雑誌編集を生業としながら、アメリカ在住なのに万年多忙な毎日を送っているカーネルUSAブランチのふたり。
4カ月休みなく仕事をして、2〜3週間の長期休暇を取るのが、自分たちの理想としているライフスタイルだ。
このペースをキープできているかどうかは別として、いままでも可能な限り時間が許せば、アメリカの大自然を満喫できるトレッキングなどに出かける経験をバケーションのたびに実行してきた。
広いアメリカなので飛行機で訪れたい場所もあるけど、元来われわれカップルはさまざまな旅先でのいろんなシチュエーションに対応したいため、なにせ荷物が多い。だからいつでも旅行はロードトリップだ。
そんなカーネルUSAブランチの本拠地はアメリカ西海岸の街ロサンゼルス。いつか大陸横断をして東海岸まで本格的にロードトリップしてみることがひとつの目標だった。
そこでこのたび、社用車でもあり日々の足でもある走行距離40万キロ超のミニバンに、ふたりで快適に眠れるサイズのベッドを組み込んだことで、本格的な長距離ロードトリップに向けクルマは完成!
2023年2月、勝手にカーネル創刊60号を記念して(笑)、以前から計画していたアメリカ大陸横断ロードトリップをスタートした。
1万キロを優に超える、あまりに長い走行距離と美しい訪問先が続くことで、何回に分けるかはまだ未定だが、編集長の許可をもらえる限り細かくこのロードトリップの様子をお届けするので、カーネル読者の皆さんとも、アメリカ横断ロードトリップの感覚を共有できればうれしい。
出発はルート66の西の端、サンタモニカから!
過去にも幾多のロードトリップ経験があるものの、トランス・アメリカン(アメリカ大陸横断)はおそらく人生で最も長い距離のドライブ旅行になるはず。
せっかくアメリカの端から端までいくのだから、出発地点は西海岸を代表する場所、サンタモニカとした。
ここは皆さんもご存じの、シカゴから西海岸までつながるルート66の最終到達地点でもあり、今回の旅の起点にはちょうどよい。
何百回と訪れている場所だけど、自宅から少し北上してサンタモニカ・ピアからスタートした。
サンタモニカからは東に向けて、フロリダ州ジャクソンビルという東海岸まで横断するI-10(インターステート10号)が走っているが、I-10に入った僕たちはすぐに南北に走るI-405でサウスバウンド(南行き)に進路を変えた。
せっかくのロードトリップなので、カリフォルニア州内のポイントも楽しみながら旅をしようというプランだ。
I-405はロサンゼルスエリアを南北に走る全米のなかでも特にひどい渋滞路線として知られるが、出発を週末としたので、この日は順調に南下できた。
出発から1時間強で、アメリカ西海岸を南北に縦断する州間フリーウェイI-5に合流し、海岸線に沿って走るルートとなる。
サンクレメンテを経由しサンディエゴ方面に向かう途中でレストエリア(トイレだけがあるパーキング)に寄ると、たくさんのクルマと人でにぎわっている、ここから見る海の景色も悪くない。
さらにクルマを走らせオーシャンサイドの街並みをかすめ、内陸に向かいアンザボレゴ州立公園を目指す。
独特の地形の岩山が連なる砂漠で、ところどころにパームツリーが自生する、カリフォルニアらしいネイチャーパークのひとつだ。
その後、まだまだ気の遠くなるほどの長い道のりを考え、フリーウェイに戻る。選んだのはカリフォルニア州サンディエゴからアリゾナ州カーサグランデまで350マイルの距離を東西に結ぶI-8だ。
そこからはしっかりと東を目指し、フリーウェイをひた走る。
初日の目的地はアリゾナ州に入った最初の街ユマとした。理由はカリフォルニアは全米で最もガソリンが高い州なので、少しでも節約のため。
一昨年政権が代わってからの物価高騰で、カリフォルニア州内ではガソリン価格が2倍以上になってしまった。
せっかく遠方まで出かけるロードトリップでは、ガソリンが安い他州の恩恵にいち早くあずかりたいというワケだ。
トリップの相棒は超過走行だけど、まだまだ元気なMPV
ピックアップなどを含めると、家族の人数より多い6台ものクルマがあるわが家だが、仕事や日々の用事に毎日出動している走行距離40万キロオーバーの2006年型マツダ・MPVが今回のロードトリップ号。
アメリカでもさすがに走行距離はまあまあ多いほうで、そろそろトランスミッションに若干の不安はあるものの、エンジンはすこぶる快調。
最新のクルマにはかなわないが、V6/3リッターのわりには燃費も悪くなく、小さめのミニバンなので普段使いにも相性がいい。
完全な車中泊まではしないものの、昨年の春にカスタマイズし、たっぷりと荷物を積み込んでも、ふかふかのマットレスを敷いたベッドで、大人ふたりが快適に睡眠をとれるように仕上げている。詳細は次回以降で紹介したい。
クルマさえあれば、広大なアメリカ大陸を満喫できる!
自動車の交通網が早くから発達していたアメリカは、国土全体を縦横無尽に無料のフリーウェイが走っている(一部都市部には有料レーンも)。
基本的には南北と東西を結ぶ大きなインターステート・ハイウェイと、さらに細かいハイウェイや州道をたどれば、ハワイとアラスカを除く48州には気軽にどこにでも走っていける。
ただし州境にはチェックポイント(検問)がある場合もあるので、パスポートなどの写真付きIDは必ず携帯しておくこと。
カリフォルニア州だけでも日本の国土より大きく、アメリカのメインランド全体だと面積は約25倍もあるのだから、一生行かない場所もたくさんあるだろう。
それでも過去に全米50州のうち35州には訪れたことがあるので、今回新しい州に行くのかどうかが楽しみだ。
--その②に続く
※記事中で紹介しているルートや場所は、事前に安全を確認し行動しています。慣れない場所でのトリップには、治安面を含めた安全をしっかりご確認のうえ、計画行動することをおすすめします。
写真、文:Yusuke Makino, June
取材協力:カリフォルニア観光局
初出:カーネル2023年5月号vol.60