【概要】キャンピングカーの種類のひとつである「キャブコン」について解説。特徴や魅力、サイズ感など。

ひと口に「キャンピングカー」と言っても、大型バスのように大きなクルマから軽自動車サイズの小さなクルマ、数千万円もする高額なクルマから200万円台で購入できるクルマまで、バリエーションは多種多様。

キャンピングカーを知るには、まずその種類(カテゴリー)を理解することが重要だ。

今回解説するのは、日本でもっともポピュラーなキャンピングカーのひとつ「キャブコン」。

コクピット上部にリーゼントのような張り出しを持つ独特のフォルムは、まさに「ザ・キャンピングカー」! 

キャンピングカーと聞くと、パッと“キャブコンのイメージ”を頭に思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

キャブコン(キャブ・コンバージョン)は、ベース車両のリア部分にFRPやアルミ製のキャンピングシェル(居住部分)をドッキングした、8ナンバー(特種用途自動車)登録のキャンピングカーだ。

キャブ(コクピット部分)付きシャーシをベースにコンバージョン(改造・改変)されていることから、「キャブ・コンバージョン(=キャブコン)」と呼称されている。

ハイエースベースのキャブコン。

ベース車両には、貨物用のトラックを使用するのが一般的。

なかには、ワンボックス車の後部をカットしてキャンピングシェルを搭載したモデルや、軽トラックをベースにしたモデルもあり、同じキャブコンでも様々なサイズがラインアップされている。

日本でもっとも人気があるのは、「5×2」と呼ばれる全長5m×全幅2mクラスのキャブコンだ。

最大の特徴は、日本の道路事情に適した“大きすぎず小さすぎない”ボディサイズ! 

一般的な駐車場の白線内にすっぽり収まるので、このクラスまでなら市街地や観光地でもストレスフリーでドライブ可能だ。

軽トラックベースの軽キャブコン。

ほかにも、小型トラックをベースにしたライトキャブコン、もっとも機動性に優れた軽トラックベースの軽キャブコンなどがラインアップされており、乗り手のニーズに合わせて好みのサイズをチョイスできる。

キャブコンの最大の魅力は、スクエアな形状がもたらす広大な室内空間だ。

一般的にクルマのボディは曲線で構成されているため、上部に行くにつれて室内空間が狭くなる。

それに対し “居住空間”として製作されたキャブコンのシェルは、サイドとリアの壁面が垂直に立ち上がった箱型形状のため、居住スペースを最大限に確保できるのがメリット。

シェル内部は大人が立って手を伸ばせるほどの室内高が確保され、広々とした室内を歩いて移動することも可能だ。

室内には、ベッドスペース、ダイネット(生活の中心になるリビング的空間)、キッチン、トイレ&シャワールームなどが完備され、ファミリーユースや長期の旅でもストレスを感じることはない。

生活に必要な電気を供給する「大容量サブバッテリーシステム」や、エンジン停止時でも使える「エアコンシステム」などの装備も充実しており、家と同様の感覚で快適に生活できる。

コクピット上部に張り出したバンクベッドは、家で言うロフトベッドのような役割を果たす、キャブコンの象徴的な装備。

このバンクベッドの恩恵で、ボディを大きすぎないサイズに抑えながらも、多くの就寝定員を確保することが可能になっている。

「大人が立って手を伸ばせる室内高」「歩いて移動できる通路」「独立した生活スペース」「大人数分の就寝スペース」「充実の快適装備」など、様々な魅力を備えたキャブコンは、日本におけるキャンピングカーのメインストリーム。

見た目よりも小回りが利くため、全高さえ気をつければ運転しやすく、機動性も抜群だ。

文:岩田一成 
写真:岩田一成、中里慎一郎、カーネル&SOTOBIRA編集部