【概要】車中泊時の旅先やキャンプ場などでのリモートワークの際、自分でネット回線を確保するための5つのプランを紹介。

いまどき欠かせないのがインターネット回線。車中泊やキャンプにおいても、その様子をInstagramやYouTubeに上げたり、リモートでビデオ会議に出たりと、インターネット回線が必要な場合が多い。どうすれば、安く速い回線を得られるだろうか?

以前だと、書類ができていない、会議があるから旅に出られない、ということがあった。しかし、今なら(職種にもよるが)オンラインで事足りる用事も増えた。

むしろ旅先でリフレッシュして書類を作れるかもしれないし、同じミーティングでも旅先から参加したら、新しいアイデアを提供できるかもしれない。

忙しい仕事でも、そうやって工夫することで、旅に出る時間を増やすことができるようになった。 

さて、そうなると気になるのが、旅先でのインターネット回線の確保だ。

オートキャンプ場や、道の駅などに高速Wi-Fiがあれば、筆者ならそこを利用するが、どうも各地の管理者は、そのニーズに気付いていないのか、そういう場所は少ない。

となると自前で回線を用意しなければならない。今回は、オートキャンプサイトのWi-Fiを含めて、5パターンのプランを考えてみた。

実際、その場所の回線が活用できるかどうかは、速度チェックサイト(たとえば、https://fast.com/ja/ )などで測定してみればいい。

1Mbpsあれば、メールのやりとりぐらいなんとかなる。10Mbpsあれば通常のウェブはたいてい使える。安定したビデオ会議には、50Mbpsぐらいの速度が必要だ。

スマホのテザリングを使用するなど、ニーズに応じて予算と相談しながら検討を。

1.可能ならば、「現地のWi-Fi」を活用したい

意外とWi-Fiが充実しているところは少ない。高速回線があると人は集まると思うのだが、施設の運営者がそのメリットを感じられないのか。

また、事業者ごとにパスワードが違ったり、アクセス方法が違ったり。余計なWi-Fiをつかんでしまってネット接続が切れるという本末転倒なこともある。

車中泊スポットにWi-Fi回線があることもあるが、受付の建物近隣などに限られる場合も多い。必要な場合は事前に確認しておこう。

2.基本は「スマホのテザリング」 パケットの消費量に注意!

多くの人が活用していると思われるのが、スマホのテザリング。つまり、スマホのセルラー回線をWi-Fiにつなげて、他のパソコンやタブレットから接続する方法。

簡単、便利ではあるが、長時間のビデオ会議で電話の契約パケット量を使い切ったりしないように注意。

iPhoneでもAndroidでも設定画面から共有を設定できる。もちろんパスワードもかけられるので、勝手に使われることはない。

アップル製品の場合、テザリングすると鎖のマークが出る。写真やデータの自動同期で大量のパケットを使わないように注意。

3.データ通信量が多い人は「eSIM」を契約するのがおすすめ

いつも使っているメイン回線のパケットを使いすぎてしまわないように、eSIMで別回線を契約するのも賢い方法。

eSIMは最近の多くのスマホに最初から内蔵されており、契約することで使えるようになるSIMのこと。

完全無制限の契約は少ないが、低速で無制限だったり、高速で100GBまでなど通信量を気にしなくてもいい契約もある。

メイン回線と並行して使うこともでき、「データ通信はeSIMを優先的に使う」などの設定も可能となっている。

eSIMを使っていると、アンテナのピクトグラムが、物理SIMと並んで2段に表示される。iPhoneだと2018年9月以降発売のモデルが対応している。

eSIMは複数の設定を読み込んで使い分けることができる。たとえば、筆者はアメリカでは現地のeSIMを日本で契約し、設定してから向かう。

4.ビデオ会議を頻繁に行うなら「無制限のWi-Fiルーター」

映像を扱うビデオ会議では、パケットの消費量が大きい。そこでおすすめなのが、モバイルWi-Fiルーター。

今回使ってみたauのSpeed Wi-Fi 5GX11 NAR01は筆者の生活圏(横浜市郊外)では快適にビデオ会議できる速度で通信できた。

エリアは携帯電話よりは少し狭いぐらいなので、観光地の車中泊スポットならカバーしそう。単体価格は2万2000円。通信量はデータ容量無制限で、25カ月間までは4721円/月。(取材協力:KDDI)
※価格は2022年7月時点

au提供のエリアマップを見るかぎりでは、山深いキャンプ場でも、観光地などが近いアクセスのいい場所なら使えそう。

専用のWi-Fiルーターだけあってさすがの安心感。筆者の環境で80Gbpsぐらいは出て、ビデオ会議もまったく問題ない。

5.いつかはイーロン・マスクの「スターリンク」で通信!?

モバイルWi-Fiルーターを使っても、山間部のキャンプ場などではつながらないこともあるだろう。

そこで期待されるのがイーロン・マスクのスペースX社が展開しているスターリンク。現在、1600個の低軌道衛星が世界を覆っており、最終的に1万2000個の衛星を打ち上げる予定。

ベータ運用は始まっており、日本も計画に入っている。インフラを破壊されたウクライナで、優先的に開放されたのは記憶に新しい。

村上タクタ

Webメディア『サンダーボルト』編集長。デジタル機器、特にiPhoneなどのスマホやタブレット、PCに詳しく、アップルが新製品発表会に公式に招待する数少ない日本人のひとり。カーネル編集長・オオハシの元同僚だったりする。

文:村上タクタ 
初出:カーネル2022年9月号vol.56