【概要】新作を中心としたアウトドアスパイス6製品の食べ比べレビュー。アウトドアスパイスブームの流れや、6種類の容量と価格によるコスパ検証も。

キャンプシーンでは「アウトドアスパイス」がまだまだアツい!

“アウトドアスパイス御三家”といわれる、左からマキシマム、ほりにし、黒瀬のスパイス。

キャンプ人気とともに盛り上がりをみせているのが万能スパイスだ。

当初は宮崎「マキシマム」、「焼肉 ザ パンチ」や福岡「黒瀬のスパイス」といったご当地スパイスが“いつものバーベキューの味がワンランクあがる”と評判になったが、2019年春に発売されたアウトドアスパイス「ほりにし」をきっかけに、キャンプで使うことをテーマにしたスパイスがブームに。

2020年のキャンプシーンではアウトドアスパイスが大流行し、さまざまなスパイスが登場した。

90年代のキャンプブームでは「クレイジーソルト」が話題になるも、追随するスパイスは現れなかったが、今回のスパイスブームではいろいろなメーカーが参入している。

森風美さんの「motteco 甘いスパイス」はホットワインにもぴったり。

バイきんぐ西村さん監修の「バカまぶし 辛いの」「バカまぶし 辛くないの」、田中ケンさんプロデュースの「アウトサイドハーブ スパイス」「THE ULTRA UMAMI SPICE」、そして森風美さんの「motteco 甘いスパイス」「motteco 鉄板スパイス」などまさにアウトドアスパイス市場は激戦区。

ようやく一段落ついたかと思った2021年秋、満を持してナチュラムと味の坊が共同開発した「燻製塩」と「燻製醤油」、西部頭髪の「ヨーデルめんたいスパイス」が登場した。どちらも燻製、明太子など特定の風味を強調した個性派調味料だ。

左からオレンジ「ほりにし 辛口」、テンマクデザイン「和風旨味スパイス テンマク」、ナチュラム「薫る燻製塩」と「薫る燻製醤油」、シーラック「勝男クン。僕のBLACKスパイス」、西部頭髪「ヨーデルめんたいスパイス」

そこで先行する万能系スパイス「ほりにし辛口」と「和風旨味スパイス テンマク」、そして静岡土産「バリ勝男クン。」シリーズでおなじみのシーラックの万能系スパイス「勝男クン。僕のBLACKスパイス」の6つを食べ比べしてみた。

スパイスを味比べ! 色もうま味も特色ありすぎ

まずはアウトドアスパイスを、素のまま食べ比べてみた。

ほりにし 辛口……赤と青の唐辛子、山椒が効いて辛味が強い。見た目もいかにも辛そう

和風旨味スパイス テンマク……カツオと昆布、醤油を使った和風だけれど、ガーリックの香りが強め。ほんのり辛味を感じる

ヨーデルめんたいスパイス……明太子味スナックみたいな味わい。ごはんが恋しくなる

勝男クン。僕のBLACKスパイス……唯一の黒いスパイス。粒感がすごく、カツオとともにガツンと野菜だしの風味が広がる

薫る燻製塩……燻製をイメージする飴色の塩。ふわっとスモーキーな香り

薫る燻製醤油……醤油の香ばしさの奥にある燻製の香り。燻製しています!と主張しすぎない

実食! 肉の味を活かすのはどれ?

ステーキに各スパイスをひと振りして食べ比べてみよう。テスターは、元気な男児と育ち盛り(?)の夫の健康を考えるママキャンパーと、食事にはなるべく手をかけたくないソロキャンパー。

それぞれのスパイスはどれも個性的なのだが、赤身肉につけると個性が和らぐ。

とくに「和風旨味スパイス テンマク」と「勝男クン。僕のBLACKスパイス」はカツオ、醤油という味の方向性が似ていたためか、目をつぶって食べればほぼ同じという結果に。

交互に食べ比べ、マジョラムやオレガノなど洋風スパイスがほんのり残るほうが「和風旨味スパイス テンマク」とわかるくらいだが、これはテスターのふたりが食通ではないからかも?

ちなみに、どちらも“和風だし”が味の決め手なので、スープの味付けや炊き込みごはんにもいい感じ。

一方、素のままではさほど主張しなかった「薫る燻製塩」は、塩に燻製風味をつけるというシンプルな調味料のためか燻製感が際立った。魚やチキンなどあっさり系のものにはかなり少量にしないと、素材の味がわからなくなりそう。

「ほりにし 辛口」はピリ辛好きなら文句なしにうまい。けれど、子どもには刺激が強いのでファミリーで使うのは少々注意が必要だ。

同じピリ辛系でも「ヨーデルめんたいスパイス」はかなりマイルドで、肉を飲み込んだあとにふわっと明太子という海の香りが鼻をくすぐるのが不思議。牛肉のステーキよりもチキンや魚のほうが相性いいだろう。

思いついてごはんに「ヨーデルめんたいスパイス」をオン。ふりかけっぽくて明太子感が強くなる。パスタソースに混ぜたりポテトサラダなどクリーミーな味付けに使うとよさそう。

「薫る燻製醤油」は醤油の風味が強く、スモーク風味はごくわずか。そのまま使うのもいいけれど、バターとあわせる、バルサミコとあわせるなどして醤油風味を抑えるほうがスモーク感が引き立つし、塩味が抑えられて肉のうまさを感じる。

オリーブオイルと酢と組み合わせて、サラダと肉でカルパッチョっぽくしてもおいしい。

試しに卵ごはんにたらり。これは間違いない。刺し身にもよさそう。

大容量でもコスパがいいとは限らない!?

味の方向性がわかったところで、容量と価格でコスパを検証してみた。

1日の塩分目標摂取量は男性で1日8g。それぞれの塩分割合がわからないので単純に各スパイスを8g(醤油の場合は小さじ3=18g)使った場合で1日分の価格を計算してみた。

オレンジ「ほりにし 辛口」 90g 950円
◆1日約84円
【原材料名】食塩、赤唐辛子、ガーリック、黒コショウ、陳皮、砂糖、ミルポワパウダー、オニオン、酵母エキス、粉末醤油、パプリカ、チキン調味料、植物油脂、パセリ、青唐辛子、ジンジャー、コリアンダー、バジル、オレガノ、マジョラム、ローズマリー、山椒、ローレル/調味料(アミノ酸等)、リン酸Ca、(一部に小麦・大豆・鶏肉・豚肉を含む)

テンマクデザイン「和風旨味スパイス テンマク」 95g 999円
◆1日約85円
【原材料名】食塩、フライドガーリック、コーンパウダー、黒コショウ、粉末醤油、植物油脂、赤唐辛子、パプリカ、カツオ調味料、昆布調味料、ガーリック、コリアンダー、オニオンパウダー、パセリ、バジル、オレガノ、マジョラム、調味料(アミノ酸等)、微粒二酸化ケイ素

シーラック「勝男クン。僕のBLACKスパイス」60g 780円
◆1日約104円
【原材料名】岩塩、野菜だし粉末(でん粉分解物、野菜加工品(玉ねぎ、玉ねぎエキス、トマト、人参、ソテーオニオン、にんにく、人参エキス、セロリエキス、セロリ)、食塩、酵母エキス、砂糖、食用こめ油、胡椒)、乾燥にんにく、黒胡椒、醤油粉末、味付かつお削りぶし、乾燥玉ねぎ、イカ墨粉末/調味料(アミノ酸等)、加工デンプン、酸化防止剤(抽出V.E)、甘味料(ステビア)(一部に小麦・大豆・ごま・いかを含む)

ナチュラム「薫る燻製塩」40g 700円
◆1日約159円
【原材料名】食塩、桜の木(スモーク用)

ナチュラム「薫る燻製醤油」100mL 980円
◆1日約178円
【原材料名】大豆、小麦、食塩

西部頭髪「ヨーデルめんたいスパイス」40g 994円
◆1日約199円
【原材料名】辛子明太子加工品、食塩、胡椒、ガーリック、煮干しエキス粉末、かきエキス、デキストリン、調味料(アミノ酸等)、着色、(紅麹、カラメル)、香辛料抽出物、(一部に小麦・乳成分・大豆を含む)

当然だが、容量が多いスパイスほどコスパがよく、小容量で原材料が多いほど贅沢スパイスという結果となった。けれども90g以上の大容量でソロやデュオなど少人数では使い切れないことも。
なにより、アウトドアスパイスは便利だけれど、毎回同じ味つけになって飽きてしまう危険がある。

新登場の「ヨーデルめんたいスパイス」「薫る燻製塩」「薫る燻製醤油」は万能系スパイスと一線を画する一点突破型なので、ほかの調味料と組み合わせてもいい感じ。お気に入りの万能スパイスといっしょに持ってくのにちょうどいいサイズと言えそうだ。

写真、文:大森弘恵、SOTOBIRA編集部