【概要】車中泊で「体の痛くならない寝方」をするために有効な3つの解決法。車中泊旅を続けるruiさんが紹介。

車中泊で重要なポイントのひとつが「体が痛くならない寝方」。年間300日、ホンダの軽バン・N-VANで車中泊をしているruiさんが「3つの解決法」を紹介する。

教えてくれたのは……ruiさん

ホンダ・N-VANをDIYして日本全国を旅するひきこもり……のはずが、最近は1年の半分くらいを北海道で過ごしている。たまにホテルを取っても広いベッドが落ち着かなくて、PCなどを充電してお風呂だけ入って、駐車場で車中泊している。

車中泊の“不自由さ”を楽しめるのも最初の3日だけ

ホンダのN-VANを車中泊仕様にDIYして、旅を始めてからかれこれ4年。年間300日はこのクルマで寝ているが、いまだに夜寝るときに「ああ、今日はクルマの中で寝るんだ」と思いながら眠り、朝起きたときは「ここ、どこだ?」と思いながら目を覚ます。

毎日違った場所で、新鮮な気持ちのまま車中泊を続けているが、もちろん最初から快眠できていたわけではない。

通販で買った安物のエアマットと薄い寝袋だけを積んで旅をスタートしたけど、寝返りを打つとマットが跳ね上がったり、寒くて寝られなかったり……。なにより、展開と撤収に時間がかかったり。

そんな不自由を楽しめるのも最初の3日だけ。寝不足が積み重なっていくと旅を楽しむ余裕もなくなっていく。

車中泊が未経験の人にとって一番の不安は、やはり「ちゃんと眠れるかどうか」だろう。

「自宅で寝ている環境に、できるだけ近づけましょう!」みたいな記事をよく目にするが、それは一理あるもののあくまで理想論。

車中泊への不安を一発で解決する方法は「自宅のベッドと布団を車内に持ち込む」だが、車内の限られた空間では、なかなかそうもいかない。

できるだけ自宅のベッドに近い折りたたみマットレスを探し、普段使っている布団と枕を持ち込むとしても、軽バンだと車内のほとんどが寝具で埋まることになり、生活空間が圧迫されてしまう。

そこで、快適性をある程度確保しながら、できるだけ寝具をコンパクトにしていきたい私が、試行錯誤の末にたどり着いた3つの解決方法を紹介しよう。

自宅を車内に近づけるという逆転の発想

はじめに、思い切ってソファベッドを導入したこと。タンスのゲンの「3ウェイコンパクトソファーベッド」は、普段は座椅子として使えるので邪魔にならない。

厚みもかなりあるので、エアマットとは違った、ベッドのような自然な寝心地で、寒い日でも底冷えしない。

リクライニングの金具が、寝方によっては痛く感じることもあるが、そんなときは登山泊でおなじみのサーマレスト・Zライトソルを敷けば解決。保温性もあり、背中が痛くなることもない。

また、これもよくいわれていることだが、快眠に重要なアイテムは布団よりも「枕」。いろいろ試した結果、イスカのノンスリップピローが快適さとコンパクトさを兼ね備えていた。

寝袋はモンベルのダウンハガー650#3を使うなど、登山グッズを多用するのが2点目のポイント。 

そして一番重要な3点目のポイントは、あらかじめこれらの就寝アイテムを自宅で使って、体を寝具に慣れさせておくこと。

車内を自宅に近づけられないなら、自宅を車内に近づける、という逆転の発想だ。

全部を自宅で再現するのが難しいなら、少なくとも枕だけでも自宅とクルマで同じものを使っておくといい。どんなに高級なアイテムを使っても、体がそれに慣れていなければ熟睡できない。

逆に、体が慣れてしまえば、車内だろうがテントだろうがどこでも寝られるようになる。これは車中泊に限らず、出張先のホテルや旅先のフェリーの中、キャンプ場や登山でのテント泊にも同じことがいえるはず。

車中泊の寝具と体、両方からのアプローチという発想を意識してみよう。

※当記事はカーネル2023年3月号vol.59の掲載記事から一部を抜粋、再編集して掲載しています

文:rui 
写真:rui、逢坂 聡 
初出:カーネル2023年3月号vol.59