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【概要】2022年発売のアウトドアスパイスや調味料をアウトドアライターがレビュー。万能系ではなく、食材のうま味を引き立てる調味料やアレンジしやすい調味料をピックアップ。

写真:中里慎一郎

アウトドア好きの間では長らく「マキシマム」(宮崎)や「黒瀬のスパイス」(福岡)といった万能スパイスが手間がかからずバシッと味が決まると評判だったが、2019年、あえて“アウトドアスパイス”と目的を絞った「ほりにし」(和歌山)が登場し大ヒット。

以降、世はアウトドア万能スパイス戦国時代といった様相で、いろいろなメーカーから調味料が登場しているのはご存じの通り。

こうしたアウトドア万能スパイスの多くが、「にんにくが効いたパンチのある」味。どれもBBQによく合いうまいし、まとめて味比べをすればそれぞれの違いがよくわかるが、正直、単体だと「これは◎◎の味」と言い当てるのは難しい。

また、料理好きなら万能調味料をかけ算したり隠し味とするなど使いこなせるが、そもそも万能調味料は“楽においしく”を目指すために手に入れるわけで、そのまま使う人が多い。結果、飽きてしまい一瓶を使い切れないのだ。

そんな嘆きを受け止めてか、現在はにんにくガツン☆系というより、うま味を引き立てる調味料やアレンジしやすい醤油ベースのソース系が続々登場している。

醤油ベースのソースはアレンジ多彩

たとえば「山椒ピリリキャンプソース」(広島)や「NUTS OUTDOOR SOURCE」(大阪)は一般的なウスターソース同様、焼きそばや肉に絡めて焼くのが定番だが、焼き穴子に「山椒ピリリキャンプソース」を絡めて焼けば、山椒と醤油の甘辛さのおかげでなんだかウナギっぽくなる。公式サイトによると炊き込みご飯やすき焼き風鍋も作れるとか。

一方、「NUTS OUTDOOR SOURCE」はさわやかな酸味で湯豆腐や刺身にもいい感じだし、オリーブオイルでのばせばドレッシングになる。

どちらも醤油ベースでにんにく不使用だから、たっぷり使ってもテントや車内が大変なことにならないのも◎。

塩味を抑えてうま味を重ねる

昆布に含まれるグルタミン酸と、かつお節やまぐろ節に含まれるイノシン酸といった天然のうま味を重ねることでおいしさを増やす「うま味さん」で知られる京都祇園 侘家古暦堂が、世界のうま味を求めて考えたスパイスシリーズを発売。

第一弾は「うま味さんスパイス サラダ用木の実の香り」と「うま味さんスパイス 和牛用ペッパーベリーの香り」。

サラダ用はコリアンダー、クミンが香るさわやかな調味料で、ローストしたアーモンドの食感と香ばしさがアクセント。オリーブオイルとともに生野菜にかければモリモリ食べられる。さわやかな香りなので、豚バラ肉など脂っこい肉をレタスで巻いて一振りするのもおいしい。

昆布とシイタケ、タマネギという野菜のうま味を加えた葉物サラダ向きだが、市販のポテトサラダやおからのサラダに一振りすると、一気にオリエンタルな料理に変わる。よくある万能調味料とは違って塩味が控えめなので市販の惣菜と合わせやすいのも使いやすい。

和牛用はペッパーベリーとセロリの香りが主張するが、口に含むとマンゴー由来のほんのりした甘酸っぱさが広がる複雑な味わい。

ステーキに甘味なんて……と思うかもしれないが、和牛は加熱することで独特の甘い香りを放つ。これが甘味と相性抜群。

しかも和牛用のスパイスには昆布とシイタケのうまみが含まれており、脂ののった和牛がよりおいしく感じられるのだ。

和牛のうま味成分、イノシン酸はほかの肉や魚にも含まれていて、干したり燻製にしたり熟成することでイノシン酸が増えると言われている。

ベーコンとホッケの塩焼きにふりかけてみたところ、甘塩っぱさが病みつきになる。和牛用ではあるが幅広く使えるのがうれしい。

ホットなうま味はスープにも!

「アカラブ FOR MEAT」は栃木に本社を置くテンマクデザインと東京・水道橋のカフェBASE CAMPがコラボして開発した肉専用調味料。肉の表面にすり込んで焼くほか、ハンバーグのように練り込んでもいい。牛・鶏・豚・羊などなんでもござれ。

にんにくが入っているけれど主張しすぎることはなく、パプリカのほんのりさわやかな辛みが特徴で、アカラブを使った肉料理はビールとの相性よし。辛みはマイルドなので小学生以上の子と分け合う料理にも使えるだろう。

ワカモレやフライドポテト、チーズホットサンドなどビールと相性のよいつまみに使うといい感じ。

市販のめんつゆは甘味が強いので、めんつゆを控えめにしてアカラブを出汁変わりにすることでエスニック味のつゆになる。

セリに似た、ちょっと甘くさわやかなキャラウェイの香りが好きならハマる。

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今回使った2022年登場のアウトドアスパイス&ソースたちは、これまでの万能スパイスと同じ要領で使うと物足りなさを感じるかもしれないが、「しまった、かけすぎた」と頭を抱えることがなかった。どれも自分好みにアレンジする余白を持っていて、キャンプはもちろん日常的に使えそうだ。にんにくガツン☆系に飽きた人は試してみては。

写真、文:大森弘恵