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【概要】車中泊で旅する金沢&能登半島一周のポイントなどをクルマ旅専門家が解説。現地の車中泊事情、観光ガイドなど。

金沢市内にある「とっておき」の車中泊スポット

湯けむり屋敷 和おんの湯/石川県金沢市神宮寺2丁目30-1/営業時間5~24時/入浴料大人720円。

「湯けむり屋敷 和おんの湯」は「JR東金沢駅」の近くにある、くるま旅クラブの「湯YOUパーク」に加盟する日帰り温泉施設だ。

金沢城公園の石川門から約3.5km、クルマで10分ほどのところに建つ、食堂を備えた「スーパー銭湯」だが、有料で駐車場での車中泊を受け入れている。

しかもここは「くるま旅クラブ」の会員でなくても泊まれる。通常の宿泊料金は電源無しで2300円、会員は300円の割引特典が適用されて2000円になる。

第2駐車場に約20台が泊まれる車中泊客専用のスペースを設けられている。駐車場は概ねフラットで、とても静か。鉄道の高架には近いが、夜間は走らないので気にはならない。

駐車場内には電源が4カ所用意されており、別途1泊700円で利用できる。24時までは温泉施設のトイレが使えるが、24時から翌朝5時までは閉鎖されるため入館できない。

やむを得ない場合は、300mほど離れた24時間営業の「マックスバリュ東金沢駅前店」がある。なお、駐車場から「JR東金沢駅」までは歩いて5分ほど。

能登半島の車中泊ガイド

能登半島攻略の秘訣 観光は3つのエリアに分けて組み立てる

おおまかにいうと基本的に能登半島は日本海側を「外浦」、富山湾側を「内浦」と呼んでエリアを区分しているが、観光的見地に立てば、半島最先端の「禄剛崎」を境に両エリアにかかる「ゴジラ岩」から上を、別途「先端部」として独立させたほうが紹介しやすい。

また、前述したように日数不足になる場合も、この先端部を切り離せば、国道249号で「外浦」「内浦」を周回するプランが立てやすくなる。

千里浜なぎさドライブウェイは通行できるの?

冬の高波で砂浜の浸食が進み、2021年2月に「千里浜ドライブウェイ一部消滅」という衝撃的なニュースが報道されが、その後に緊急養浜が実施され、4月には復旧作業が完了している。

ただ2021年8月時点では、新型コロナウイルスまん延防止対策により月末までの通行規制が行われている。今後の感染拡大状況によって規制期間は流動的だが、規制が解除されれば、以前のように全線通行することが可能だ。

【外浦】能登金剛地区の概要と車中泊事情

岬の先端まで遊歩道が延びる「関野鼻」。

「能登金剛」は、「福浦港」から「関野鼻」まで続く奇石断崖の海岸線の総称で、能登半島国定公園のランドマークともいえるドライブ&展望エリアだ。

県道36号沿いにある遊覧船が発着する「巌門」から、国道249号に面したロングビーチの「増穂浦」を挟み、再び高台を走る県道49号沿いの「ヤセの断崖」「義経の舟隠し」さらに「関野鼻」へと続く一連の景観は、決して期待を裏切るものではないだろう。

「道の駅ころ柿の里しか」は、「千里浜」と「能登金剛」のほぼ中間に位置し、真向かいには大きなスーパーセンターがある。

車中泊については、「能登金剛」の手前(金沢寄り)と中間付近、そして輪島側にそれぞれ道の駅があるが、おすすめなのは手前の温泉とRVパークが併設する「道の駅ころ柿の里しか」だ。

ここで前泊して金沢散策の疲れを癒やし、翌朝空いている時間から絶景に会いに出かけよう。

◎穴場の車中泊スポット:琴ヶ浜鳴き砂パーク

「琴ヶ浜」は輪島市のはずれにある門前町の海岸で、「泣き砂の浜」とも呼ばれている。夏は海水浴もできることから、トイレと水場が付いた舗装駐車場があるが、秋は車中泊で訪れるサーファーも多い。

【外浦】輪島地区の概要と車中泊事情

200軒以上の露店が立ち並ぶ「輪島朝市」は、通称「朝市通り」と呼ばれる約360mの商店街で毎朝行われる。

輪島は伝統工芸の漆塗や、海の幸が並ぶ朝市で有名な奥能登の中核都市だが、2015年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「まれ」の舞台となったことで、若者にも認知が広まった。またそれとは別に近年は港周辺の再開発が進み、生まれ変わった観光施設も多くある。

輪島マリンタウンの駐車場はフラットで広いだけでなく、この大屋根の下にもクルマが止められる。

往々にして名の通った地方都市というのは、車中泊環境に恵まれないところが多いのだが、輪島は例外といっていい町だ。

古くからある「輪島朝市」用の観光駐車場と、2002年にできた「道の駅 輪島」に加え、2010年には輪島港横に17年もの歳月をかけて整備してきた「輪島マリンタウン」が完成。それにより輪島市内の車中泊事情は、他に例を見ないほどの拡充を遂げている。

◎穴場の車中泊スポット:三角州駐車場

無料でトイレがあって196台を収容できるこの観光駐車場は、すでに輪島朝市は経験済みで、その見学よりもおいしいご飯を食べて、温泉でゆっくりくつろぎたいというリピーターにおすすめ。「三の湯 七の湯 天然温泉」までは徒歩約5分。

【先端部】珠洲(すず)地区の概要と車中泊事情

道の駅すず塩田村では、国の重要無形民俗文化財に指定されている昔ながらの製塩法「揚げ浜式製塩」について知ることができる。

能登半島の先端部を占める珠洲市は、「外浦」と「内浦」の両方に面した能登半島の縮図のようなエリア。

短い旅行日程では先端の「禄剛崎(ろっこうさき)」を周回する余裕がもてず、国道249号に乗ったまま半島をショートカットして内浦に出る人も多いはずだ。そこで改めて、珠洲の見逃したくないところを順を追って紹介しよう。

「道の駅すず塩田村」は道の駅というより、「揚げ浜式塩田ミュージアム」と呼ぶほうがふさわしく、ここで
の車中泊はおすすめしない。

まずは白米千枚田から少し北上したところに現れる塩田から。ここでは古来より奥能登に伝わる伝統技術「揚げ浜式製塩」が今も行われている。そこから先は、風光明媚な景色が続く「奥能登絶景街道」に入るが、そのハイライトと呼べる場所が「木ノ浦」の「椿展望台」だ。

禄剛埼灯台まで徒歩10分ほどの、石川県道28号沿いにある「道の駅 狼煙」にクルマを止めてアクセスする。道の駅では車中泊も可能。

能登半島の最北端にあたる「禄剛崎(ろっこうざき)」は、ポツンとひとつ小さな灯台が建っているだけの、まさに「さいはて」の地だが、かつてここでは電灯代わりに狼煙(のろし)が使われていた。

内浦に回ると、珠洲市きってのリゾート地「鉢ケ崎」に出る。そこから富山湾に面した穏やかな海岸線を走ると、「見附島(みつけじま)」を経て「恋路ケ浜」に到着する。

◎珠洲のベスト車中泊スポット:見附島公園

「見附島」は珠洲エリアの内浦側にある弘法大師ゆかりの景勝地で、一帯は整備の行き届いた海浜公園になっている。

「見附公園」の最大の魅力は、200台を収容できる広々とした無料駐車場だ。トイレは洋式でウォシュレット付き。

また徒歩2~3分のところには日帰り入浴ができる「国民宿舎のとじ荘」がある。浜辺には夫婦で1泊2600円のフリーオートサイトもあるが、週末はほぼ予約で埋まっている。

【内浦】七尾湾地区の概要と車中泊事情

温泉街の中心付近に位置する加賀屋の近くにある湯元の広場。岩山の上に時計台が建ち、和倉温泉の開湯伝説にちなんだ、シラサギの像のところから源泉が湧き出ている。

七尾湾の中にぽっかりと浮かぶ能登島を包み込んでいるように見えるこのエリアは、外浦とは対象的に湖面のように凪いだ海の恵みを享受している。

かつては「陸の孤島」のような場所だったが、金沢から「千里浜なぎさドライブウェイ」のある羽咋(はくい)を通って輪島や七尾に向かう「能登有料道路」が、2013年に「のと里山海道」に名を変え無料化されて以降、観光化が加速度的に進んだ。

さらに「七尾氷見道路」が全線開通したことで、富山方面への利便性も向上している。現在は七尾インターから高岡インターまで無料で通行できるので、帰りはこの道を通ると北陸道と北陸自動車道にスムーズに合流できる。

◎能登半島屈指の“車中泊天国”は「ねやフィッシングパーク太公望」

「ねやフィッシングパーク太公望」は、石川県立の入場料も駐車料金も不要の公共施設(電源代は別途必要)で、くるま旅クラブの「RVパーク」にも加盟している。場内には釣り場と食堂、そしてウォシュレット付きのトイレがある。

◎和倉温泉に最寄りの車中泊スポットは「道の駅 能登食祭市場」

24時間トイレは駐車場裏の公園にある。

和倉温泉・総湯から約7km、クルマで15分ほどの海辺にある。普通車約200台を収容する駐車場は、フラットで車中泊に適しているが、朝8時30分の開店時間に合わせて、団体客を乗せた観光バスが続々とやってくるため、静けさはあまり期待できない。

※当記事はカーネルvol.51 連載「車中泊で旅する」からの抜粋になります

写真、文:稲垣朝則 
出典:カーネル2021年秋号 vol.51