【概要】キャンプ用語について解説。設営、素材、構造、ギアに関する用語など、よく聞くけれど、イマイチ意味が分かっていない「あのキャンプ用語」を集めてみた。オガワ張り、カンガルースタイル、完ソロ、バースデーランタンなど。

【設営】オガワ張り

100年の歴史を誇るogawaブランドが考案した「システムタープ」の張り方を「オガワ張り」と言う。

本来、オープンタープとテントの出入り口を接続する際、どうしても張り綱とポールが邪魔になってしまう。ogawaはメインポールとタープの間に幅広のテープを設置することで、テントの後ろにメインポールを立てられるようにした。

風でタープがあおられやすい面はあるものの、ストレスなくテントとタープを行き来できる発明だ。

【設営】ステルス張り

野営好きの間で知られる張り方のひとつで、1m程度の無段階で長さを変えられるポールと正方形のタープで設営。その姿はステルス戦闘機に似ていて、テントのようにフルクローズが可能だ。

いろいろな建て方があり、その一例を紹介。まず①②③④を直打ち、角の⑤⑥をそれぞれ内側⑤⑥あたりに仮止め。ポールを立て、あとはバランスよく周囲をとめて⑦⑧とその中間を張り網で引っ張り、ひさしを作る。奥に短いポールをもう1本追加してもいい。

【設営】カンガルースタイル

大きなオープンタープやシェルターの下に、小型のテントをすっぽり入れて過ごすのが「カンガルースタイル」。リビングスペースが狭くなるものの、大型テント+タープやシェルター+インナーテントよりも雨の日の撤収が楽だと話題になっている建て方だ。

小型テントのフライシートを使わなくてもいいので、夏は通気性よし。真冬はフライシートを使うことで外にテントを建てるよりも暖かい。

【設営】直打ち

通常、地面に打ったペグは、張り綱を引っかけてテントやタープを固定する。「直打ち」はタープの張り綱を使わず、ポールを短くしてタープのグロメット(鳩目)にペグを通して直接地面にさす方法。

張り綱がない分、タープの屋根の角度が鋭角になり、有効面積も小さくなる。メインポールを1本にして、反対側を直打ちするというスタイルは、ソロキャンパーに人気の設営方法。

【設営】片落とし

ポールの長さはそのまま、タープ片側の張り綱を短くして地面近くまで落とし、反対側をサブポールで張り上げると圧迫感が少なく、面積は小さくなってもゆったり過ごせる。

直打ち同様、広い場所を取りにくい林間のフリーサイトや、コンパクトな区画サイトで有効。地面近くまでタープを落とすため、風よけとしてもまずまず使える。

【構造】ハブ構造

複数のポールを、樹脂や金属製のパーツによってあらかじめ組み合わされているものが「ハブ構造」。複数の微妙に長さの違うポールを使うテントは設営時に混乱しやすいが、ハブ構造であれば間違いを防ぎ、スムーズな設営が可能となる。

ポールを二又にして居住空間を広げるなど、テントの可能性を広げるという意味でも有効だ。一方、収納袋に入れにくいものもあり、また、接続パーツが壊れるとやっかい。

【構造】FD、XP、POP

製品名に特徴的な構造をつけているものは思いのほか多い。FD=Folding(フォールディング)。折りたたみ式の意味だ。そしてXP=CrossPole(クロスポール)。ポールを交差させる構造。Xmasなどと同じでXをクロスと読ませるので、頭文字をとったCPとはならない。POP=Pop-up(ポップアップ)。簡単に広がるテントやタープに見られるが、デザインを示していることも。

【状態】完ソロ

ソロキャンプ人気の高まりとともによく耳にするようになった「完ソロ」。

ソロキャンプに行ったら、その日のキャンプ場には自分ひとりでほかのキャンパーがおらず、完全にひとりぼっちの状態を「完ソロ」と呼ぶ。

かつては平日であれば完ソロは難しくなかったが、近年のキャンプブームにより、特に首都圏のキャンパーは完ソロ体験はなかなかできない。

【素材・色】コッパーとブラス

アンティーク調のカトラリーやランタンの表記に見られる「コッパー」「ブラス」。色または素材を表しており、どちらもレトロな雰囲気を漂わせている。

コッパー(カッパーという表記も)=Copper。銅のことでゴールドよりも赤みが強い。ブラス=Brass。真ちゅうのことで、銅と亜鉛の合金。腐食によって赤みを帯びると銅(コッパー)と似た色味に。

また、真ちゅうと表記していても亜鉛の比率が少ない丹銅の場合があり、これも赤みが強い。

【素材】TC、GTX、SUS

製品名に見られるアルファベットは、素材の頭文字などから拾った略字の場合も。TC=TechnicalCotton(テクニカル・コットン)で化繊とコットン(綿)の混紡素材。割合は製品によって異なる。

GTX=GORE-TEX(ゴアテックス)透湿防水素材の商標名。SUS=StainlessStee(lステンレス・スチール)はステンレス鋼のこと。アルミニウムはAl、チタンはTi。

【素材】はっ水と防水

もともと水は中心に集まろうとする力がある。また、ハスの葉にのった水は、葉の表面にある微細な凹凸により水球を作りコロコロ滑り落ちる。

「はっ水」は生地表面または糸に加工を施し、ハスの葉のように繊維に微細な凹凸をくっつけて水をはじき落とす。ただし、洗濯をしたり、長く使っていると次第に加工がはがれてしまう。

「防水」は水を通さないフィルムを生地と組み合わせて、水を内側に通さないようにした状態。フィルムが劣化しない限り効果は続く。

【ギア】バースデーランタン

コールマンのガソリンランタンやガソリンバーナーの底には、製造年月が刻印されている。自分の誕生年月と同じランタンが「バースデーランタン」というわけ。

赤ランタンとも呼ばれ愛されている、丸っこいグローブの赤い200Aが製造されたのは1980年まで。200A以外にもいろいろなモデルがあるので探し出してギフトにすると喜ばれる。あまりに古いものは見つけるのも大変だが、新しいものであれば簡単。子どもや孫と同い年のものを記念に購入してもいい。

イラスト:岡本倫幸
文:大森弘恵
出典:GARVY 2020年6月号