アウトドアブランド・モンベルが提唱する環境スポーツイベント「SEA TO SUMMUT(シートゥーサミット)」。このイベントは2018年で10年目を迎え、さらに今回の舞台、鳥取県「大山(だいせん)」は開山1300年記念! そんなメモリアルな「SEA TO SUMMIT 2018皆生・大山大会」に、車中泊専門誌『カーネル』編集部新人の僕(ホンマ)が初参戦! 僕でいいのか……? そんなことを考えつつも、5月19~20日の2日間、編集長・オオハシと行ってきましたよ、鳥取へ!

そもそも「シートゥーサミット」とは、アクティビティを通じて、自然を体感する環境スポーツイベント。2日間の日程で行われ、初日はゲストやパネリストを招いて環境シンポジウムを開催。そして、2日目は海(湖)をカヤックで、里を自転車で、山を歩いて楽しみながら、その土地の自然や文化に触れるアクティビティイベントを行うというもの。詳細は下記URLからご覧ください。
http://www.seatosummit.jp/

現在発売中の『カーネルVol.40』では、編集長・オオハシ視点のレポートを掲載していますので、ソトビラではホンマ視点でのレポートをどうぞ!

初参加で、初シングル!?
不安だらけの初めて尽くし……。

環境シンポジウムのときから緊張気味。

カーネル編集部にとって「シートゥーサミット」は、何度も参加させてもらっているイベントだ。編集部の先輩たちも新人時代に参加して、編集者としても、人間としても大きく成長してきた……らしい。そんななか、ついに僕に白羽の矢が立ったわけだ。

初日の5月19日、環境シンポジウムの途中くらいから、翌日の大会への不安が徐々に大きくなる。作家の椎名誠さんの講演会や、オカリナ奏者・宗次郎さんによるライブなども行われたが、どこかうわの空。というのも、シートゥーサミットはチームでの参加も可能だが、僕は初参加にも関わらずシングルでの参加だったからだ。結局、「明日は大丈夫かな」というモヤモヤがぬぐいきれないまま、運命の当日を迎えた。

ついにスタートしたシートゥーサミット! まずは初めてのシーカヤックへ

朝5時半、スタート地点に参加者が集まった。

2日目の朝。悪天候であいにくの空模様。風も強く、これからカヤックに乗る海にいたっては、経験者でも危険なほどに荒れていた。前日の受付時に少し練習したくらいで、ほぼ人生初カヤックの僕。カメラマンとして同行していた編集長・オオハシは「沈するなよ~」なんていいながらニヤニヤしていた。こっちはそれどころじゃないですよ!

結局、海に出るのは危険と判断され、当日の朝、ルートが変更に。本来ならスタート地点の日野川河口から海に向かうはずが、逆に川を遡り、川のなかを周回することになった。僕はほっと胸をなでおろす。

いざスタートするも、波風で流される……。

そして朝6時、ついに大会がスタート! 自分のタイムを記録するカードをスリットに通したら、カヤックに乗り込む。編集長・オオハシの「頑張れよ~!」という声を背中に受けながら、水面に漕ぎ出した。

波風が強いため、バランスをとりつつ少しずつ川を遡っていく。ゆっくりと、でも力強く。そうこうしていると、折り返し地点の橋が見えてきた。このころには、カヤックの扱いにもだいぶ慣れて、もう楽しくてしょうがない! たまに釣りでボートに乗ることはある。だが、さらに水面が近いのが新鮮で、パドルを回すたびにかかる水しぶきが、なんとも心地よかった。

波をかき分けゆっくりと進んでいく。

復路は川の流れと追い風があいまって、グングン進む! あっという間に見えてきたカヤックのゴール地点では、編集長・オオハシがカメラを構えながら手を振っている。もっと乗っていたかったな……と、寂しく思いながらも、無事カヤックセクションをクリア!

が、ここで僕はふと思ってしまった。
「あれ? これ全然イケちゃうんじゃないの?」

あの不安がっていた自分はどこかへ行き、この段階で「シートゥーサミット」というものをナメ始めていた。この甘っちょろい考えが、このあとすぐに崩れ去ることになるのも知らずに……。

約23.5㎞のバイクセクション! 最大の難関で意地を見せろ!

序盤は平坦でスイスイ進んでいく。

始まる前に、「バイクが一番きつい」といわれていた。「またまた~。そんなにいうほどでもないんでしょ?」なんて思いながら、颯爽とロードバイクにまたがった。
序盤は市街地から田園風景を抜けていく、比較的平坦な道のり。風が気持ちよく、行き交うほかの参加者とにこやかにあいさつをかわしながら、ゆっくりと進んでいく。だが、中盤からシートゥーサミットの洗礼を受けることになる。


まだまだ余裕の表情だが……。

いつの間にか、立ち漕ぎになっていた。脚が重く、呼吸もつらい。顔を上げることすらできない。目の前には延々と続く長い坂道。そして、やっとの思いで坂道を越えると、また同じような坂道……。たぶんここで漕ぐのをやめたら、また漕ぎ出せないだろうと直感的に悟った僕は、無心でこぎ続ける。

途中、編集長・オオハシの待つチェックポイントで休憩を挟んだが、階段を降りたときに脚に力が入らずよろけた。おいおい、これはアカン……。脚をマッサージしつつ、ここで地図を確認。今いるチェックポイントはスタートから約16.5㎞、標高240m地点とある。

あれ、待てよ? バイクのゴールは標高740mくらいだったような……。一瞬、気が遠くなった。

延々と続く長い坂道に、心が折れそうになる……。

正直なところ、チェックポイントからゴールまでは本当にガムシャラで、あまり記憶にない(笑)。だが、勝手に設定した「信号とチェックポイント以外は、絶対に地面に足を着かない」という、個人的な目標を果たせたことに、とてつもなく達成感を感じた。

バイクのゴール地点「博労座(ばくろうざ)」で編集長・オオハシに「よく頑張った。たいしたもんだ」といわれたときは、不覚にも、少しグッときてしまったのはここだけの話……。
久しぶりに顔を上げると、どんよりとしていた空は青空に変わりつつあった。

いざ、最後のステージ。急斜面が待ちうける「大山」に挑む!


鮮やかな緑に包まれる登山道序盤。

ひと息ついたら最後のステージ、ハイクだ。ここからは編集長・オオハシも一緒に登りつつ、頂上を目指す。意外なことに、登山ルートは大神山神社奥宮の参道から始まった。苔むした石畳を踏みしめ、一歩ずつ歩いていく。そしてそのあと、本格的な登山道へ。

僕は田舎出身なので、森のなかは見慣れた光景だと思っていた。だが、木漏れ陽が射し込む5月の森は眩しいほどの新緑に覆われ、なんともキレイだった。僕は深く空気を吸う。いつのまにかバイクで疲れた脚の重さも忘れていた。

急に視界が開けた。頂上はもうすぐ!

急な登りが続く大山の登山道。さすがに足腰が悲鳴を上げ始めていた。適度に休憩をとりつつ、一定のペースで登っていく。すると徐々に木が低くなってきた。まさか、これが噂に聞いた「森林限界」か! ちなみに、森林限界を体験できるほどの登山も初めて。ここで少し気持ちが昂り、足の進みも早くなる。

木々が自分の身長ほどになったころ、ついに頂上が見えてきた! あと少し! はやる気持ちを抑えつつ歩いていくと、木道が敷かれた稜線へ。そして、ついに開けた場所に出た。


頂上では圧巻の風景が待っていた。

やっと着いた! 頂上だ! そして、休憩していたほかの参加者に見守られながら、最後のスリットにカードを通す。スタートから6時間6分49秒、ついにフィニッシュ!
そのとき、ちょうどよく厚い雲が晴れた。眼前に広がったのは、スタート地点の海までが一望できる大パノラマ! まさに「SEA TO SUMMIT=海から頂上へ」という光景に、僕はただ圧倒されていた。

最後に山小屋で休憩をとり、これも初となる「山ラーメン」をすすったあとに下山。長いようであっという間だった「初めてのシートゥーサミット」を終えた。


この中腰の体勢は、疲れた足腰にくる……

正直きつかった。翌週は歩けなくなるくらいに。でも、今までにないほど新鮮で、貴重で、楽しい体験だったのは間違いない。自然や環境に対しての関心はもちろん、ほかの参加者との何気ない声の掛け合いや、談笑にだってちゃんと意味がある。そんな人情みたいなものを感じると、「ああ、こうやってシートゥーサミットを通して仲間が増えていくんだな」ということが自然と理解できた。
ただ、もし次があるとするならもう少し体を鍛えてからにしよう! そう心に誓ったホンマなのであった。