【概要】車中泊雑誌『カーネル』編集部の日々をつづる編集部日記。今回は社有車の車中泊カーで、NV200ベースのミドルサイズキャンピングカー・キャネルの故障や不具合、その修理について紹介。

車中泊専門誌『カーネル』編集部のクルマは、ナッツRVが製造している日産・NV200バネットベースの車中泊カー「キャネル」。ミドルサイズのキャンピングカーだ。

キャネルでの長距離車中泊旅の様子は『カーネル』に掲載されている。

編集部員とともに酷使(?)され、走り始めて2年半で走行距離6万km超(2022年1月当時)。あちこちガタつきも気になるようになってきた。

そんなキャネルの状態を見かねたカーネル総務のトドロキが、これまでに壊れてしまった箇所や気になるところをピックアップ。

改めてチェックしてみると、ここもあそこもと不具合箇所が……。まあ、予想はしていたけれど、みんなもう少しいたわって使えや!(総務の叫び)。

あわよくば自ら直そうともしたが、案の定、即ギブアップ! これはメンテナンスのプロに見てもらうしかない。時間も限られているし、全部チェックしてすぐに直すのは難しいかもしれないが……。

そんなワケでトドロキが訪れたのが、2022年2月にオープンしたナッツRV神奈川湘南店の近くでメンテナンスサービスを行う、同じくナッツの厚木営業所。

ベテランスタッフに症状を説明すると、ある時は即答、ある時は状態を確認して、こうしたら改善するのではないかと診断。工具や部材を手にして、次から次へと課題をクリアしていく。

難しいのではないかと思えた箇所も、まるで魔法か手品を見ているかのように直っていく。「すごい! これも直った!」。トドロキが驚きの連続のまま、予定時間の2時間きっかりにすべて終了。

全国を走り回り、いわば満身創痍の状態だったキャネルがついにピットインしたと思ったら、即、リフレッシュされたのだった。

今回は車中泊カー「キャネル」にどんな不具合があり、どんな修理をしたのか、参考までに紹介しよう。

症状① カーテンがレールから抜け落ちてしまいました……

診断:レールの隙間が広がっている箇所がありますね

カーテンレールをじっーと見つめるナッツRVスタッフ。「ココですね(写真丸印)」。本来、レールランナーはエンドポイント以外では外れない仕組みだが、強い力がかかるとレールの隙間が広がり、外れてしまうことがあるという。

「恐らくカーテンを無理に引っ張ったことが原因ではないでしょうか」。ランナーをひとつずつレールにはめ込んだあとに、手にしたのは布とペンチ。

じわりじわりと力を加えて、レールの幅を適正な間隔まで戻して完成!

症状② 外部電源コネクターがガタついています。通電していますか?

『カーネル』を毎号読んでいただいている読者諸君ならすぐにピンとくるだろう。そう、編集長オオハシが外部電源とコードをつなげたまま発進してしまったことに起因している。

診断:通電は問題ありませんが、車体とコネクター間の隙間が気になりますね

外部電源のスイッチを入れてランプが点灯すれば、通電しているサインだ(指さし部分)。

スタッフは車体と接続コネクター間の隙間に注目。「水が入り込むのは良くないので」。無理に引っ張られたために、コネクター部品がテコの原理で車体を凹ませてしまったのだ。

コネクターを外して、工具を内側から当てて凹みを戻し、ネジ穴をずらしてコネクターを付け直す。

さらに、車体との接続部分にコーキングを施す徹底ぶり。見事に復活!

症状③ 助手席のシートベルトを引くと引っ掛かるのですが

診断:ショルダーアンカーの動きが妨げられていますね

「意識してベルトを真下に引くと大丈夫なのですが、何気なく引っ張ると必ず引っ掛かります」と伝えると、すぐにシートベルトをピラーに固定するショルダーアンカーを確認。カーテンを束ねるタッセルを留めているボルトを指さす。

「本来、左右にスイングするのですが、このボルトにぶつかって動かないのが原因です」。

邪魔にならぬよう、少し上の位置にボルトを留め直すと、ストレスなくベルトが引き出せるようになった。

症状④ シートベルトの差し込み金具がバックルと合わない

診断:タングプレート(金具)の肩部分に違いがあります

タングプレートはよく見ると形が違う。「この肩の部分がバックルの差し込み口の形状と合っていないですね」。

バックル側のベルトが短いので、座席シートからバックルが十分に出ないのを解消するためにエクステンダーを付け足したのだが、その形状が違ったようだ。

「でも、これいいですね」とナッツRVスタッフ。助手席後方のリアシートベルトは、3点支持を行うため、写真のように外側にも差し込む必要がある(知らなかった‼︎)。

症状⑤ ポップアップルーフが閉まりにくくなりました(涙)

ルーフを閉めるときにロックレバーを手前いっぱいまで引いておかないと、車内では一見閉まったように感じるが、ルーフ自体はロックされていない。

また、ルーフは閉じているのに、ロックレバーが閉じ切らない事態が発生した!

診断:ルーフ側にあるロック部品の取り付け角度を調整してみましょう

「動きを確認しないと何とも言えないですね……」と言いつつも、頭の中ではすでに様々な可能性を探っているナッツRVスタッフ。

ルーフを持ち上げ、閉めて、バックミラー上部にあるロックレバーの動きも確認すると、レンチでナットを緩め始める。

「ルーフをロックする受け側の部品(写真丸印上)の取り付け角度を少し外側にずらしてみます」。反対側も同様に調整すると、ロックレバーはさほど力を入れずに「カチッ」とロックされた。お見事!

症状⑥ 配線を切ってしまいTVが見れなくなりました

診断:TVリモコンの受信部の部品がありませんね

大きな荷物を積み込む際に配線を切ってしまったようで、リモコン操作ができなくなっていた。部品がなくなっていることすら気付いていなかったが、ナッツRVスタッフはひと目見て即答。

地デジチューナーまでの配線を交換して、リモコンも無事使えるようになった。

わずか2時間でオールクリア! メンテナンス終了! これでまた車中泊旅に出かけられる!(出張車中泊旅だけど……)。

文:轟 省吾(カーネル) 
写真:中尾昭彦(カーネル)、轟 由里子 
初出:カーネル2022年3月号vol.53、7月号vol.55
※カーネル2022年3月号vol.53、7月号vol.55 誌面の内容をWeb用に再編集しています