【概要】アメリカ・ラスベガスで開催されたカスタムカーイベント「SEMA SHOW」の取材レポート。2023年の車中泊ビークルのトレンドや出展車両の紹介など。

白煙を上げるドリフトカーに豪快なジャンプを決めるリフトアップトラック。アメリカンなイベントが開催される傍ら、インドア展示場にはマッスルカーが勢ぞろい! 車中泊仕様も多く出展された最新のカスタムカーの祭典をラスベガスからお届けしよう!

アメリカらしいダイナミックなオーバーランドモデルがトレンド

日本でも人気のオーバーランドと呼ばれる4WDモデルで、道なき道を楽しむアウトドアスタイル。アドベンチャーライフに欠かせない車両の展示が目を引いた。

毎秋、ネバタ州ラスベガスで開催される「SEMA SHOW (セマショー)」は、全米だけでなく世界中からカスタムカーが集まってくる、一大オートモービルショーだ。

2022年11月1日から4日間開催されたが、連日多くの人で会場はごった返し、自動車大国・アメリカらしく、多くの人の関心がクルマに向けられていることを、賑わう現場で改めて痛感した。 

数々の見本市が開催されるラスベガス・コンベンションセンターは、巨大なホールがいくつも集まって構成されている。

個人のカスタムカーも展示できるので、アウトドアスペースには多数のクルマがずらりと並ぶ。ハイリフトトラックがその主流。

それぞれのホールは大きなテーマごとに分けられて、カスタムカーや、改造のためのさまざまなパーツが展示されている。

アメリカらしく、ビカビカに磨き上げられた新旧のマッスルカーが居並ぶ様は圧巻で、さらにそれらのパーツが魅力的に展示されているのだ。

通称ハンビーと呼ばれる軍用ハマーH1も、カスタムされて革張りのインテリアを与えれば、ご覧のようなゴージャスなフィニッシュに。

カリフォルニアでの新車登録台数が最も多いのがテスラ。さらにアメリカでは、それに続けとばかりに、幾多の新興ブランドからEVカーが市場投入されている。

そのためセマショーで展示されているのは、EVばかりだろうと予想していたが、その予想はいい意味で裏切られた。

ビッグブロックと呼ばれるオーバー7Lのエンジンを搭載したマッスルカーなどを、今年もメインに展示。

EVの利便性や運動性能の高さを評価しながらも、エグゾーストノートや全身に響き渡るエンジンの振動を愛してやまない!

オフロードランのための軽量なATVは、さまざまな車種がリリースされている。こういったセグメントの車両も豊富なパーツを使って、各々がカスタムを楽しんでいる。

そんなアメリカ人のクルマに対する愛情があふれ出している空気感が伝わってきた。 今回は、そんな想定外(!?)のセマショー2022の様子を、カーネル的視点でお伝えしたい。

ルーフトップテントが車中泊シーンで人気

ウエストホールの半分以上のスペースに展示されていたのが、車中泊を楽しめるレクリエーショナル・ビークル。

普段、車中泊専門誌『カーネル』のUSAレポートでメインで紹介している、近年注目の高いバンライフスタイルのフルサイズバンはほとんど見かけることがなかった。代わりに目立ったのが、本格的なRVと4WD機構を備えたジープなどのモデルであった。

特に今年のトレンドとして注目したいのが、大半の車両が採用していたルーフトップテント。ルーフに装着したユニットを開けば、瞬時にして簡単に大人が2名以上就寝可能なベッドスペースが出現! 合理的なことが大好きなアメリカ人にとって、大いに受け入れられたアイデアだったようだ。

ルーフキャリアがあれば、どんなクルマだってテントを搭載可能。スポーツカーで車中泊、という夢のようなコンビネーションも実現可能だ。

さらに、ルーフトップテントを装着しているのが、オーバーランドを楽しむための4WDモデルだけでないのもおもしろい。

車内にもベッドを備えたバンやトレーラー、本格的なRV、そしてスポーツカーなどもある。簡単に展開ができるルーフトップテントをひとつ装着するだけで、車中泊の可能性がぐっと高まるアイテムとして、大きな注目を集めているのが伝わってくる。

カスタム4WDとして頭角を現したブロンコのカスタマイズはいたる所で見かけられた。もちろんルーフトップテントを搭載。

ルーフトップテントユニットそのものも、大人2名の就寝スペースだけのタイプ以外に、ふたつのエリアに分かれ、リビングスペースをもつもの。

さらに、テントを中心にしてオーニングが大きく展開するタイプ、立ったまま着替えができるプライベートスペースが備えられているモデルなど、じつにさまざまな商品が登場していた。

就寝自体は車内ではなく車外テントでOKという、アメリカ人キャンパーのニーズにぴったりとハマった最新ギアといえるだろう。

注目のルーフトップテント搭載車を一挙紹介!

最新トヨタ・タンドラのエクステンデッドキャブをベースとしたトラックキャンパー。オーバーランディングを楽しむのに適したピックアップトラックも、ルーフトップテントを利用すれば、たっぷりのキャンプギアを搭載できる。USAではこのシステムが当分主流になっていきそうだ。

レクサスブースの一番手前に展示されていたのが、ルーフトップテントを装着したGX。今回のショーのなかでも注目度は高かった!

元来、室内に居住スペースを作り出しにくかったジープ・ラングラーにとって、ルーフトップテントは最高のパートナーといっていい。リアの荷台にもテント張って就寝スペースに。

ジープ・グラディエーターに、ルーフトップテント+ベッド用のエクステンデッドテントを装着すれば、大人4人の快適キャンプスペースのでき上がり。まだまだ展開の可能性を秘めている仕様。

リフトアップしたFORD E-350にルーフトップテントとオーニングユニットを取り付けるだけ。このシンプルな組み合わせで快適な空間が生まれる。

大型ピックアップトラックと、ルーフトップテントの相性がいいことがわかる好例。ユニットに取り付けられたラダーは伸縮自在だ。

ドアを取り外せる仕様もあるラングラーやグラディエーターだが、ルーフトップテントがあれば室内のセキュリティも気にならない。

ドアなしモデルに広がるオーニングを装着。リアゲートまわりをキッチン&リビングとして使用。就寝は屋根の上なので問題なし。

こちらはグラディエーターの荷台をかさ上げして、キャンプギアを収納するスペースを確保。さらに、その上にテントを載せた仕様。