【概要】「トラキャン(トラックキャンパー、トラックキャンピングカー)」について解説。トラキャンの魅力、バリエーション、メリット・デメリットなど。

〈キャンピングカー入門〉

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荷台に居住用のキャンピングシェルを積載したピックアップトラックを見たことがあるだろうか? 実物に遭遇したことはなくても、写真などで目にしたことがある人も多いのでは?

パッと見、アメリカンなイメージが漂うこのクルマも、実は「トラキャン」と呼ばれるれっきとしたキャンピングカーのカテゴリー。

日本ではキャンピングカー全体の数パーセントに満たない少数派だが、ピックアップトラックが文化として根付いている北米を中心に、海外ではスタンダードなキャンピングカーとして認知されている。

「トラキャン」ってどんなキャンピングカー?

トラキャン(トラックキャンパー、トラックキャンピングカー)は、トラックの荷台に居住用のキャンピングシェルを積載したキャンピングカー。

バンクベッドを備えた形状からキャブコンと区別がつかない人もいるかもしれないが、キャブコンのシェルがベース車両と一体化しているのに対し、トラキャンのシェルは脱着式になっているのが異なる点。

キャブコンが8ナンバーのキャンピング車登録なのに対し、トラキャンのシェルは荷物扱いとなるため、ベース車両のままのナンバー(1ナンバー・4ナンバーの貨物車登録)となる。

もともと北米を中心に発展したカテゴリーのため、ベース車両はピックアップトラックが主流。国産車のほかに、トヨタ・タコマやタンドラなどの逆輸入車や、アメリカ製のピックアップトラックがベースになることも多い。

ひと昔前はダットサン・D22、マツダ・プロシード、トヨタ・ハイラックスなど日本でも多くのピックアップトラックが販売されていたが、現在日本で正規販売されているのは2017年に13年ぶりの国内復活を果たしたトヨタ・ハイラックス(GUN125)のみ。

ここ数年は、現行型ハイラックスがトラキャンのベース車両の一番人気となっている。

ピックアップトラック以外に、キャブオーバー型トラックや軽トラックの荷台に居住用シェルを積載したクルマもトラキャンに分類される。

キャンピングメーカーから軽トラック用シェルも販売されており、手軽さと機動性の高さで人気を集めている。

ちなみに、最近日本ではやっている自作シェルを積んだ軽トラは、「モバイルハウス」「トラベルハウス」と呼ばれ、専門ビルダーが製作したトラキャンと区別されることが多い。

トラキャン 3つのメリットに注目

トラキャンのメリットは、大きく分けて3つ。

1つ目のメリットは、トラキャンならではの「2WAYスタイル」! 

シェルを降ろせばトラック単体で普段使いでき、荷台にシェルを積めばキャンピングカーとしてキャンプやクルマ旅を楽しめる。1台で2通りの使い方ができるのが、トラキャンの最大の魅力だ。

2つ目のメリットは、「見た目がアメリカンでカッコいい」こと!

トラキャンは北米を中心に発展したカテゴリーなので、見た目がアメリカンでスタイリッシュ。

ベース車のピックアップトラック自体が存在感バツグンで、とくに現行ハイラックスは20代から30代の若者からも「カッコいい」と人気が高い。

他のキャンピングカーとは一線を画すCOOLなビジュアルが、トラキャンの大きな魅力だ。

3つ目のメリットは、「悪路走破性が高い」こと!

堅牢なラダーフレームと本格的な4WDシステムを採用したピックアップトラックのトラキャンは、悪路もスイスイ走れる圧倒的な走破性を誇っている。

すべてのキャンピングカーの中で、オフロード走破性はトラキャンがナンバー1! そのメリットを活かして、サーフィンやスノーボードのベース基地としてトラキャンを活用するユーザーも多い。

トラキャンのデメリット

トラキャンのデメリットは、荷台に居住部分を積載するという構造上、同クラスのキャブコンと比べると室内空間が狭いこと。

貨物車登録なので車検周期が1年と短く、1ナンバー車の場合は高速道路が中型料金で、ETC休日割引などの恩恵も受けられない。

シェルを脱着できるのがトラキャンの魅力ではあるが、脱着には手間がかかるし、運転技術も必要となる。

ベース車両の駐車スペースのほかに、荷台から降ろしたシェルの保管場所を確保しなくてはならないのもデメリットだ。

クセの強さがこだわり派にピッタリ!

他車とはひと味違う個性を放つトラキャンは、多くのメリットとデメリットを併せ持つ「クセの強さ」がアイデンティティ。

「ピックアップトラックが好き」「オフロードもガンガン走りたい」「とにかくカッコいいクルマに乗りたい」という、こだわり派にピッタリのキャンピングカーだ。

執筆者プロフィール:岩田一成

キャンピングカーライフ研究家/ライター。新車のキャンピングカーを3台乗り継ぎ、家族と一緒に1000泊以上のキャンプ・クルマ旅を経験。雑誌、書籍、新聞、WEB、イベント、テレビ、ラジオなど、様々な形でキャンピングカーの魅力を発信している。著書「人生を10倍豊かにする至福のキャンピングカー入門」(グラフィス刊)。

写真、文:岩田一成