【概要】車中泊キャンプを楽しむファミリーの1泊2日に密着。過ごし方やキャンプギア、キャンプを始めたきっかけなどを紹介。

お茶問屋を営む大島ファミリーのキャンプに同行!

レストランや工芸館、直売所など、多くの施設が集合する「道の駅 那須高原友愛の森」。我々が休憩しているところに大島さんが登場。ハイエースの4面すべてにデカデカとロゴがプリントされていて目立っていた。

「OUTDOOR MONSTER」と書かれたロゴが大きくプリントされたトヨタ・ハイエース。これは大物にちがいない、と思って声をかけたのが、大島さんファミリー。

崇嗣さんは、茨城県で「大島清吉商店」というお茶の問屋を営んでおり、そこでは店内の半分を使ってキャンプ用品を販売しているという。

「ただギアを売っているだけでなく、お茶を多くの人に知ってもらうために、“お茶+キャンプ”を考え、相性のいいものを厳選して卸しています」と崇嗣さんは話す。

そんな活動のなかで、イベントで出会ったイラストレーターのロックさんと意気投合。すぐに崇嗣さん専用のイラストを作成してもらったそうだ。

「ティーボーイ」と名づけ、現在はそのロゴを活用してオリジナル商品を販売している。

「キャラクターを使うことで、子どもにも好印象を与えるし、覚えてもらえやすいんです。これとキャンプとを組み合わせて、少しでもお茶のイメージが向上してくれるといいなと思っています」と崇嗣さん。

こんなキャンプがきっかけとなったエピソードがあったからなのか、今回のような取材を快諾してくれたことに感謝したい。

今回、大島さんファミリーは、栃木県那須高原へ向かうという。平日は店舗を営業する崇嗣さん。休日はイベントに出店するので、最近はひとりで行動することが多く、ファミリーキャンプは久しぶり。家族みんな楽しみにしていたという。

ファミリーキャンプの達人 プロフィール

大島崇嗣(たかし)さん(左)、久子さん(中)、章護くん(右)

大正時代に開業したお茶の問屋・大島清吉商店の3代目にして、現在は代表取締役社長。趣味のキャンプとお茶を組み合わせて、SNSにて発信中。久子さんは自然のなかで読書をするのが好き。章護くんはソフトテニスの県大会で優勝する強者。

DAY 1

【1日目】11:45 道の駅 那須高原友愛の森を出発!

道の駅の直売所へ行く予定だったが、なんと長蛇の列という人気ぶり。予想外の事態にここでの買い物は断念し、キャンプ場へ行く途中にあるスーパーへ移動。

【1日目】12:00 途中のスーパーで食材を買い出し

スーパーには栃木県産の肉がずらり。3人でどの肉を買おうか吟味。結局選んだのは、ハンバーガーで使う牛挽肉だった。「最近買ったシマノのクーラーに入れて保冷していきます」

【1日目】12:30 草原や田んぼを抜けてキャンプ場へ

スーパーでの買い物を終え、いざキャンプ場へ! チェックインの時間までに余裕があるため、クルマで周辺を散策。

晴れた日は三本槍岳が奥に姿を見せるが、今回は雲が多く、あいにく見ることができなかった。しかし、緑が生い茂る道を通り、久子さんからは「目の保養によかったです」とポジティブなひと言。

【1日目】13:00 取引先でもある仲良しのキャンプ場に到着

今回のキャンプ場はキャンプラビット。夏には新緑、秋には紅葉が見られる自然豊かな施設で、全国に常連客がいる。大島さんが販売する日本茶やティーボーイを、一部ここに卸しているそうだ。

【1日目】13:30 自然豊かなサイトで家族みんなで設営

同施設は南ゾーンと東ゾーンに分かれている。今回は、近くに沢が流れる東ゾーンを利用。サイドオーニング、ルーフトップテントの順に設営し、リビングと焚き火場所を作って完成。

【1日目】14:00 我が家のサイトの完成です!

リビングと、寝床を兼ねるクルマをひとまとめにし、焚き火スペースは少し離れた場所にセッティング。ウッドと鉄のギアを中心に置いているが、ゴザなど随所に「和」を取り入れる個性派スタイル。

リーズナブルなスタイルからオーバーランドへ

ハイエースDXグレードの標準色であるライトイエローにロゴをラッピング。上部にはワイルドランドのパスファインダーのルーフトップテントを搭載し、サイドオーニングはオーストラリア発のブランド・ダーチを装備。オーバーランドスタイルに仕上げた。

大島さんのこだわりともいえるハイエースは、一般的なキャンピングカーではなく、上にルーフトップテントを載せたオーバーランドスタイル。

電動立ち上げシステムを搭載したパスファインダーのルーフトップテント。電気はクルマから取り込んでいるのではなく、トップ部に搭載したソーラーパネルを使って駆動させている。わずか1分で設営できる便利ギア。

「ほかの人と同じスタイルにするとつまらないので。調べたら、ルーフトップテントとカーサイドオーニングを組み合わせたスタイルがかっこいい! と感じたので、ネット通販で購入しました。ちなみに、オーニングはルーフキャリアの隣に装着しようとしたら、法的にサイズからはみ出てしまうため、自分でカット。なんとか問題ない幅に調整しました」

車内はヘリンボーンの棚や天井ネットなど、仕事でもキャンプでも役立つカスタムを施している。「棚はチボリウッドワークスに依頼して作ってもらいました」

キャンプ場に着いてサイトをセッティング。その後、章護くんとフリスビーを通してコミュニケーションを取るなど、久しぶりのキャンプを楽しんでいる崇嗣さん。

しかし、キャンプを始めた頃は、今のようなスタイルではなかったそうだ。「キャンプを始めたきっかけは、家族そろって楽しい遊びがしたいから、という単純な理由。しかし最初は、今のようなこだわりの強いスタイルではまったくありませんでした」

「ホームセンターで買った安い道具をそろえ、とにかく経験しようと思ってキャンプを敢行しました。そうしたら、1回目はまさかの大雨。道具は濡れるし、料理はままならないし、正直心が折れそうでした(笑)」

ところが、隣のサイトを見ると、雨が降っているのにとても快適そうに過ごしている……。負けず嫌いな性格のため、「あんなふうに雨でも楽しく過ごしたい!」と、雑誌やWEBメディアをチェックしたという。

【1日目】16:30 焚き火を使ってサクッと夕食作り

スーパーで購入した挽肉を丸くして空気を抜き、鉄のフライパンで焚き火調理する大島さん。「二次燃焼の焚き火台は火力がよく、肉をジューシーに仕上げたいときに便利です」

ピザは生地から手づくり。生地をしっかりこねてドライイーストを加え、自然発酵で膨らませる。「手づくりならサイズが変更可能。人数に合わせて自由に作れます」と久子さん。

ピザにハンバーガーと、ガッツリ食らう親子。ふたりとも風味を味わいつつ、チーズをビヨーンッと伸ばして楽しむ。

「いつか自分もピザ窯を使って、おいしくピザを作ってみたいなー!」と章護くん。将来期待の若手キャンパーは、ワイルドなアウトドア料理にも興味があるようだ。

【1日目】19:00 小道具を使って焚き火の準備

待ちに待った楽しい時間。いち早く着火させるために、崇嗣さんは空気入れを使用。

「息を吹きかけると酸欠を起こしそうで(笑)。空気入れは家にあったもの。今では100円ショップでも手軽に買えるそうですね。安定して空気を送り込めるので、焚き火道具のマストアイテムに加えて、持っていきます」

【1日目】21:30 焚き火を満喫してルーフトップテントの中で就寝

焚き火台の二次燃焼のおかげで、すぐに薪に着火。40cmほどの大きい広葉樹もすぐに火が付く。章護くんは大好きなチータラをトングでつかみ、火に近づけて軽く炙る。「え~それおいしいの?」と久子さんは聞くが、いざ食べると満面の笑顔。30分くらい楽しみ、あっという間に就寝時間に。

焚き火で最近使う道具に、仙台のアウトドアショップ「センダイサバーブ ショップ」の火かき棒がある。「TUN」と呼ぶこれは、金属を一部ひねったデザインの個性ギアだ。

寝る準備をしたら、章護くんはひと足先にルーフトップテントへ。何度も使っているため、ラダーをスムーズに上る。その後、夫婦も車内に入って就寝タイムに。

DAY 2

【2日目】8:00 朝はさっぱりした和食をいただきます

白米に細かくしたお茶の葉を入れて風味付けし、缶詰めのサバと三つ葉、そして出汁をそれぞれ加えてお茶漬けの完成。追加で「お好みで漬物も」と久子さん。

昨夜の夕食がやや脂っこいものが多かったということで、朝食はさっぱりした料理に。お茶問屋という職業柄、料理にも茶葉を入れることが多いそうで、白米にも茶葉を入れている。標高が高く涼しい朝にぴったりの温かい朝ごはんだ。

【2日目】10:00 次の目的地へ行くべくサクッと撤収

薪や焚き火道具は、大きめのコンテナに丸ごと収納してクルマの中へ。「薪はどうしても細かいゴミが出てしまうので、キャンバス系のバッグには入れずに、しっかりとしたハードケースに入れるようにしています」と崇嗣さん。

久子さんはキッチンまわり、章護くんはファニチャー類、崇嗣さんは焚き火類を担当して片付け。最後に親子でルーフトップテントとサイドオーニングを撤収。「こうやって、いつも3人で片付ければ楽なのに」と崇嗣さんが小言。

【2日目】11:30 キャンプ場おすすめの和菓子店でお土産購入

キャンプラビットのオーナーから紹介してもらった和菓子屋「なかむらや志水」(栃木県那須郡那須町寺子丙1-218)。

創業45年を迎え、「お店の横でひとりコツコツと和菓子を製造している」とお話を聞く。初めての来店だったので、人気和菓子を購入。しかし、人気の黒糖まんじゅうは昼前ですでに完売。

購入したのは手づくりのどらやき(各140円)、那須ブランドに認定されただっぱら(800円)、直火煉りの塩ようかん(1000円)の3種。どらやきは塩バターと餡の2種類を購入できる。