【概要】iPhone14シリーズの機能や注目ポイントなどの紹介。アップルの新製品発表会に公式に招待されている、村上タクタ氏が解説。

「スマホなんて、もうどれでも一緒でしょ」と思う人も多いのでは? でも、実はとても進化しているんです! アップル米国本社でのiPhoneの発表会に毎年招待される村上タクタさんに教えてもらいました!

村上タクタ

Webメディア『ThunderVolt』編集長。デジタル機器、特にiPhoneなどのスマホやタブレット、Macに詳しく、アップルがUSの新製品発表会に招待する数少ない日本人メディアのひとり。車中泊誌『カーネル』編集長・オーハシの元同僚だったりする。

現在のiPhoneのラインアップは、おおまかにいうと最新のiPhone14、iPhone14Pro、SE(第3世代)の3種類に分かれている。

さらに14にはPlus、14ProにはMaxという6.7インチの大画面モデルがある。SEはホームボタンがある6万2800円から買える廉価なモデル。

また、13、13mini、12などの旧モデルも、値下げしてアップルは販売している。14にはないminiという選択肢があるのは魅力的。とはいえ、今回は最新の14シリーズについて紹介しよう。

左から、iPhone 14、iPhone 14 Plus。

最新のiPhone14シリーズに共通して導入されたのが「衝突事故検出」機能だ。この機能は2022年秋に発表されたiPhoneとApple Watchのすべてに導入されており、今後もアップルのモバイル製品すべてに組み込まれると思われる。

衝突の加減速G、ジャイロによる移動方向の急速な変化、音、エアバッグが開いたときに発生する気圧変化などから、総合的に事故の発生を検知する。

その際、ユーザーの反応がない場合、自動的に緊急通報を行い、位置情報を伝えて救援を呼んでくれる。役立ってほしくはないが、クルマで旅することの多いカーネル読者には意味の大きい機能だろう。

ちなみにUSとカナダでは、携帯電話の電波が届かない場所をカバーするために、衛星通信を使った緊急通報機能も搭載される。

左から、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max。

日常的な機能ではカメラ機能の性能向上が目玉。Proではメインカメラが4800万画素になった。

ただし、撮影データが重くなり過ぎることもあって、この性能を高画素に使うのは、ProRAWモードで撮影したときのみ。

一般的には、感度の増強、望遠性能の増強(2×モードの追加)に使われる。超広角、望遠モードも含めて、暗所性能も大きく向上しており、美しい写真が撮れる。

動画の手ブレ補正性能も大きく改善されており、アクションカメラのように、走りながら撮影してもさほど手ブレしない。

さらに14シリーズ全モデルで、初めてインカメラにオートフォーカスを搭載。従来は漠然と全体にピントが合うパンフォーカスだったのだ。これでインカメラの画質が大幅に向上した。

実は、今回最新のA16 Bionicチップが搭載されたのはProシリーズのみ。14と14PlusはA15 Bionicであることも含め、13Proのステンレスフレームをアルミにしたような構成になっている。

このあたりも製品選びの参考にしていただけるといいだろう。安くて大画面のPlusも私のような老眼勢にはありがたい製品だ。

決して安い買い物ではないので、いろいろと逡巡する人も多いと思うが、概して最新モデルのほうが丈夫だし、OSのサポートも長い間続くので、結果として長い間使える。

「安物買いの銭失い」ではないが、微妙な中古品などを買って苦労するよりは、最新モデルを買って、長い間、その高性能を引き出して使ったほうが、結果としてコストパフォーマンスは高いと思う。

iPhone 14シリーズの注目ポイント

万が一の交通事故を感知して、自動で緊急通報してくれる

従来のデータから交通事故の際の衝撃や、動き方などを機械学習。交通事故を検出したら、iPhoneもしくは、身近にあればApple Watchから自動で緊急通報してくれる。

あらかじめ設定しておけば緊急連絡先にも通報してくれるので、万が一の備えになる。

ハイクオリティなカメラ機能。特にProは圧倒的に高画質

ProRAWモードで撮影すれば、非圧縮で保存される4800万画素で撮影可能。まさにプロレベル。通常時、このセンサーは暗所性能の補強や、2×望遠カメラとして使われる。

この3つのレンズがポイント! 普通に使えば出力される画質は圧倒的。暗い場所でも明るく撮れるし、動画を撮っても手ブレしにくい。

レンズは3つだが、4800万画素中央の1200万画素を使う2×モードを加え、画角を4種類から選べる。もちろん無段階デジタルズームも可能。

Proのフロントカメラ部はDynamic Islandに

Proシリーズでは画面上部のFaceTimeカメラのノッチが可変しながら情報を表示するDynamic Islandに。巧みなデザインでカメラを意識させない。

音楽を再生した場合、そこに再生している曲のジャケットビジュアルが現われる。さらに、タイマーを設定すると、右側にタイマーのアイコンが登場する。

曲のジャケットをタップすると曲のウィンドウが、タイマーアイコンをタップするとタイマーのウィンドウが広がる。小さなアプリの通知窓として役立つ。

Apple Watch Ultraも登場!

登山、トライアスロン、ダイビング対応大型でタフなチタン製

iPhone 14シリーズと同時に、タフなチタンボディと49mmの大画面を備えたApple Watch Ultraが発表された。

これまで洗練された雰囲気のモデルしかなかったApple Watchだが、ダイバーズウオッチのようなタフなラインアップの登場で、あらためて気になる人も多いのではないだろうか?

登山に向いた高精度GPSセンサーや、ダイブコンピュータ機能など、アウトドア派におすすめ!

文:村上タクタ 
初出:カーネル2022年11月号vol.57