画『シン・ゴジラ』公開時に出現したゴジラの足跡がいまでもうっすら残っているので、ぜひとも探してみよう。ちなみに海ほたるは住所的にも千葉県木更津市。

スポット

鋸山 断崖絶壁から地獄をのぞく、内房屈指の絶景スポット

鋸山(のこぎりやま)は富津市と鋸南町との境に位置する山。かつては採石場だったため切り立った石壁が多く、まるで古代遺跡みたいなことから「ラピュタの壁」と呼ばれる場所も。

一番の見どころは断崖絶壁に突き出した岩の先端まで行ける「地獄のぞき」。高所恐怖症の人は下ではなく前を向くと、東京湾がパノラマで一望できる。

山全体が日本寺の境内にもなっており、日本最大級の大仏や高さ30m の百尺観音など、スケールの大きな見どころがいっぱいだ。専用車道もあるので山頂へのアクセスは容易。

富津岬 都心から最も近い岬にそびえる巨大展望台

富津岬(ふっつみさき)は東京湾に突き出た地形が特徴的。対岸の三浦半島観音崎とともに、幕末から終戦まで国土防衛ラインとして重要拠点だった。そのため、いまでも富津公園内には砲台跡などの遺構が数多く残る。

岬の先端にある五葉松をモチーフにした巨大な「明治百年記念展望台」は、最上階からいくつも枝分かれした階層式になっており、天気がよければ富士山も見える。駐車場も広く、トイレもあり、晴れた日の東京湾を一望することが可能。その開放感や巨大建造物が夕暮れに染まる異世界感は、ほかではなかなか味わえない。

音楽と珈琲の店・岬 知らないとたどり着けない、映画のモデルにもなったカフェ

音楽と珈琲の店・岬/千葉県安房郡鋸南町

明鐘岬(みょうがねみさき)の先端にあるこの小さなカフェは、国道127号の脇に立てられた小さなKEY COFFEE の看板を見逃すとたどり着けない。

森沢明夫の小説『虹の岬の喫茶店』のモデル。その後、主演の吉永小百合が自ら企画から携わり『ふしぎな岬の物語』のタイトルで映画化された。

店内ではJBLのスピーカーから静かなオールディーズが流れ、コーヒーを飲みながら目の前に広がる海を眺められる。なお、お店が閉まるのが「日没まで」となっているのもすてきだ。

洲崎神社 東京湾を守る、館山のパワースポット

房総半島の最西端に位置する館山市の洲崎神社は安房国一之宮。源頼朝が石橋山の戦いで敗れ、安房国に逃れた際に再起を祈願しにここを訪れ、後に天下を治めることとなる。

148段の厄祓坂を登ると本殿があり、鳥居越しに富士山を拝める遙拝所もある。『南総里見八犬伝』にも登場する洲崎観音養老寺に抜ける道もあり、参拝することも可。

海側の浜鳥居を抜けると「御神石」があり、これは三浦半島の安房口神社に安置されている石と一対で、東京湾に結界を張っているとされる。

おせんころがし 栄枯盛衰と、悲劇の伝承が残る、寂しくも美しいスポット

勝浦市にかつて存在したレジャー施設「行川アイランド」。2001年の閉園後、駅名だけが残った行川アイランド駅から徒歩で数分のところにあるのが「おせんころがし」だ。

強欲な豪族の父をもつ娘・お仙が、村人により崖から投げ落とされたという悲しい言い伝えが残る。ひっそりと静かに夕日が沈むのを楽しめる穴場スポットでもある。

内房の車中泊はココで!

房総の玄関口・木更津にあり、目の前が三井アウトレットパークという利便性の高い立地条件。大きな道路沿いだが夜は騒音もほとんどなく意外に静かだ。

周辺に買い物や食事ができる施設も多いので、特に車中泊初心者や内房旅の拠点にしたい方には最適。パーク内ではアウトドアグッズや防災関連グッズの販売も。

RVパークGREEN BASE木更津店
千葉県木更津市金田東1-48-10

執筆:rui

ホンダ・N-VANをDIYして、年間300日以上車中泊しながら日本全国を旅する人。もともとサウンドデザイナーだったが、旅の風景を写真や映像で撮るようになり、現在はライターとしても活動中。

文、写真:rui 
初出:カーネル2023年5月号vol.60