【概要】2022年8月に開催された「ちがさきキャンピングカーフェス」のイベントレポート。出展内容の紹介や茅ヶ崎市・佐藤市長のコメントなど。

茅ヶ崎市と地元キャンピングカービルダーが協力して実現

2022年8月6〜7日の2日間、茅ヶ崎市役所のすぐ目の前にある茅ヶ崎中央公園で、初となる「ちがさきキャンピングカーフェス」が開催された。

この公園でこのようなクルマを展示するイベントが開催されることは珍しく、茅ヶ崎市にとっても初めてのことだった。

このイベントが実現した背景には、地元キャンピングカービルダー「オートワン」と茅ヶ崎市の協力があったから。

両者は災害協定を締結し、災害時に協力しあう関係を築いていたのだ。そこで、防災に関する意識を高めるためにも、今回のイベントが開催されることになった。

会場には茅ヶ崎市長の佐藤光氏、地元神奈川県出身衆議院議員の河野太郎氏の姿も。佐藤市長はこのイベントの立役者でもあり、来場者の反応を確認している様子。河野議員は元防災担当大臣だったこともあり、防災に関しての思いも強く、地元のイベントを視察しにやってきた。

茅ヶ崎中央公園は市街地にあるにもかかわらず、緑の豊かな4ヘクタールもの敷地を誇る公園だ。その中に、キャンピングカーが約30台並べられていた。

佐藤市長はこのイベントを通して「市が行っている防災対策などを、多くの市民のみなさんに知っていただくきっかけになってほしい」と語っている。

お客さんにとっても、初めてキャンピングカーを見る人が多く、防災とキャンピングカーの親和性の高さに関心を示していた。

街中の公園で開催されたことで、キャンピングカーに興味がなかった人の来場もあり、多くの人にキャンピングカーをアピールできる場所となっていた。

オートワンが茅ヶ崎市と災害協定を締結

オートワンと茅ヶ崎市は「災害時における車両に関する協定」を締結。被災時に停電が発生した場合、すぐにキャンピングカーを貸し出して、電源供給を行えるようになった。

防災を意識したキャンピングカーたち

電気・ガス・水道、そして、立って歩ける広々とした空間を提供するのはキャブコンスタイル。来場者はその車内の快適性に驚いていた。

ハイエースなどをベースにしたバンコンモデルは、普段乗りにも十分に使える手軽さがあり、広いベッドスペースも提供してくれる。

災害時でも機動力を発揮するコンパクトなキャンピングカーといえば軽キャンパー。来場者の興味が高い車種だったようだ。

一般乗用車のルーフラックに装着するルーフテントは、いま自分がもっているクルマに、しっかりとした就寝スペースを作れるので便利。

キャンピングトレーラーもキャブコン同様に快適な環境を提供してくれる。普段からシェルターとして設置しておいてもいいだろう。

地元のオートワンも出展

地元のオートワンが展示していたクルマは、災害時でも電源が確保できる「給電くん」

軽自動車であっても、広いスペースを確保できることがポイント。特にこのクルマは電源の外部出力があり、被災地でも活躍してくれる。

いざというときに役立つ体験を

会場となった茅ヶ崎中央公園は災害時の広域避難場所に指定され、園内には災害用水洗トイレがある。イベント期間中はデモ展示されるなど、市民の防災意識を高める効果もあったようだ。

災害時はトイレの確保が大切。そんなときに役立つ簡易型トイレの紹介も行われていた。

会場には地震体験車もやってきた。実際に地震の揺れを体験して、災害の怖さを実感できる。

キャンピングカーと防災を考える

ちがさきキャンピングカーフェスの会場に集まったのは、右から茅ヶ崎市長の佐藤氏、オートワン代表の青木氏、衆議院議員の河野氏。国や自治体でも、災害時のインフラ整備などは重要課題であり、キャンピングカーの果たす役割にも期待しているという。

青木氏(右)は、参加しやすいイベントで、子どもたちも興味を示していたこと、そして、災害に対する強さ、家族で一緒に移動できる利便性などをアピールできたのでは、とイベントを振り返った。

佐藤氏は準備期間の短さに不安を感じつつも、盛況であったことに驚いていた様子だ。茅ヶ崎市のみだけでなく、近くの市からも来場者があり、茅ヶ崎市の防災対策を知ってもらったことは大きかったという。そして、ふたりとも次回開催に意欲を見せるのであった。

写真・文:渡辺圭史 
出典:カーネル2022年11月号vol.57