大海原が手の届くところに迫る南紀白浜の崎の湯、あるいは透明度の高い川の底から、コンコンとお湯が湧き出す奥飛騨温泉郷の新穂高の湯……。それらを思うと、温泉の醍醐味は露天風呂にあるといっても過言ではありません。しかし、ヒートショックが気になる真冬の温泉旅では、雪見の露天風呂はもちろんですが、由緒ある「温泉館」もおすすめですよ。
【その1:道後温泉】「いで湯と城と文学の町」松山の象徴
道後温泉は日本書紀にも登場するわが国最古級の温泉で、白浜、有馬と並ぶ日本三古湯と呼ばれています。伝承によれば、ひときわ古い3000年もの歴史をもつとされ、神話はもちろん史実からも、その認識に間違いはなさそう。現在の道後温泉は33件の宿泊施設と、ふたつの外湯をもつ温泉地ですが、俗に道後温泉と呼ばれているのは、「道後温泉本館」とのことです。
410円で入れる道後温泉本館の大浴場。男湯のみ東西ふたつの浴室あり。1,250円で「霊の湯入浴券」というものがあり、又新殿の観覧、浴衣とタオルのレンタルに加え、お茶と煎餅のサービスがついている。
道後温泉のほっこりスペース「にきたつ庵」。本館から少し離れた、道後ハイカラ通りと交差する「にきたつの路」沿いにあり、竹林の中にひっそりとたたずむ和食処。隠れ家のような雰囲気をもち、お酒と魚がうまい。人気メニューは地元の素材を目と舌で味わう桶料理で、週末は予約しておくほうが安心だ。
営業時間:11時~21時30分・月曜定休
【その2:上諏訪温泉】国指定の重要文化財、片倉館の「千人風呂」
諏訪湖周辺で人気なのは、江戸時代から中山道の宿場町として旅人の疲れを癒してきた下諏訪温泉と、明治から昭和初期にかけて開けた上諏訪温泉。メディアでよく紹介されるのは下諏訪温泉ですが、ここでは、岡谷の製糸業者「片倉組」が、創業50周年を記念して建てた、上諏訪温泉のレトロな温泉館「片倉館」を紹介。自然の中の温泉とはまったく異質の「贅沢感」がそこにあります!
「千人風呂」にある大理石造りの浴槽は、実際に100人が一度に入浴できるほどの広さをもち、深さ1.1mの底には玉砂利が敷き詰められています。
【その3:草津温泉】関東の人気温泉地で「湯治気分」に浸る
「訪れたことがなくても、名前と景観だけは知っている」。きっとそんな人も多いであろう草津温泉。実は、温泉情緒あふれる湯畑と国内屈指の広さを誇る「西の河原露天風呂」より、もっと面白い事柄をひとつ。それは「時間湯」、「合わせ湯」と呼ばれる、古くから草津温泉に伝わる入湯法で、特に「時間湯」は、今でも指定の湯治場にて厳格に行われているもの。有名な「湯もみ」はその一部! ちなみに、湯畑周辺は再開発が進み、2〜3年前とは様変わりしています。