聳え立つ氷の壁をガシガシと登っていく「アイスクライミング」を、ご存じですか?
TRAMPIN’シリーズvol.34『雪名山ガイド冬+春』の取材で、長野県・赤岳鉱泉主催「アイスキャンディフェスティバル」(2017年1月開催)に参加したミュージシャン・Ma-Ya(マーヤ)による、アイスクライミング初体験レポートをお届けします!

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美濃戸口から赤岳鉱泉まで2時間弱歩く。

「アイスクライミング」。いままで興味をもったことは……一度もなかった。むしろ、自分とはほど遠い世界のものだと思っていたくらいだ。

ザッザッザッ。編集部のヨッシーとふたり、赤岳鉱泉までの雪道を歩いている。2016年の年末にもらった一本の電話。
「Ma-Yaさん、アイスクライミングに興味ありませんか?」。正月前で浮かれていたこともあり、すぐさま答えた。「おおお! めっちゃ興味ありますよっ」。元気よくうそをつき、参加することになった。ザッザッ。「おわぁ〜」。ふたり同時に声を上げる。視線の先には、噂の人工氷瀑が聳え立っていた。


うっすら滴る水滴が太陽を反射する様は、まさにアイスキャンディ!

このイベントでは、協賛メーカーのウエアやギアを試着でき、それを実際に使って登れるのだ。クライミング道具さえ持っていない初心者の私でも参加しやすい。最新ギアを手にはしゃぐベテラン勢。悔しいくらいに楽しそうで、かっこよくて、ポ〜ッと見つめてしまったよ。


ハーネスを着けてもらい、いざ出陣!


昨年も参加したという少年。簡単そうに登るのを見て、目がテン。

振る舞いのバーベキューでエネルギーを満タンにしたら、いよいよ初アイスクライミング。基本的に自信過剰気味な私は、登る直前まで「バッチリ登ってくるんで、写真お願いします〜」などといっていた。カチャカチャ。ハーネスの安全確認をしてもらい、「さぁ、どうぞ!」の合図。


必殺、カマキリのポーズ!? 氷壁にアイスアックスを突き刺した!

ズンズンと前に出て氷壁にアイスアックスを突き刺す。教えてもらった手順で2/3あたりまで順調に登り進んだ。そのとき、なぜか下を見てみようと思ってしまったのが運のツキ。チロリ。ひょえぇ。下で手を振っているヨッシーが思いのほか小さい。一気にしぼむやる気。壁にへばりついて震える私は、まるで季節外れのセミ。


途中までは順調に登り進んだのだけど……。勢いと力だけでは登れないことを痛感する。

しばらく動けずにいると、「もうひと息、ガンバ!」とほかの参加者たちが応援してくれた。いつだって「がんばれ」という言葉は力がわいてくるもの。残りの力を振り絞って、もう一度アックスを打ち込む。砕け散った氷片が青空に舞う。氷が発する冷気が心をくすぐる。体は熱いのに、ヒエヒエの空気が気持ちがよい! それでも気持ちとは裏腹に、腕と脚は動かない。力を振り絞りすぎてしまった。フィニッシュまであと3手くらいのところで、白旗を上げた。


フィニッシュまであと少しのところで、無念のリタイア。なんて不恰好なんだ……。

地上に下りて、あったかいお汁粉を受け取った手はプルプルしている。フィニッシュできなくても、この手と脚の震えが心地よい。なによりも、魂がビキビキする感覚を味わえたのが最高だ。大げさかもしれないけれど、こんな楽しくて刺激的なことがあったなんて!と驚いた。2018年もまた来よう。マイ・アイスアックスとアイゼンをザックに付けて。

あったか装備で安心! 着用しているウエア

防水透湿素材で丈夫なジャケットは、マウンテンハードウェアのスーパーフォーマジャケット。フードは、ボタンでヘルメット着用時とかぶっていない時のサイズ調整ができ、アイスクライミングに最適。ビーニー、パンツ、手袋も同ブランド。ミドルのフリースはコロンビア。長年使っているバックパックはお気に入りのグレゴリー。靴はローバー。

写真/Okuda Yuya、本誌編集部
文/Ma-Ya

2018年は2月に開催! アイスキャンディフェスティバル!

赤岳鉱泉主催の「アイスキャンディフェスティバル」、2018年は2月3日(土)〜4日(日)に開催! 初心者からベテランまで、聳え立つ氷壁にチャレンジ! 詳細は下記へ!http://userweb.alles.or.jp/akadake/info18/index.html

※こちらの記事は『TRAMPIN’ 2017年vol.34 雪名山ガイド冬+春』の内容を一部抜粋、再編集したものです。