登山で役立つのは2万5000分の1の地形図。「読図」とは、その地形図に記された等高線や地図記号から、平面を3次元空間に頭の中で組み直す作業のこと。

読図ができるようになると、地形図から山の地形を想像することができ、山でのリスクマネジメントになるとともに、登山計画時から実際の風景を見たくなること必至! 読図の楽しみがわかり、登山も楽しめるおすすめの山5コースをステップアップ順に紹介!

STEP1
鋸山(千葉県)

山名のとおり、鋸の歯のようなギザギザの稜線で知られる、標高約330mの鋸山。まずは入門コースで地図に親しんでみよう。

山は凝灰岩からなり、石切り場として古い歴史をもつ。南斜面は日本寺の境内となっており、日本一の高さの磨崖仏や千五百羅漢などの見どころが多い。

登山コースは保田駅から鋸山ダム、鋸山山頂、日本寺を経て、浜金谷駅に至る半日コース。初心者でも安心して歩ける道だ。地形図を見ると高速道や鉄道高架や、山頂付近の電波塔、鋸山ダムが目印になる。登山道が4コース整備されているため、分岐点ではルートの間違いに要注意。石切り場のダイナミックな景観や、太平洋の壮大な眺めが心に残るルートだ。

峻嶮な山容だが、登山道は「関東ふれあいの道」の一部として整備され、歩きやすい場所が多い。日本寺境内の断崖から突き出した展望台「地獄のぞき」は、鋸山のシンボル的な名所だ。

STEP2
筑波山(茨城県)

古くから「西の富士、東の筑波」と謳われる名山。標高は877mながら山頂からは、関東平野の雄大なパノラマが望める。日本百名山のなかで最も標高の低い山であり、散在する巨岩・怪石や花々が、四季ごとに美しい山景色を見せる。

山頂は男体山と女体山のふたつのピークがあり、山頂同士を結ぶ徒歩15分の連絡路の道中には、カタクリやツツジの群生が見られる。

登山コースは6コース整備され、おすすめは筑波山ロープウェイに 沿ってのびるルート。途中の屏風岩を視認できる目標物として、分岐に注意しながら歩く。短いながらも見どころが豊富で、疲れたらロープウェイも使える。

関東平野を眼下にする筑波山。山麓には筑波山神社が鎮座する。隋 神門の近くにそびえる大杉はパワースポットとして人気。筑波山は「日本百名山」にもなっている人気の山。地図に慣れるのにはピッタリ!

STEP3
男体山(栃木県)

中禅寺湖の北岸にそびえる標高2486mの円錐形の山。山頂には二荒 山神社の奥宮が鎮座する。関東有数の高山であり、登頂には体力が必要だ。

ここでコンパスワークをステップアップして、さらなる読図の力を身につけよう。

地形図を見ると、山腹の等高線は木の年輪のように並ぶ。形のいい山の等高線はこの形になり、富士山の等高線もこれに似ている。等高線が密になっている急登部分は落石に要注意。山頂が奥まっていて登山道から見えないのが少しつらい。そのかわり山頂から望む中禅寺湖と周囲の山々の絶景は、疲れを忘れさせてくれる。登山道はあまり整っているとはいえないので、ゆっくり登るのがコツ。「こういう等高線はこんな登山道になるのだ」と、体感できる。

世界遺産に登録されている、日光の玄関口の二荒山神社神橋。端正 な山容の男体山は、二荒山神社の御神体でもある。体力を要する が、日帰り登山は可能。

STEP4
槍ケ岳 (長野県・岐阜県)

天に槍を突く山頂の形が象徴的な、標高3180mの北アルプスの名峰。多くの登山者の憧れの山で、ハイシーズンになると渋滞必至の場所だ。標高が高いため、高山病に要注意。1泊以上しないと無理なので、事前に山での宿泊にも慣れておく必要がある。また岩場の急登がある上級向けルートもあり、滑落や落石の危険もはらむ。

地形図を見ると槍沢までは傾斜は強くないが、2200mを過ぎると一気に急登となる。視認できる目標物に沢があり、山頂直下はジグザグの急登。ここは曲がる部分に注意して、そのまままっすぐ行ってしまわないように注意する。

STEP5
白馬岳(長野県・富山県・新潟県)

北アルプス・後立山連峰の標高2932mの白馬岳(しろうまだけ)は、標高差1899mの中級者向け健脚コース。白馬岳から派生する稜線の美しさに目を奪われる。人気の北アルプスでも読図ができれば、危険回避に役立つほか、山が魅力的に感じるだろう。

東の長野側は急峻、西の富山側は比較的なだらかな、左右非対称の山容をもつ。栂池自然園から白馬岳を目指すルートは所要約12時間。

足場の悪いトレイルや岩だらけの急坂があり、予想以上に体力を要する。登山道には道標が完備し、道迷いよりも自分の体力に見合ったペース配分に注意が必要だ。途中の白馬大池は澄んだ水をたたえ、白馬岳山頂からは立山連峰や槍・穂高連峰の感動的な大展望を見渡せる。山小屋は白馬大池山荘と、白馬岳山頂直下に白馬山荘があり、1〜2泊の余裕をもったスケジュールで登りたい。帰りはバス停のある猿倉を目指す。

※当記事は『危険回避のための読図入門』の内容を抜粋し、再編集したものです