【概要】コールマンのヴィンテージランタン「200A」のメンテナンス方法をビブラント二子玉川店 店長・中村優汰さんが伝授。自宅で簡単にできるチェック方法と保管についても紹介。

コールマンのヴィンテージガソリンランタン「200A」は、古いもので70年以上前に製造されたものがあり、部品の劣化やネジのゆるみなど正常に点灯しなくなるケースが多々ある。

ライター・小川の所持する200Aのメンテナンスしてもらいながら初心者でも簡単にチェックできる方法を専門ショップに聞いてみた。

教えてくれたのは……ビブラント二子玉川店 店長 中村優汰さん

4年前に入社し、2020年に東京店の店長に就任。5年前に友人とキャンプしてから、人とかぶらない道具選びを考えるようになりヴィンテージの世界へ。最近はパックラフトをしたいとのこと。

教えてもらったのは……ライター・小川迪裕

所持する200Aを使ってみたらガソリン漏れ……。今回はこの200Aをメンテナンスしていくぞ!

自宅で簡単にチェックできる方法はこの3つ!

①空気が入るか

潤滑油を差してポンピングしても空気が入る手ごたえがない場合は、ポンプカップが原因の可能性がある。対処法を知っておこう。

➁ガソリン漏れがないか

ポンピングをして燃料バルブを回してもガソリンが出ない場合、どこかでガソリンが漏れているおそれが……。

③ガソリンが噴出するか

ガソリン漏れだけでなく、ジェネレーター内にゴミが入ることで噴出しないケースもあり得るのでチェックしよう。

①空気が入るか

①-1 ラジオペンチでリングを外す

空気が入らないのはポンプカップの変形・消耗が主な原因とされる。それをチェックするには、最初にフタに固定されているリングを外す必要がある。先端が細いラジオペンチを使い、横にずらすように持ち上げて外そう。リングの紛失にご注意!

①-2 ポンププランジャーを取り出す

フタとポンププランジャーを取り出す。奥にポンプカップが出てくるので、ここでその状態をチェックする。現行品はゴム製だが、ライター所持の200Aはレザー製のものを装備しており、内側に曲がるクセがあるとのこと。修正のためすべて取り出す。

①-3 ポンプカップを広げる

ポンプカップをグイグイと外側に広げる。広げる目安は、ポンププランジャーの口より少しはみ出るほど。できたらプランジャーごと口に戻し、潤滑油を数滴差してフタをし、最後にリングをつければ完了。ポンピングで空気が入るか確認しよう。

➁ガソリン漏れがないか

➁-1 スパナやレンチでフレームを外す

ベイル(ハンドル)、ベンチレーター、グローブを外し、フレームを外す。その際、スパナやレンチを使ってフレームとタンクを接合しているネジを回す。錆があると非常に硬くなっているため、どうしても回せない場合は専門のお店に相談してみよう。

➁-2 ②ガソリンを入れてポンピング

タンクにホワイトガソリンを入れてポンピングをし、ジェネレーターを通ってマントルがつく先端からガソリンが出るか確認。言うまでもないが、ガソリンは引火性、皮膚刺激があるため、室内ではなく屋外で行うようにしよう。手袋も忘れずに!

燃料バルブの付け根からガソリンの漏れを発見。

➁-3 燃料バルブの付け根を締める

ガソリンが漏れている原因の多くは、ネジのゆるみが挙げられる。筆者は燃料バルブの付け根だと判明したので、モンキーレンチを使って締める。ただし、締めすぎると燃料バルブが回らなくなるため、角度10°くらいの気持ち程度で十分だ。

③ガソリンが噴出するか

③-1 再度ポンピングする

ガソリン漏れがないか確認したら、燃料キャップをゆるめて、いったん空気をすべて抜き、再度ポンピングをしてタンクに空気を入れる。メンテナンスのチェックとはいえ、数回だけではなく100回を目安にしっかりと空気を入れるようにしよう。

③-2 噴出口にタオルを当てて栓を開ける

ポンピングが完了したら、ジェネレーターの先端にタオルを当て、燃料バルブを開いてガソリンが出るかどうか確認。シューッという音とともにガソリンが出ればOK。もし出ない場合は、レンチで部品を外してジェネレーターを清掃する。

これで無事に点灯しました!

もし心配なら問い合わせを

今回はネジのゆるみでガソリン漏れが起きていたが、そのほかにも不調の原因はいろいろある。心配な場合はメンテできるお店に問い合わせよう。

200Aの保管方法

日差しが入らない場所に置く

他のキャンプ用品も同じだが、日差しが当たる場所に置くと塗装が焼けて変色する。また高温の場所で保管するとタンクの内圧が上がり、キャップを外す際に中のガソリンが噴出するおそれがあるため、日差しがない冷暗所で保管しよう。

ガソリンをすべて抜く

ビブラントの中村さんによると「ガソリンが入っていると日中と夜とで温度差が起きた際に、タンク内に水分が生まれます。それが底に溜まることで、タンクに錆が起きやすくなるのです」と話す。少しガソリンが残る分には揮発性でなくなり問題ない。

燃料キャップは完全に締めない

冬場や梅雨の時期など、長期間にわたって保管する場合は、キャップは少しゆるめておこう。きつく締めると、タンク内の気圧が変化して、久しぶりに開けるとガソリンが噴出するおそれがある。ランタンを使い終わったら、抜いて少し締めるくらいで。

写真:千葉沙恵子 
文:小川迪裕 
出典:GARVY2022年4月号