【概要】クルマ業界のリーディングカンパニー・トヨタが、被災時を想定した車中泊避難の実践講座を開催。「“命を守る”ということを最大の目的とする」、その内容を紹介。

トヨタが開催した画期的な試み

2016年4月に発生した熊本地震で車中泊の避難所となったグランメッセ熊本の駐車場。

熊本地震により「車中泊避難」がクローズアップされてから5年以上が経過した。その間、車中泊雑誌『カーネル』は、さまざまな問題を抱えながらも、今後必須となる車中泊避難の知識を紹介しつつ、進むべき道を模索してきた。

そして、『カーネル』同様に車中泊避難に対して、行動を起こしたのがトヨタ自動車だ。

まずは社内向けではあるが、車中泊避難についてのセミナーなどを実施。今後、熊本地震同様の災害が起こった場合に備えて、いち早く「自動車メーカー」の枠組みを超えて対処できるように、多くの取り組みを進めている。

富士スピードウェイ内にある「トヨタ交通安全センター モビリタ」。普段は交通安全のための講習が受けられる施設だ。

そのなかで開催されたのが、今回の「モビリタ車中泊避難実践講座」だ。富士スピードウェイ内にある「トヨタ交通安全センター モビリタ」を使用。

参加者にはマイカーで来てもらい、実際に車中泊できるシートアレンジに挑戦していただくという斬新な企画を実施した。

座学講座では、エコノミークラス症候群については新潟大学大学院教授・榛沢和彦先生が、睡眠については、国立研究開発法人産業技術総合研究所の甲斐田幸佐先生が講義した。

さらに、「エコノミークラス症候群」については榛沢和彦氏、「睡眠」については甲斐田幸佐氏という、両分野における興味深い講義もあり、濃密かつバラエティ豊かな講座となっていた。

モビリタ駐車場で2チームに分かれて開催された車中泊避難の実践講座は、『カーネル』編集長の大橋が担当。

今回はモビリタでの運転実技講習もプログラムに盛り込まれ、ギッシリした内容を受講した参加者の皆さん。改めて気づきの多かった一日となったようだ。

クルマや家族構成によって変わる車中泊のポイントを紹介。

実際に自分の愛車で車中泊をする場合を想定して、各自シートアレンジやアイテムを考えてもらった。

今後はトヨタ社内だけでなく、一般参加者も視野に入れて、この車中泊避難講座を進めていきたいという同社。もちろん『カーネル』も全面的に協力していきたい。

文:大橋保之(カーネル) 
撮影協力:トヨタ自動車、トヨタ交通安全センター モビリタ 
出典:カーネル2022年3月号vol.53